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近似としての正準相関分析

最後に正準相関分析について考える。条件付き確率 $p(\mbox{\boldmath$v$}\vert\mbox{\boldmath$u$})$ および $p(\mbox{\boldmath$u$}\vert\mbox{\boldmath$v$})$ の線形近似 $L(\mbox{\boldmath$v$}\vert\mbox{\boldmath$u$})$ および $ L(\mbox{\boldmath$u$}\vert\mbox{\boldmath$v$}) $ を用いて交差係数 $s$ の 近似を計算すると、

\begin{displaymath}
\tilde{s}(\mbox{\boldmath$v$}\vert\tilde{\mbox{\boldmath$v$...
...ilde{\mbox{\boldmath$v$}} - \bar{\mbox{\boldmath$v$}}_T)
+1]
\end{displaymath} (153)

となる。これを式 (2.130) の固有値問題の $ s(\tilde{\mbox{\boldmath$v$}}\vert\mbox{\boldmath$v$}) $ に代入すると、線形の正準相関分析の固有値問題 (2.128) と同値な式が得られ る。

以上の結果は、線形のデータ解析手法と非線形のデータ解析手法とは、条件つき確率 の線形近似を通じて密接に関係していること示している。すなわち、線形のデータ解 析手法は、確率分布に関する情報が二次までの統計量だけしかわからない場合に、確 率分布を線形近似することによって非線形のデータ解析手法を近似的に実行したもの であると言える。



Takio Kurita 平成14年7月3日