2002年6月2日
Redfield Shaker


WHOIはの歴史は以前にも書いたが、1930年設立と古く、設立以来、様々な海洋の研究が行われ、多くの成果を残してきたことは言うまでもない。研究所の中には、遺産としての価値が高い物や有名な物があり、それなりの説明文とともに展示されている物もある。

我々の研究室には、なんと、あのレッドフィールド博士自らが使用していたという振とう機があり、今現在でも使っている(写真)。


Dr. Redfield自らが使っていた振とう機


レッドフィールド博士といえば、海洋の化学や生物のことを勉強された方なら記憶にあると思うが、あの有名なレッドフィールド比を見つけられた先生である。ここに彼の写真があるが、1930年から1974年まWHOIにおられた海洋生物学者で、WHOIのAssociate Director(副所長になるのかな?)もやられた方である。Woods Hole Campusには彼の名前のついた建物もある。

レッドフィールド比について少し解説すると、海洋中の植物プランクトンは太陽光を受け二酸化炭素と栄養塩を使って光合成をするが、このときに植物プランクトンが取り込む炭素と窒素とリンの比率は一定で106:16:1になるというのがレッドフィールド比である。これらの値は海洋中での植物プランクトン生産を議論する時に重要な値である。また、実際にはこの値からのずれもあり、それらを議論し海洋中での一次生産になどに関する情報を得ることもある。(ここまでの部分で私の勉強不足から不正確な部分もあると思います。ご意見、訂正などあればここまでお願いします。)

この振とう機であるが、軽く見積もっても30年以上前のものであるが、いまだ元気よく働いてくれている。下の写真にあるように"WRIST-ACTION"とあるように横に突き出た棒が前後に回転、反転を繰り返し、その棒にクランプで取り付けた試料を振とうするというものである。BURRELLというのが会社名であると思う。横に突き出た棒やクランプなどは最近のもので当時のとは違うと思う。

振とう機としては十分機能している。ちゃんと試料を固定しないと吹き飛ばされることがあるくらい元気である。私は海水中の一酸化炭素を測定する際にこの振とう機を使っている。Endeavorの航海にも持っていく予定である。

タイマーらしきものがついているが、これはさすがに機能しない。振とう機はいつの時代のものでもよくあることだが、うるさく、また自分で歩いてしまう。この振とう機もやはり音は相当やかましい。また、ほっとくと歩いてしまうので両脇にしっかりと木をかまして固定してある。本体にマジックで「感電するするので、アースをとって、固定して使用すること」と書いてある。これは誰が書いたのかはわからない。(こんどボスに聞いてみよう)


Dr. Redfield自らが使っていた振とう機のプレート部分


アメリカでの研究生活はいろいろ有名な物や先生に接することができることも楽しみの一つであると思う。




2002年06月02日




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