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「『異端力・規格外の人物が時代をひらく』(祥伝社新書)発売」
  7月1日に、新しい本が出ます。単著としては、三十七冊目の出版となります。全体の構成は、以下のようになっています。

第一章「歴史のページは異端がめくる」
第二章「日本仏教を発展させた異端の力」
第三章「異端は人間社会の宝物」
第四章「自分の中の異端力を高めよう」

 相変わらず大学の仕事と、各地への旅行の狭間で執筆した本ですが、書き始めてから三か月足らずで書けてしまったように思います。たぶん、それほど私の中には「異端」への思い入れがあるのでしょう。帯には、評論家の松岡正剛さんが「事なかれ主義の世の中、異端こそが日本を変える。この仏教者たちを見よ」と推薦の言葉を書いてくださいましたが、日本仏教を俯瞰する意味でも、面白い本だと思います。
 もう、時代は変わりました。人に遠慮している場合ではありません。自分の信じるところを、淡々と行動に移して行くだけです。去年の物差しで、今年を測ってはいけないのです。今年は今年の物差しで、新しい価値観を作っていかなくてはなりません。人に異端視されるぐらいのユニークな生き方が、求められています。
 還暦を過ぎて、つくづく思うのですが、残り時間が少なくなって来たぶんだけ、誰でも自分が本当にしたいことだけを選択してやって行かないと、往生際が悪いと思います。私は今、ミロクの里の山寺に暮らしていて、緑に囲まれているだけで、とても幸せな気持ちになります。こんな環境に暮らしながら、好きな本を書いたり、全国の「風の集い」に出かけて行って、素晴らしい出会いが持てたりするのは、まことに贅沢な話です。
 『異端力』の原稿を書き上げたその日から、私は三十八冊目の本を書き始めています。『浄光の海』(仮題)という津波を題材とした小説ですが、今、私の頭の中は津波でいっぱいです。あの津波で被害にあった人たちの哀しみに迫っていく作業を繰り返す中で、突然、涙が溢れて来たりします。
 私は、自分が学者なのか、作家なのか、宗教家なのか、よく分からない三叉路の真ん中あたりで生活をしていますが、いずれの分野の専門家から見ても、町田宗鳳は鼻もちならない異端だと思います。でも、それが私のアイデンティティーなのですから、人に何と言われようとも、変えたくないし、変えられもしないのです。
 ということは私だけでなく、AさんはAさんの、BさんはBさんの生き方を自信をもって貫けばいいだけで、誰にも遠慮はいらないのです。「とうとうそういう時代がやって来ましたよ、もっと自分を自由に羽ばたかせください」というメッセージを込めて、『異端力』という本を書きました。
 値段は798円です。1000円出せば、202円もお釣りが返って来て、コンビニで発泡酒が1本買えます。ちょっと仕事をサボって、公園のベンチででも、それを飲みながら読むと、三倍味わいが深まる内容になっていますので、ぜひ試してみてください。発泡酒も二倍おいしくなります。その時、あなたも立派な「異端」です。そして、そういう読み方を友人にも教えてあげてください。私は私で、あちこちの公園のベンチで発泡酒を飲みながら、私の本を読んでいる人々の光景を想像しながら、夢実現念仏を唱えることにします。(2012・6・28)



「異端力発売」


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