修正ウィーバー法による農業地域区分

 パソコンソフトに習熟してもらうため,今年度は2年生からイラストレーターに挑戦しています。作図がきれいにできるので,皆さん喜んでいるようです。解説は学生に全く委ねているので,?付きのものもあります。ご了解ください。


<静岡県1990年>

 図を見ても分かるように、静岡県には多種多様な農業が盛んである。県北西部では工芸農作物(茶)、南部では工芸農作物と茶が目立つ。茶は県のいたるところで栽培されているが、量的には大井川下流の牧之原周辺一帯で、質的には大井川上流の霧の多い川根町周辺が有名である。また、同県を代表する農作物に、ミカンがある。ミカンは伊豆半島全域と駿河湾沿いが主要産地である。茶やミカンの1型の農業に対し、4型、5型の地域もある。特に県東部は野菜、花卉類、飼料用作物なども栽培されていて、温暖な気候に恵まれ、農業が盛んな静岡県の特色が垣間見られる。


<静岡県1995年>

 静岡県の農業の特徴を修正ウィーバー法から捉えてみると,大きく二つの特徴があるものと考えられる。まず,静岡市周辺以西では,工芸作物の中の茶栽培,稲と茶栽培等を混合した農業形態となっている。これは,我々が周知の通り静岡県が茶の生産量日本一であること,牧の原台地に代表されるような水はけの良い茶の生産に適した土地であったので,茶の生産が盛んなのであると考えられる。米は日本の食生活の中軸をなすものである。この米を生産するのに台地という水利の悪い悪条件であったので,灌漑水路を張り巡らすなどの工夫がなされた結果,米栽培が台地内でも行えるようになったのであると思われる。
さて,静岡県東部は果樹栽培とくに柑橘類栽培が盛んであることがわかる。愛媛・和歌山に次ぐ日本有数の柑橘類生産地であり,みかんをはじめ夏みかんなども生産されている。これも伊豆半島,半島北の山地の山肌を利用した生産が行われている。また,小さな平野を利用した米栽培,大根を中心とした野菜栽培,温暖な気候を利用した花卉栽培など,多様な農業が行われていることが,図からうかがえる。
 このように,大まかに述べると静岡県は米を基盤におきつつも,西部では茶,東部では柑橘類栽培が盛んであるということが図からわかる。ただし,静岡県全体で見てみると,平野がかぎられており,山地や台地の多い土地であるため,その土地条件に適合した農作物が生産されているということがこの図からわかるのではないかと考えられる。


<愛知県1990年>

 愛知県の1990年の農業区分図から,特徴を述べる。
太平洋沿岸部には,稲・野菜の第二種となっている。この地域ではキャベツ栽培が特化しており,そのため,このような分布が見られるようである。しかし伝統的な白菜栽培や,洋菜類の栽培が導入されつつあった。また,露地野菜栽培から,施設園芸への変化も見られたようだ。また,渥美町は野菜の第一種が示されており,その特化をしめす要因となったのは,メロンをウリ科の「野菜」としているならば,メロンであると思われる。
 また,渥美は1964年当時,無加温電照ギク産地が地域分化を伴いながら大型産地を形成していた。また,1988年愛知県は洋ラン栽培の全国第一位を記録していた。しかし,そのような数値は1990年には現れていないのも特徴的である。
 だいたい,愛知県では,稲が第一種になっているが,稲と他の作物とで特化し,第二種になっている地域構造も見られる。まず,県中心部の豊田市,岡崎市,安城市,西尾市は,稲と麦の第二種である。次に,県北西部では,名古屋周辺地域で,稲と野菜の第二種になっている。稲と果実の第二種は三河湾沿岸の幸田町,幡豆町,吉良町であり,おそらくイチゴ栽培が盛んなのであろう。
 工芸農産物が第一種を示している富山村は「日本一のミニ村」と言われている。よって,あまり目立った農産物は見られないようである。
 このように見ると,愛知県は些細な地域的差はあるものの,おおよそ,まとまりある,区分がされていることが分かる。1990年,このような分布を示している愛知の,現在の農業区分にも興味がある。間の95年の区分とも見比べることで,様々な事を知っていきたいと思う。


<愛知県1995年>

 愛知県の農業区分を見てみると、大半が稲の一種生産と区分できる。1種や2種の市を中心に検討する。愛知県の北部,江南市は白菜や大根で有名である。名古屋市の北西に位置する稲沢市、祖父江町は花卉と稲の2種である。この2市は都市部から近く、鮮度が重要で寿命が短い花卉には、運送に時間が掛からないので適した場所である。稲沢市では苗木,祖父江市では銀杏が有名である。また、三河湾沿岸地域は、蒲郡市や御津町に果樹の割合が高い。これは全国的にみかんの生産地である愛知県のなかで特にこの三河湾沿岸地域の占めるハウスみかん生産の比重はきわめて大きいため、農業区分図にも影響が出てきたのだろう。御津町はイチゴの生産を行う農家も多い。イチゴは幡豆町や幸田町の北部にも多く、やはり農業区分図に表れている。その反面,渥美町の電照菊などは農業区分では表れていない。野菜の1種生産というのは渥美町はメロン,他にもキャベツで有名であり,割合で圧倒的であったのだろう。修正ウィ−バー法でみると豊山町は工芸の1種生産になっているが,これはほかに特別何も生産していないという理由からだろう。この町は農業よりも名古屋空港の大半があるのに知られていないので有名である。町はそちらのほうに力を入れているようである。その市の農業の特徴がそのまま綺麗に栽培面積でみる修正ウィ−バー法で表れる訳ではないが,今回は三河湾沿岸地域の特徴が綺麗に表れたといえるだろう。


<広島県1995年>

 広島県の農業土地利用は,陸地と島で大きく異なる。陸地は稲,島では果樹が卓越している。東部の島々では果樹を軸とした農業が行われており,町全体でそれを前面にうちだしている。これは島が、みかん栽培に適した温暖な気候、水はけのよい土地であるとともに、地形が入り組んでいたりして、現在の機械化された稲作に適した広い水田がないためでもあるだろう。一方,広島湾に浮かぶ島々では果樹に加え,野菜や花にも土地が多く利用されている。これは,温暖な気候に加え、広島市といった大消費地が近くにあり,比較的輸送に時間がかからず、便利なためであると考えられる。広島県は図を見てもわかるように、90%以上の市町村で稲の土地利用が多い。残りの10%の中でも特異なのは豊松村と湯来町である。豊松村で工芸作物の土地利用が多いのは、県内一の生産をほこるこんにゃくのためであり、湯来町で飼料作物の土地利用が多いのは、砂谷牛乳が牛の餌となる飼料作物を多く栽培しているからである。


<愛媛県1990年>

 愛媛県といえばみかん栽培がすぐに思い浮かぶ。図に示されるように,ほとんどの地域で果物の生産がなされている。特に南西の瀬戸内海に面した地域と島では果樹が栽培面積のほとんどを占めている。
沿岸部においては果物が大きな割合を占め,内陸部では果物以外の作物も栽培されている。また果物と並び稲の栽培も行われている。県東部では果樹ではなく稲の栽培が中心となっている。面積の小さな魚島村と西海町では農業はまったくなされておらず,漁業で生計をたてていると思われる。
 以上が修正ウィーバー法を使って区分した図より分かる愛媛県の農業の特徴である。


<愛媛県1995年>

1995年の愛媛県の作物別収穫面積からみた農業地域区分図を、修正ウィーバー法を用いて作成してみると、次のようなことが分かった。愛媛県は、みかんの生産量が全国で第1位として名高いために、果樹栽培の1種型の農業地域が多いと思いがちである。しかし、実際、このような農業地域は県西部と県北部の島々に限られており、意外にも他の作物との結合型が多いことが分かる。中でも目立つのは、稲+果樹の2種型であり、この農業地域は、県北部から県中心部にかけて広がっている。また、稲栽培の1種型も多く、愛媛県は、稲の1種型、果樹の1種型、稲+果樹の2種型の農業地域がほとんどを占めている。その他の地域では、特徴的な作物結合を示しており、2種型を示すのは、稲+野菜で美川村と柳谷村、稲+工芸作物で面河村、稲+麦で松前町である。また、3種型を示す農業地域では、いずれも稲+果樹は共通しているようである。大洲市と土居町では、これに加えて野菜栽培、野村町では飼料用作物、内子町では工芸作物の栽培が盛んである。4種型を示すのは、県東部の新宮村と別子山村のみであり、新宮村では、稲+工芸作物+花卉類+果樹の4種型、別子山村では、果樹+野菜+いも類+豆類の4種型を示している。以上のことから、愛媛県の農業では、稲作とみかんに代表される果樹栽培が中心となっていることが分かる。


<鹿児島県1995年>

 全域的に稲が中心の農業である。その中でも特に,薩摩半島の付け根である,川内市を中心とした地域(薩摩郡や伊佐郡)では,1種の稲作地域である。また,そのほかの薩摩郡や姶良郡,曽於郡では稲と飼料の2種地域となっている。
 次に,鹿児島県特有のいもであるが,薩摩半島の南部が盛んである。このうち,東シナ海に面した枕崎市,知覧町,頴娃町はいもと工芸農作物との,また山川町はいもと野菜の2種地域であり,稲が上位作物ではない珍しい地域である。
 県東部,大隈半島は大部分が稲・いも・飼料用作物の3種地域である。また,そのほかの市町村であっても,飼料用作物が上位作物になっているのが大隈半島の特徴である。この付近は,火山灰の堆積したシラスと呼ばれる特殊な土壌のため,このような特徴になるのであろう。
 以上のことを総括して,鹿児島県では,県全域で稲,県西部の薩摩半島と県中央部ではいも,そして県東部の大隅半島では飼料用作物が盛んで,その外縁部で麦,豆,工芸用農作物,野菜類,花器類,果樹の栽培が行われていると言えよう。