2003年1月30日
寒いから・・・


ここCape Codの冬は寒い。

広島県に生まれ育って、かつ就職までしてしまった私にははじめての寒さである。
来る前から寒いらしいとは聞いていたが、どの程度寒いかなど下調べはしていなかった。出る前に前学部長に挨拶にいった時「ボストンは寒いので体に来をつけてがんばってください」とはいわれたものの、ボストンよりは南だし海沿いなのでと思ってたかをくくっていた。しかし・・・


2003年1月18日(土)の朝9時30分の外気温

1月の半ばからはほぼ毎日最低気温は零下、それどころか最高気温が零下の日々が続いている。(もちろん摂氏での話だが・・・。)家に帰った時に家の中が+3度摂氏もあれば暖かく感じる。今までの部屋の中の最低気温は-2度摂氏以下だった。外気はむろんそれ以下。昨日(1/28)は実験の都合で朝7時には研究所に行ったが、その通勤途中、Falmouthの町中の街頭温度計の表示は3度華氏、つまり−16度摂氏だった。
今日は雪もふり、比較的暖かったが、それでも最高気温は0〜1度摂氏ぐらいだったと思う。

これだけ寒いとけっこうおもしろいことも起こる。

まず、こんなに寒いのに車のウインドガラスが凍ることはほとんどない。
西条ならよく帰宅するときに車のウインドガラスが凍って、それをごしごしはがすに時間がかかっていたが、ココではそんなことはほとんどない。
なぜか? それはたぶん非常に湿度が低いからだと思う。毎日零下で、時には-15度を下回る。そうなれば空気中の水分はどんどん減って、しかも雨や雪がどんどん降るわけでもない。絶対湿度(空気中の水分量)が極端に低下している。それ故、いくら気温が下がっても露点 がそれよりも低いので、凍り付く水分も十分供給されず、従って車のウインドガラスが凍らないというわけである。
研究室も乾き切っている。昨日は湿度がなんと20%前後だった。それ故、静電気がすごい。少し歩いて装置をさわると"バッシ"と静電気が飛ぶ。装置は時々誤作動を起こす。
パソコンで仕事をしていると、キーボードからマウスに手を移した瞬間、マウスと手の間で静電気!!その瞬間、光学式マウスのランプが消えて、マウスは動かなくなる・・・。
のども良く渇く。

冷蔵庫もおかしくなる。
冷蔵庫やエアコンなどの冷凍機の場合、高温部(エアコンなら室外機、冷蔵庫なら冷蔵庫の外)と低温部(エアコンなら室内機、冷蔵庫なら冷蔵庫の中)の温度差が大きければ大きいほど効率は高くなる。つまり外が暑いときほどエアコンや冷蔵庫の冷却効率は高くなり、気温が低いと冷却効率が下がる。熱力学の基本的な項目である。
実際には冬にエアコンで室内を冷やす人はいないので、エアコンの場合は問題ないが、冷蔵庫はそうはいかない。
我が家の場合、昼間は家には誰もいないし暖房もきってでかけるので、気温はぐんぐんさがり、その結果、冷蔵庫内の温度が下がらなくなる。時には冷蔵庫内より室内のほうが低温になり、そうなれば冷蔵庫は止まってしまう。
冷蔵庫が止まってしまうと、冷凍庫ももちろん止まる。そうすると。。。。。
冷凍食品はいつもソフトな状態である。アイスクリームは溶けて、だらしない姿になってしまう。溶けると味もだらしなくなる。
この対抗策として冷蔵庫の温度設定を低く設定する。すると、たまに昼間暖かい日には、冷蔵庫は超がんばって、その結果、冷蔵庫内の野菜は凍ってしまう。ヨーグルトはシャーベットになってしまう。
我が家の冷蔵庫はいささか調子が悪いのかもしれないが、なかなか科学的には興味ある現象である。

海も凍っている。
海水は凍らない。凍っているのは水である。
下の写真を見てほしい。海岸の水際のところが凍っている。白く見えるのは波などはなく全て氷である。海水中の水分が凍っている。雪が溶け残った物でもない。
写真では見にくいが、水際の岩も海面から数センチ上の部分に氷がびっしり付いている。これも海水中の水分が岩に氷を作っているのである。
たくさんある池もほとんど凍っている。


しかしながら研究所の中は全て集中暖房なので大変暖かい、家は帰った直後は非常に寒いが、ガスストーブをつけて薪ストーブもたいて、薪ストーブが暖まってくると、室内は20度摂氏にもなる。そうなるとガスストーブはもういらない。
もっともこのへんのほとんどの家は灯油のボイラーで温水をわかして24時間暖めているので、そのあたりの家に比べればかなり寒い家である。




2003年1月30日




ホームページへ戻る