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『メンタルなことはフィジカルに』
 若い時から肉体主義者を標榜している私は、精神論が大嫌いです。「心明るく」とか「心清らかに」とか言われてみたところで、どうすればいいのか分りません。心というものを取り出して、タワシでゴシゴシ洗えるのなら、誰でもやるでしょう。そんなことは出来っこないのです。
 となれば、肉体改造から始めたほうが、よほど現実的ではないでしょうか。少し早起きして散歩するとか、新鮮な空気を吸いながら体操するとか、そういう努力をせずして、グチグチ愚痴を言って暮らすのは、怠惰としか言いようがありません。幸福というのは誰にでも実現可能な人生目標ですが、ナマケ者には永遠に手に入らないものです。今日も明るく、何事にも感謝して生きようというのなら、それぞれに工夫して、体調をなるべく良好に維持する努力が不可欠です。
 「風の集い」で大きな声を出して「アリガト」を唱えてもらうのも、詰まらない説教をするよりも、そうしたほうが健康にもストレス解消にも、大きな効果があるという確信が私にあるからです。うつ病の人に「うつを治せ」というのは残酷物語ですが、「一緒に大きな声を出してみよう」と言うのは、許されるはずです。「声の力」は、アタマが理解する前に、カラダが納得してしまいます。
 自分に意地悪をする人間に対して「感謝しなさい」と言われても、出来るものではありません。それよりも、その人物の顔を思い浮かべながら、「アリガト」という石をぶつけ続けばいいのです。そうしたら、自分の気持ちが変わり、なぜか不思議と相手の態度も変わるのです。
 二泊三日の健康断食で宿便を出すのも、同じ理由です。一週間、禅寺に籠って坐禅をするよりも、よほど心身爽快になります。心を奇麗にしたければ、腸(はらわた)を奇麗にすればいいのです。腸を奇麗にすれば、心だけでなく、顔まで見違えるように奇麗になります。その劇的変化を何度も目撃しているので、ほとんど時間がないくせに、私は健康断食が止められないのです。
 「メンタルなことはフィジカルに」。会社の業務内容を改善しようと考えている経営者も、このことに気づくべきです。忙しく営業に走り回らせる前に、社員の肉体改造に努めたほうが、確実な効果が上がるでしょう。まず、社員の食生活を正しいものにし、十分な運動量を確保し、適度な休息をとらせれば、彼らの意気込みも発想力も各段に向上するに違いありません。
 ちなみに、人間は一日に三回も食事を取る必要はありません。朝食を抜いて午前中はカロリーの燃焼と排泄に努めたほうが、体は爽快になります。「少欲知足」という仏教の教えがありますが、これも一食抜くというフィジカルなアプローチで、身についてきます。現代人が抱えている、たいていの病気は食べ過ぎが原因です。日本国民が一日二食主義を実践すれば、食費や医療費の負担が軽くなるだけでなく、天然資源の浪費も改善されます。
 そもそも、金まみれの政治を良くしたければ、立候補の条件として、政治家に一日二食を義務付けたほうがいいかもしれません。毎日ご馳走を食べ過ぎて、むくんだ顔をしている政治家が、正しい政治的判断を出来るとも思えないからです。政治家が清貧の生活を楽しむようになれば、日本という国が、おかしな方向に進むこともないはずです。
 どういう立場に置かれていようとも、自分が出来ることを一歩一歩、今日から行動に移していく。それが楽しく愉快な「極楽への道」ということになります。(2010・2・1)