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『放射能よりも強い人間の心』
  ニュージーランドからほぼ24時間かけて関空に到着後、広島の自宅に戻り、スーツケースの中身を入れ替え、プールでひと泳ぎしてから、再び関空に戻り、ネパールに来ています。自宅にいたのは3時間あまりでしたが、「山の神」の雷に打たれることもなく、カトマンズでインド政府後援の国際仏教会議に出席しています。十か国ぐらいから仏教学者が集まっていますが、日本からは私一人です。
  どこにいても福島原発のことが気になりますが、いよいよ事態は深刻化しているようです。末代まで禍根を残すような状況ですが、放射能汚染をこれ以上、広げないためにも、国民が心を一つにすることが不可欠です。
 今は誰が政権を担当しても、大変なことです。いろいろ落ち度があるのでしょうが、今は全政治家が首相と一体となって、復興に取り組むべきです。とくに、ここで経済政策をあやまてば、国民生活が破たんする可能性があるので、よほど慎重な判断が必要です。同じ党内にいる小沢・鳩山両氏が菅政権を批判していると聞きましたが、卑怯な人間は即刻、政治の舞台から消えてほしいものです。
 長期的展望を欠く現在の政治家では日本の大改造ができないはずですから、新しいタイプのリーダーは遠からず民間人から出てくるでしょう。それまでは、自分たちで選んだ現政権を支えるのが、国民の務めではないでしょうか。
 今、大切なのは、国民が「日本を良くしたい」という思いで、心を一つにすることです。そして、その心は、どこに住んでいようとも節水・節電・節食という具体的な形で実践されなくてはなりません。
 猛毒性のプルトニウムは、穢れた人間の心が物質化したものです。こういう大惨事を招いたのも、欲に走った人間の心ですから、それを深く反省し、克服するのも、人間の心しかありません。人間の心は、放射能よりも、はるかに強いのです。
 私は今、旅をしながら『ついに日本の出番がやって来た』(仮題、講談社刊行予定)という本を大車輪で書いています。この惨事をきっかけに経済が破たんし、人心が乱れ、日本が四等国になるか、はたまた国民が心を一つにして頑張り、新しい産業革命を興して、世界に冠たる国になるか、そのチョイスをするのも人間の心です。
 今は悲観論を語るべき時ではありません。むしろ、明るく元気になっている日本の姿だけをイメージしましょう。その上で、国民の一人一人が、自分の持ち場で国に貢献することを考えればよいのです。これは小学生から老人まで、共通して与えられた課題です。
 海外にいるからこそ分かるのですが、この非常時における日本人の行動は、世界中の人が注視しています。ですから、どれだけひもじい思いをしても、日本人の心意気を世界に示していく必要があります。頑張りましょう!(2011・3・30、カトマンズにて)

「希望の虹・ニュージーランドの森で」