研究テーマについて

 

 

- 新約聖書学、とりわけ第二パウロ書簡および公同書簡の文献学的研究

専門はキリスト教研究。とりわけ新約聖書です。新約聖書学は、新約聖書に収められた27文書それぞれを古代の文献として扱い、その文書が書かれた事情や文書が持つ思想的内容を考察します。またその背景となる初期キリスト教の歴史を再構成するのも新約聖書学の課題です。

新約聖書学においては、イエスと福音書、またパウロが書いた書簡の研究が主流をなしていますが、私が主に取り組んでいるのは、新約聖書の中でも「周縁的」位置に立つ諸文書、すなわち第二パウロ書簡(パウロの死後にパウロの名前で書かれた偽作書簡)および公同書簡(ヤコブ書簡、第一・第二ペトロ書簡、ユダ書簡、第一・第二・第三ヨハネ書簡。近年ではヨハネ書簡は除外されることもあります)です。これらの文書は、イエスやパウロといった「宗教的天才」の思想を、1世紀後半から2世紀前半にかけての(決して天才ではない)キリスト教徒たちがどのように受け止め、展開したかを示す貴重な資料であると共に、現代の読者がイエスやパウロの思想をどう受け止めるべきかの範例ともなるものです。

 

- 初期キリスト教における偽名文書の成立過程と動機

第二パウロ書簡や公同書簡は(異論も以前強いのですが)すべて偽作書簡です。1世紀後半から2世紀前半にかけて、パウロやヤコブ、ペトロといった、キリスト教最初期の重要人物の名前を冠した偽作書簡が相次いで現れた理由は何かということを、書簡自体の分析を通して、また、古代ギリシャ・ローマ世界および古代ユダヤ教における偽作文書の歴史を見ながら行おうとしています。

 

- 1世紀後半〜2世紀のパウロ受容史を通した、パウロ解釈の可能性の検討

パウロの思想は、キリスト教神学の核となるものですが、それをパウロ亡き後の教会の人々がどのように受け止めたのかという「受容史」の観点から分析するということは、まだ十分になされているとは言えません。第二パウロ書簡や公同書簡、さらには「使徒教父文書」などの分析を通して、パウロ思想の解釈にはどのような幅があったのかをまとめ、今日の我々がパウロ書簡を読む時の手助けとしたいと考えています。

 

*広島大学における講義や演習ではもちろん、上記以外のテーマも随時扱います。卒業論文や修士論文、博士論文のテーマは、新約聖書および初期キリスト教に関係するものであれば広く対応します。関心のある方は一度ご相談ください。(メール:tsujim#hiroshima-u.ac.jp。#を@に変換して下さい。)

 

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