next up previous
次へ: 本章のまとめ 上へ: データが逐次的に与えられる場合のクラスタリングアルゴリズム 戻る: 2乗誤差

画像のデータ圧縮への応用

図 3.13: ベクトル量子化による画像のデータ圧縮
\begin{figure}\begin{center}
\psfig{file=girl.eps,width=7cm}\\
(a)元画像(256 $...
...rvq.eps,width=7cm}\\
(b)圧縮画像(1.5ビット/画素)
\end{center}\end{figure}

上述のアルゴリズムは、計算時間を高速化するために k-means 法のようにデータを 繰り返し処理することを避け、データを1回だけ処理するものであるため、必ずしも 最適な代表ベクトルが得られるとは限らない。ここでは、上述のアルゴリズムによっ てどれくらい良い代表ベクトルが得られるかを調べるために、画像の圧縮実験を試み た。図3.13に上述のアルゴリズムを用いたベクトル量子化による画像のデー タ圧縮の結果を示す。図3.13 (a) は、圧縮前の画像である。画像の大きさ は、256 $\times$ 256画素であり、各画素は256階調(8ビット)の濃淡値 で表されている。図3.13 (b) は、圧縮したデータから復元された画像であ る。データ圧縮には、M/RVQ (mean / residual vector quantizer) 法 [119]を用いた。これは、画像を4 $\times$ 4画素の小ブロックに分割 し、各ブロックをその平均値と各画素の濃淡値のその平均値からのずれのベクトルと に分けて、ずれのベクトルをベクトル量子化する方法である。ここでは、画像の左上 から順番にブロックをスキャンして、上述のアルゴリズムを用いて代表ベクトルを決 定した。ここで、代表ベクトルの数は256個とした。これにより、画像は1.5 ビット/画素にまでデータ圧縮される。復元された画像と元の画像と差がほとんどわ からない。従って、上述のアルゴリズムによってデータを1回処理するだけで、かな り良い代表ベクトルが得られているものと考えられる。



Takio Kurita 平成14年7月3日