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カラー画像の BTC アルゴリズムの改良

上述のカラー画像の BTC アルゴリズムでは、主成分スコアに基づいて画素を2つの クラスに分類するために最も簡単な平均値による1ビットのスカラー量子化器を用い た。しかし、平均値による量子化は必ずしも復元されたブロックともとのブロックと の平均2乗誤差を最小とするとは限らない。ここでは、平均値による量子化の代りに平均2乗誤差の主軸への射影が最小となるようなしき い値による量子化法について考える。

主成分スコアをあるしきい値によって2つのクラスに分類することによって、ブロッ ク内の対応する画素を2つのクラスに分類したとき、復元されるブロックともとのブ ロックとの平均2乗誤差の主軸への射影は

$\displaystyle \varepsilon^2_1$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{1}{m} \left\{ \sum_{i \in C_0}
(\mbox{\boldmath$x$}_i - \ba...
...{\boldmath$u$}^T (\mbox{\boldmath$x$}_i - \bar{\mbox{\boldmath$x$}_1})
\right\}$ (283)
  $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{1}{m} \left\{ \sum_{i \in C_0}(y_i-\bar{y}_0)^2
+ \sum_{i \in C_1}(y_i-\bar{y}_1)^2
\right\}$ (284)

となる。ただし、
$\displaystyle \bar{\mbox{\boldmath$x$}}_0$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{1}{q} \sum_{i \in C_0} \mbox{\boldmath$x$}_i$ (285)
$\displaystyle \bar{\mbox{\boldmath$x$}}_1$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{1}{m-q} \sum_{i \in C_1} \mbox{\boldmath$x$}_i$ (286)

は、それぞれ、クラス $C_0$ および $C_1$ の平均色である。また、$q$ はクラス $C_0$ に分類された画素数であり、 $\bar{y}_0 = \frac{1}{q} \sum_{i \in C_0} y_i$ 、および $\bar{y}_1 = \frac{1}{m-q} \sum_{i \in C_1} y_i$ は、クラス $C_0$ および $C_1$ の平均主成 分スコアである。

これを最小とするしきい値を選定するには、以下のように、大津の平均2乗誤差を最 小とするしきい値選定法[126,127,128] を利用することができる。

今、各画素の主成分スコア $y_i$ はソートされ添字が

\begin{displaymath}
y_1 \leq \ldots \leq y_m \nonumber
\end{displaymath}  

となるように付け代えられているものとする。このとき、最適なしきい値は、
\begin{displaymath}
\rho(k) = \frac{1}{k(m-k)} \left\{ \sum_{i=1}^k y_i \right\} ^2
\end{displaymath} (287)

を最小とするような $y_k$ である。

従って、ブロック内の各画素は、主成分スコアの平均値の代わりにこのしきい値 $y_{th}$ を用いて2つのクラスに分類される。すなわち、もしその画素の主成分ス コアがそのしきい値 $y_{th}$ より小さいならクラス $C_0$に分類され、大きいなら クラス $C_1$ に分類される。



Takio Kurita 平成14年7月3日