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付録 B.2. 孤立対象の個数の学習

図 B.2: 孤立対象の個数を推定するための係数
\begin{figure}\begin{center}
\psfig{file=maskcof.eps,width=8cm}\end{center}\end{figure}

画面内の孤立対象の個数を高次局所自己相関特徴と重回帰分析によって例から学習し た結果、図B.2 に示すような各局所マスクに対応する重みが得られた。 これは、付録 B.1. の不変量と次のように関係している。

画像の各画素を点として、図B.1 (a) のように画像を最も小さな三角形 に分割した時、マスク No.1 に対応する特徴 $x_1$ は、ちょうど頂点の数 $P_1$ を 数えていることになる。同様に、マスク No.2、No.3、No.4 に対応する特徴 $x_2$$x_3$$x_4$ の和 $x_2+x_3+x_4$ は、辺の数 $S_1$ を数えていることになる。ま た、マスク No.18 と No.22 に対応する特徴 $x_{18}$$x_{22}$ の和は、面の数 $F_1$ を数えていることになる。従って、不変量は

\begin{displaymath}
E_1 = x_1 - (x_2 + x_3 + x_4) + (x_{18} + x_{22})
\end{displaymath} (448)

となる。

一方、同じ図形を図B.1 (b) のように三角形分割した場合を考えると、 点の数は $P_2 = x_1$、辺の数は $S_2 = x_2 + x_4 + x_5$、面の数は $F_2 =
x_{20} + x_{24}$ となる。従って、この場合の不変量は、

\begin{displaymath}
E_2 = x_1 - (x_2 + x_4 + x_5) + (x_{20} + x_{24})
\end{displaymath} (449)

となる。

今、これらの不変量の平均を考えると

$\displaystyle E$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{1}{2}(E_1 + E_2)$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle x_1 - x_2 - \frac{1}{2} x_3 - x_4 - \frac{1}{2} x_5
+ \frac{1}{2} x_{18} + \frac{1}{2} x_{20}
+ \frac{1}{2} x_{22} + \frac{1}{2} x_{24}$ (450)

となり、学習によって得られた重み係数と一致する。従って、システムはこれら2種 類の三角形分割から得られる位相的不変量の平均を利用して孤立対象の数を推定して いるといえる。ここで、重要なのは、これをシステムが例から自動的に学習したこと である。



Takio Kurita 平成14年7月3日