【更新は不定期。】

『世にも珍しい本屋さん』
  JR伊丹駅前に、ブックランドフレンズという小さな書店があります。「一冊読めば、一歩善心!」をモットーとする店長の河田秀人さんは、文字通り本の虫みたいな人で、朝から晩まで、店内で楽しげに働いています。
  大型書店では、大量に売れるベストセラーが優先的に置かれていますが、不思議なことにブックランドフレンズでは、そういう本がほとんど扱われていないのです。反対に相当以前に出版されたものでも、河田さんが心に響くと感じた本ばかりが、カラフルな手作りポップで分類されているので、店内を歩き回るだけで、なぜかウキウキしてきます。
 さらに風変りなのは、この店では「今、こんなことに関心を抱いている」と言えば、河田さんが何冊かを選んでくれることです。そして、それがまさに自分の読みたかった本だったりするそうですから、まるで「本のテーラー」というか「本の板前さん」です。小さな本屋さんですが、喜多川泰さんの本などは、全国2位の売り上げがあったそうです。それも、店を愛し、本を愛する河田さんのマジックなのでしょうか。
 店の一角にテーブルとソファが置かれているのですが、そこで食事会も開かれたりするし、いろんな著者の講演会なども開かれています。このごろは週に何度か、腕利きの整体師を招き、店内で治療もしているというのだから、驚きです。夏には、スイカも売ってるそうですが、これほど前衛的な本屋さんは、日本中どこにもないでしょう。
 アメリカには、ボーダーズという高級大型書店があります。店内のインテリアがとても落ち着いているだけでなく、一角にしゃれた喫茶店があり、何時間でもタダ読みができます。そのボーダーズも、残念なことに倒産してしまったと聞いていますが、全米に手を広げ過ぎたのかもしれません。
 そのボーダーズと比べると、ブックランドフレンズは、まるで大阪のたこ焼き屋さんぐらいのスケールですが、出版不況の中、かえって底力を発揮しているように思います。そんな奇特な本屋さんで、私の講演会を開いてもらうことになりました。どれほどの人が集まるのか分かりませんが、私は本をこよなく愛する河田さんの店で、そういう会を開いてもらえるだけで、幸せです。
 講演会では、毎回のようにサイン会をしていますが、書店でのサイン会というのは、私にとって初体験です。それが、東京の八重洲ブックセンターや新宿の紀伊国屋書店で開かれるよりも、私にとって名誉なことです。
 『法然の涙』は、後になればなるほど売れるような気がしています。この本は、世俗的な本ではないので、それが正しく評価されるまでには、少々時間がかかるようです。ブックランドフレンズの河田さんのように、これからも心ある人たちの応援を頂いて、だんだんと日本中に広がって行くことでしょう。(2011・3・8)

 【ブックランドフレンズ講演会】
 日時:4月9日(土)午後3時。
 場所:兵庫県伊丹市伊丹2−5−10アリオ2
 テーマ:「いまを生きる 〜自分の道、自分の力〜」
 定員:25名、参加費:1000円 お茶付き
 申込み:072-777-1200ブックランドフレンズまでお電話。もしくはqqqn6639@blue.ocn.ne.jpまでメール。お名前、電話番号、参加人数をお知らせください。
 http://www.honyakamo.com/

「楽しい本屋さん」