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『若返りの術』
 人間が老いるのは自然の摂理ですが、できることなら、なるべく老化の速度を落とし、いつまでも若々しくしていたいものです。「メンタルなことはフィジカルに」という私の持論に則っていうのなら、肉体を若々しくしていれば、おのずから心も老け込まないで済むはずです。
 若さを保つ秘訣は、明解です。運動不足や過食が老化の最大原因ということは、医学的にも証明されていることですから、適度な運動と少食に努めるのが望ましいわけです。どんどん歩いて、せっせと汗をかくような運動をして、なるべく不自然な加工をしていない食物をやや少なめに、おいしく食べればいいのです。
 老化や病気の原因となる肉体の錆(活性酸素)を落とすには、ときどき断食をしたり、天然酵素を摂取したりするのがよいとされています。気功法的には、「気血」の循環を良くすると言ってもいいかもしれません。
 酵素服用や気功体操を重視する「健康断食」が若返りへの近道であるという私の主張は、それなりに科学的根拠があることになります。実際に毎回、参加者の「若返りぶり」には、大いに感動させられるものがあり、私自身が驚かされています。たった二日間の断食でも、新谷弘実医師のいう「腸内美人」になれるのでしょう。
 しかし、心の錆落としは、どうすればいいのでしょう。何事にも無気力無関心なのは、心が錆びている証拠です。心に錆がなく、ピカピカの状態なら、何をやっても楽しいはずです。幸せな家庭に育った幼児に、キャッキャと笑い声が絶えないのは、心に錆がないからです。
 心の若さを保つ秘訣は、つねに創造的であることです。何でも創意工夫して、新しいことに挑戦していく。その心意気が人間を若くしてくれます。古い価値観にとらわれている人は、自分で自分の人生を狭くし、退屈で依怙地な晩年を過ごすことになります。つねに創造的であることは、趣味の問題ではなく、この世に生命を授けられた人間としての最も重要な責任です。
 誰でも例外なく、いつか芽出度く死ねるわけですから、毎日元気で、新しいことに挑戦し、生き生きと生きていくのがベストです。それには、楽しいことをどんどんやればいいのです。世間体とか、常識とかに囚われる必要は、まったくありません。何が楽しいかは、自分が決めることです。
 最近、「風の集い」や「健康断食」では「ありがとう呼吸」というのを実践してもらっていますが、これも「嬉しい、楽しい、ありがとう」というポジティブな想念を、横隔膜呼吸によって、細胞の隅々まで送り届けるためです。おまけに腹筋力の回復によって、体型も若々しくなってきます。
 もう少し医学的な説明をするならば、横隔膜の上下運動によって、太陽神経叢が刺激され、それによって血行が改善し、また単純運動を反復することによって、セラトニンなどの脳内物質の分泌を促進することになります。内臓マッサージになるので、新陳代謝が改善され、体重も増えません。
 「風の集い」に来てくださる方が、八十歳になっても、九十歳になっても、若々しく健康でいてくだされば、これは現代社会の珍現象として、大いに注目されるに違いありません。万が一、私が百歳になっても心身共に青年のように生きていることができれば、その時こそ「風の集い」を宗教法人化して、「回春教」というカルトの教祖になろうと、密かにもくろんでいます。(2010・4・12)