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不連続を含むデータの復元への応用

次に、ロバスト統計の考え方のちょっと変わった応用例として、不連続性を例 外とみなす滑らかさの評価基準について述べる。

正則化[63,84]は、与えられたデータだけからでは 解が一意に定まらないような問題(不良設定問題)を「滑らかさ」などの適切 な条件を付加することにより、良設定問題に変換して、近似解を安定に得るた めの手法である。コンピュータビジョンでも、奥行情報の復元やオプティカル フローの推定、スネークス[29]などで盛んに利用されている。

正則化では、未知の量 $z$ から観測過程 $A$ を通して観測されたデータ $y$ から、観測データと解の差を表すペナルティー項と滑らかさ等の制約を与える 安定化項との重み付き和

\begin{displaymath}
E = \sum_{i} \vert\vert Az_i - y_i\vert\vert^2 + \lambda \sum_{i} \vert\vert(Pz)_i\vert\vert^2
\end{displaymath} (80)

を最小化することにより $z$ を推定する。ここで、重み $\lambda$ は、正則 化パラメータと呼ばれている。

正則化の条件として「滑らかさ」を用いた場合、不連続な部分までもが滑らか になり、不連続性の復元が難しいことが知られている。この問題に対して、 Geman等[21]は、線過程(line process)を導入して、不連続性を解 決しようとしている。ロバスト推定の考え方を適用すると、比較的簡単に、不 連続な部分を例外値として自動的に除外し、それ以外の部分を滑らかに復元す ることが可能となる[80]。

一般的には、式(81)のように、観測データと解の差を表すペナルティー 項と滑らかさ等の制約を与える安定化項は、それぞれの2乗誤差で定義される が、これらの項を M-estimator の考え方を適用して、

\begin{displaymath}
E = \sum_{i} \rho(A z_i - y_i) + \lambda \sum_{i} \rho((Pz)_i)
\end{displaymath} (81)

のように変形すると、第1項でデータに含まれる例外値を自動的に除外し、第 2項で不連続点を例外値として自動的に除外することができる。

Black等[8,9]は、オプティカルフローの推定にこの方 法を利用し、良好な結果を得ている。また、梅山[80]は、不 連続がある輪郭の抽出のために、ロバストな滑らかさ基準を導入したスネーク スを提案している。



平成14年7月19日