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しきい値選定実験

上記のしきい値選定のための評価基準を比較するために、乱数を用いて生成したヒス トグラムに対するしきい値選定実験を行った。

図 3.1: ヒストグラム($\pi _1=0.5$, $\mu _1=50.0$, $\sigma _1=15.0$; $\pi _2=0.5$, $\mu _2=150.0$, $\sigma _2=15.0$
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\psfig{file=images/fig-3.1.eps, width=80mm}\end{center}\end{figure}

3.1 は、パラメータ$\pi _1=0.5$, $\pi _2=0.5$, $\mu _1=50.0$, $\mu _2=150.0$, $\sigma _1=15.0$, および $\sigma _2=15.0$ で生成したヒストグラ ムである。このヒストグラムに対して、しきい値 $T_O$, $T_Q$, および $T_K$ は、 すべて、同じであった。各クラスの画素数が同じで、分散も等しいヒストグラムに対 しては、3つの基準は同等の結果を与えることを示している。従って、この場合には、 パラメータ数が少ないという意味で大津の方法が最も良い方法である。

図 3.2: ヒストグラム($\pi _1=0.05$, $\mu _1=50.0$, $\sigma _1=18.0$; $\pi _2=0.95$, $\mu _2=150.0$, $\sigma _2=18.0$
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\psfig{file=images/fig-3.2.eps, width=80mm}\end{center}\end{figure}

3.2 は、パラメータ$\pi _1=0.05$, $\pi _2=0.95$, $\mu _1=50.0$, $\mu _2=150.0$, $\sigma _1=18.0$, および $\sigma _2=18.0$ で生成したヒストグラ ムである。この例では、分散は同じであるが、$\pi$ が極端に異なる。この場合には、 大津のしきい値 $T_O$ はバイアスを持つことがわかる。一方、$T_Q$ および $T_K$ は、妥当なしきい値を選択している。従って、この場合には Kittler らの方法より もパラメータ数の少ない $T_Q$ が最も良い方法であるといえる。

図 3.3: ヒストグラム($\pi _1=0.25$, $\mu _1=38.0$, $\sigma _1=8.0$; $\pi _2=0.75$, $\mu _2=121.0$, $\sigma _2=40.0$
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\psfig{file=images/fig-3.3.eps, width=80mm}\end{center}\end{figure}

3.3 は、パラメータ$\pi _1=0.25$, $\pi _2=0.75$, $\mu _1=38.0$, $\mu _2=121.0$, $\sigma _1=8.0$, および $\sigma _2=40.0$ で生成したヒストグラム である。この例では、分散も画素数も極端に異なる。この場合には、Kittler らのし きい値 $T_K$ のみが妥当である。これは、$T_O$$T_Q$ では、仮定が満足されな いためである。



Takio Kurita 平成14年7月3日