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『悲願』
   『法然の涙』(講談社)が出てから、まだそれほど時間が経っていませんが、この本はできるだけ、多くの人に読んでほしいと思っています。仏教用語が多く、一部読みづらいところもあるかもしれませんが、現代日本人に知ってほしい法然の実像をぎりぎりのところで描いた作品です。
 ジュンク堂のホームページで、お勧めの本にリンクされています。浄土宗や念仏と何の関係もない人でも、この本をきっかけに、一個の人格が逆境に負けず、どのように円熟していくのか、そのプロセスを物語の中で感じて頂けるはずです。そのプロセスは時代を超えたものであり、心暮れがちな現代人にも、大切なヒントになるはずです。
 私の心の中には、この本を五万部売りたいという強い気持ちがあります。単に儲けたいという欲心ではなく、法然の生きざまを通じて、人間の心の本質にある「美」について、できるだけ多くの人に考えてもらいたいからです。
 と同時に、この処女作品の売れ行きは、私が小説家として身を立てることができるかどうかを決めることになります。それで、ご縁の皆さまに、ぜひお願いしたいことがあります。
 周囲の方に、この本を購入して読むよう勧めて頂けないでしょうか。またお近くの公立図書館に蔵書希望届けを出して頂けると、ありがたいです。図書館によっては、1冊の注文があれば、10部以上購入するところもあります。
 なんだか厚かましいお願いですが、「科学と核廃絶:進歩と挑戦」会議での講演に招かれ、まもなく米国ワシントンに飛びますが、このことが気になっているため、あえて出発前夜に臨時の「折々の言葉」を書かせて頂きました。
 表紙カバーをデザインしてくださった木村英輝(68)さんご夫妻にも、京都でお会いしましたが、とても清々しく若々しいオシドリ夫婦でした。壁画家でロックプロデューサーでもある木村さんは、絵も前衛的ですが、生き方も前衛的な、とてもダイナミックな方でした。この表紙のおかげで、私の小説も百年くらい生き残るような気がします。
 なお添付の写真は、還暦・出版記念パーティーの翌日に、参加者十数名と共に、知恩院にある法然上人ご霊廟に刊行報告とお礼に参拝した時のものです。そこで暫く皆さんと、しみじみとお念仏させて頂いたのは、忘れがたい思い出です。(2010・11・6)    

「法然サン、あなたも販売協力してください」(東京の井上繁氏(79)撮影)
「折々の言葉」バックナンバー