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『「ありがとうを言う」と超健康になる』
  また新しい本が出ました。森美智代さんとの共著ですが、健康だけをテーマにした本としては、私にとって初めての出版となります。美智代さんは、一日に青汁一杯だけで生活しておられる現代の仙人ですが、お会いするまで自然食原理主義者によくあるタイプのガリガリに痩せた、暗くて依怙地な変人だろうと想像していました。ところが、実際にお会いしてみると、彼女は体重が六十キロもあるふくよかな体形をしておられただけでなく、じつに大らかで無垢な精神の持ち主でした。
  その大らかさは、彼女が生死の境目を自分の意志と努力で脱却して来た勇気から来るものだと思います。私は月に一度ほど、大阪の八尾市にある森鍼灸院まで、彼女の治療を受けに行きます。特段、悪いところがあるわけではありませんが、彼女の治療を受けると、温泉に入ったように体がポカポカとして、とても幸せな気持ちになるからです。
 まず何よりも、あの明るい無邪気さに触れると、私の欲で汚れた心が、すっきりと洗われるように感じます。医者に見放されたような重症患者がよく来られるという森鍼灸院に、不謹慎ながら私は手ぬぐいをぶら下げて、温泉に浸かりに行くような気分で出かけるのです。
 この本では、私は感謝念仏や健康断食の効果について説明していますが、断食療法で難病を治療しておられた故・甲田光雄医師の遺志を継がれた美智代さんは、「少食は世界を救う」という思想を力強く発信しておられます。この世に彼女以上に少食の人間は、ほとんど存在しないわけですから、その「少食の勧め」には説得力があります。また、寒天断食やすまし汁断食など、一人で簡単にできる断食の方法も紹介しておられます。
 健康断食の指導者でありながら、私は肉や魚、お酒も大好きです。ちょっと慎まなければいけないと思いつつ、ついつい食べ過ぎたり、飲み過ぎたりする日があります。さすが、凡人です。でも法然さんにも「善人なをもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」と言って頂いているので、当分は時々、慎みを忘れてしまう凡人のままでいようと思っています。
 そういう私も玄米食をずっと続けており、原則的には少食です。それに健康断食の実践を通じて、宿便を出してしまうことの素晴らしさを実感しています。「体の宿便」を排泄し、腸内を清潔に保つことができれば、たいていの病気は嘘のように消えてしまいます。
 腸は肉体の根っこに相当するわけですから、根っこを強くしておけば、ほっておいても肉体という樹木は元気になります。ましてや「心の宿便」を出し切ることができるのなら、悩みが雲散霧消しないはずがありません。
 「体の宿便を出せば、幸せになれる。いわんや心の宿便をや」という宗鳳禅師の言葉が、百年後に持て囃されるようになるかもしれません。断食を体験したことのない人は、宿便の存在に気づくこともなく、肉体の不調が、たいていの場合、宿便に起因していることも知らないままでいます。断食をし、宿便を出した経験をもつ人のみが、心身の爽快感を味わうことができます。
 同様に、「心の宿便」の存在に気づかない人は、自分の不平不満の原因が、つねに自分の外の現象にあると思い込んでいます。誰それのせいで、自分は不幸だと思い込むわけです。「心の宿便」とは、私がよく言う「否定的記憶」のことですが、それに気づくことは、容易ではありません。自分の口臭や尿の臭いを自覚するのが、難しいのと同じです。
 美智代さんと私の合作である『ありがとうを言うと超健康になる』(マキノ出版、1333円)は、肉体と精神の「宿便」の出し方を忙しい現代人向けに分かりやすく説いたものですので、ぜひご一読ください。(2011・6・1)
 

「「ありがとうを言う」と超健康になる」