概要
人間(動物)は、学習を通して、現実世界の多様で膨大な情報を類型的なパターンとして概念に対応付け、それらの関係を知識として蓄積することで、さまざまな状況に柔軟に対応できます。パターン認識は、人間が生存するための最も基本的な能力であり、知能の根幹をなしています。パターン認識研究室では、統計的パターン認識や機械学習の話題を中心に、実環境での実用に耐えるような汎化性能の高いパターン認識手法の開発とその画像認識等への応用について研究しています。


主な研究テーマ
安心・安全のための知的監視システム
防犯等の目的で様々な場所にカメラが取り付けられるようになってきていますが、現在の監視カメラは膨大な動画像情報をそのまま一定期間録画するものがほとんどです。しかも、記憶容量の制限から時間的に間引いたり、解像度を落としたりしており、肝心な情報が写っていない場合もあります。監視カメラで撮影した動画像から有用な情報を自動的に抽出することができれば、犯罪や危険が起こればすぐに対応することも可能になります。こうした監視カメラの知能化のためには、映像中の人(顔)の認識や動作の認識、さらには異常行動の検出等のパターン認識手法が重要となります。


自己連想メモリを利用したサングラスで隠れた顔の認識
安全運転支援のための状況・意図理解
運転者の周囲状況の理解が不十分であったり、運転者とシステムとの意思の疎通が不完全である等のために多くの交通事故が発生しています。この防止を目的とした支援システムの要素技術の開発を行っています。現在は、高速道路を走行中の車に取り付けた車載カメラで撮影した運転者や外界の動画像から運転者や車外の状況を認識するための技術の開発に取り組んでいます。


カメラの姿勢を考慮したHough変換による白線検出
脳型視覚情報処理手法
現在、情報技術の応用分野がどんどん複雑化・多様化しています。しかし、認識、学習、状況に応じた判断等が実現できていないことがボトルネックとなって、制限された状況でしか利用できない応用も多数残っています。一方、脳科学の研究が世界中で精力的に行われ、脳での情報処理の作動原理が明らかにされつつあります。そうした脳科学の知見を取り入れて、「人間には簡単に出来るけれど、現在のコンピュータには難しい」情報処理を実現するための研究も行っています。具体的には、脳科学の知見を取り入れた画像認識手法の開発、学習や注意の機能に関する理論的な研究等の基礎的な研究に取り組んでいます。


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