研究業績3:翻訳

 

・ マルティン・ディベリウス著/辻 学監訳/加山宏路・加山久夫・吉田忍訳『福音書の様式史』(聖書学古典叢書)、日本キリスト教団出版局、2022年9月。392頁

    ルドルフ・ブルトマン『共観福音書伝承史』と並ぶ、様式史的研究を新約聖書にもたらした記念碑的著作。新約聖書学に携わる人間必読の古典的名著。共訳者が作成した原稿を最終的にチェックし、改稿する仕事を引き受けました。定価9000円プラス税。


・ カール・P・ドンフリード、I・ハワード・マーシャル 共著/山内一郎、辻 学 共訳『パウロ小書簡の神学』(叢書新約聖書神学9)、新教出版社、2016年4月。270頁(担当:第5章〜第14章)

        『新約聖書の倫理』、『イエス・神の喩え』に続く、山内一郎先生(関西学院大学名誉教授)との共訳第3弾。第一・第二テサロニケ書、フィリピ書、フィレモ ン書の成立事情、思想的特徴などについて解説されています。定価    4000円プラス税。


・ エルンスト・ローマイヤー『ガリラヤとエルサレム:復活と顕現の場が示すもの』(聖書学古典叢書)、日本キリスト教団出版局、2013年6月。

マ ルクスセン『福音書記者マルコ』(下記参照)に続く「聖書学古典叢書」の1冊。4福音書がイエス復活顕現の場所としてガリラヤとエルサレムの二つを指し示 しているのはなぜかという問いから始まって、マルコ福音書におけるガリラヤとエルサレムの意味を考察し、エルサレムと並ぶもう一つの「中心地」としてガリ ラヤ教会があり、エルサレムとは異なるキリスト論を展開していたことを論証しようとする、その後のマルコ研究に大きな影響を与えた研究書です。定価 3000円プラス税。

 

ゲルト・タイセン『イエスとパウロ キリスト教の土台と建築家』(日本新約学会 編訳)、教文館、2012年6月。

上 記2本の翻訳を収録(129-179頁および253-276頁。前者は須藤伊知郎氏との共訳)。両者とも「ですます」調の文章で統一されています。本書 は、タイセン教授の滞日講演4本に、さらにイエスとパウロに関する論文を1本ずつ加えた計6本の論文から成っています。定価2200円プラス税。

 

ゲルト・タイセン「律法信仰から選びの信仰へ――ローマ書に照らしたパウロの神学的確信――」、『日本の神学』第50号(2011年9月)9-30頁。

2010 年9月17日に立教大学で行われた、日本基督教学会第58回学術大会におけるゲルト・タイセン氏(ドイツ・ハイデルベルク大学名誉教授)による講演の翻訳 です。この翻訳は改稿の上、他の講演訳稿と共にタイセン教授滞日講演集として教文館より出版されます。(下記参照。そのためPDFを掲載していません。)

 

ゲルト・タイセン「史的イエスとケーリュグマ――学問的構成と信仰への道――」、『神学研究』第58号(2011年3月)175-190頁。PDF

2010 年9月13日に日本キリスト教団大阪東梅田教会で行われた、関西学院大学神学部・同志社大学神学部・関西学院大学キリスト教と文化研究センター主催による ゲルト・タイセン氏(ドイツ・ハイデルベルク大学名誉教授)による講演の翻訳です。同じ内容の講演が同年9月9日に西南学院大学神学部主催でも行われてお り、そちらの訳稿は同大学神学部教授の須藤伊知郎氏によって作成され、『神学論集』(西南学院大学神学部)68巻第1号に掲載されています。

 

ヴィリ・マルクスセン『福音書記者マルコ 編集史的考察』(聖書学古典叢書)、日本キリスト教団出版局、2010年10月。

20世紀後半の新約聖書学で中心的役割を果たした、そして今でもなお多くの学者が用いる方法論である「編集史」(Redaktionsgeschichte)。H. コンツェルマン『時の中心』と共にその先駆けとなった本書がドイツで出版されてすでに50年以上。すでに「古典」となりましたが、この方法について学ぶためには欠かせない1冊です。定価3990円プラス税。

 

ダヴィッド・ヴィダー「ヘブライ書における同行者としての教師」、『キリスト教の教師:聖書と現場から 山内一郎先生献呈論文集』、新教出版社、2008年11月、108−125頁。

山内一郎先生への献呈論文集(著書のページご参照)に、関西学院大学神学部(宣教師)の David Wider 教授が寄稿してくれた論文を和訳し収録したものです。Wider 教授は、ベルン大学に留学したときからの親しい友人で、同大学からヘブライ書の研究で神学博士号を取得しています。Theologischer Verlag Zürich から出版されている3巻ものの注解書 Erklärt: Der Kommentar zur Zürcher Bibel のヘブライ書も担当しています。

 

ウルリヒ・ルツ「キリスト論的一神教――新約時代のキリスト教における平和の実現と潜在的攻撃性」、『日本の神学』第45号(2006年)9−45頁。

ル ツ教授が、2005年9月に再来日し、日本基督教学会第53回学術大会(於:関西学院大学)で講演を行なった際に通訳を担当しました。これは、その講演内 容に若干の修正を加えた上で翻訳収録したものです。90分くらいの通訳つき講演の割には分量が非常に多く、マシンガンのような勢いで話が続いたので、通訳 後は本当にへとへとでした。キリスト教の視点から平和問題を考える際には必見の講演内容だと思います。『日本の神学』は日本基督教学会の学会誌ですが、キ リスト教書店でも入手できます。

 

ウルリヒ・ルツ講演『マタイのイエス』(関西学院大学神学部編)、日本キリスト教団出版局、2005年7月。96頁。

ウ ルリヒ・ルツ氏(ベルン大学名誉教授)が、2004年3月〜7月の滞日時(関西学院大学神学部客員教授)に行なった講演5つを翻訳して収録したもの。私の 担当は、第3章「イエスの死」。6月に行われた関西学院大学神学部とキリスト教と文化研究センター共催で行われた講演で、通訳を私がした関係で、原稿の翻 訳も引き受けました。この講演は、ルツ教授が神学部で行なった講義「イエス」の一部分でもあり、講義の1回分が公開講演会になりました。定価1600円プ ラス税。

 

P. シュトゥールマッハー、『ナザレのイエス、信仰のキリスト』(加藤善治・辻 学共訳)、新教出版社、2005年2月。202頁。

い わゆる「イエス本」の一つですが、北米のそれとは対極にあるような1冊。著者シュトゥールマッハーは有名な新約学者ですが、この本の内容は、教義学者が新 約聖書学もついでにやっている、といった感じです。教義学、あるいは伝統的・教会的信仰内容に合うような新約聖書学研究を志向しているので、学問的には首 を傾げたくなるような記述も見られます。聖書を「切り刻む」ような聖書学のやり口や、叙述の歴史性を否定するような主張に辟易している人、あるいは、教会 的信仰を裏づけてくれるような聖書研究を求めている人は安心して読めることでしょう。「訳者あとがき」にも書きましたが、最初は加藤善治氏(関西学院大学 神学部教授)が単独で翻訳を始めたところ、諸般の事情から完成が難しくなったため、途中から仕事を引き継いで完成させた次第です。定価1900円プラス 税。

 

A. チェスター/R. P. マーティン、『公同書簡の神学』(叢書新約聖書神学13)、新教出版社、2003年7月。232頁。

一 人で翻訳作業を全部やったのはこの本が最初です。シリーズの1冊なので、早く出版しないといけないと思いつつ、自分の注解書を書くのに時間を取られて、脱 稿が予定より大幅に遅れてしまいました。チェスターが書いている「ヤコブ書」の章は非常に面白く読めたのですが(とくに、パウロとの関係についての項は、 欧米の学者には珍しく「パウロ護教論」でない正直な、好感が持てる叙述です)、マーティンが書いている部分が退屈で、それに応じて翻訳のスピードも鈍りま した。翻訳はどうしても、仕事としての優先順位が下がってしまうため、ほかの仕事が入ると後回しにしてしまうということもあります。だったら最初から引き 受けなければいいわけですが。川村輝典氏(元東京女子大学教授)が『本のひろば』に書評を書いて下さったのですが、その中に、原文の意味をきちんと表して いない訳文があるという趣旨のことを書いておられます。誤訳がある可能性はもちろん否定しませんが、どこがそうなのかを具体的に指摘してくれないとフェア ではないと思います。「大家」の書評にはよくあることなのですが。定価3000円プラス税。

 

E. シュヴァイツァー、『イエス・神の譬え――イエスの生涯について実際に何を知っているのか――』(山内一郎監修・辻 学訳)、教文館、1997年6月。232頁。

1995 年9月にスイス留学から戻ってきた後、学位論文の出版準備と並行して進めたのがこの翻訳でした。翻訳出版の話は山内一郎教授からいただき、共同で作業する ことにしました。最初に私が全体の訳文を作り、それを山内教授が閲読し、その結果を二人で見ながら、最終の訳文を決めるという、本当の意味での共同翻訳 だったのですが、全体の訳文を最初に作ったのが私だからということで、山内先生は遠慮してご自身を「監修」という肩書きにしておられます。史的イエス論争 に、キリスト教徒の立場からどう取り組んだらよいのかを考える際に非常に参考になる1冊だと思います。翻訳にあたっては、原著者のシュヴァイツァー教授に 手紙を出して問い合わせることもしました。定年退職して、助手もいないような状況でこれだけの本を書き上げたシュヴァイツァー教授の知力・体力には敬服し ます。定価2700円プラス税。

 

E. ローゼ、『新約聖書の倫理』(山内一郎・辻 学・近藤直美共訳)、教文館、1995年5月。264頁。

神 学部の学部ゼミおよび大学院後期課程ゼミの指導教授である山内一郎先生から声をかけていただいて翻訳を手伝ったものです。上記のラングの本は英語からの翻 訳でしたが、これは初めてのドイツ語からの翻訳経験でした。うまい日本語の文章を作るのが実は難しいということを最初に痛感したのは、この本を訳した時で す。1991年の夏にスイス留学に出かけたのですが、出発前に完成せず、語学研修のために滞在していたフリブール大学の学生寮で、研修の合間を縫って翻訳 を仕上げたのが思い出されます。この頃は、まぁヘタでも、後で先生が直してくれるだろうという甘えがまだありました。実際、かなり先生の手が入っています から、共訳と言ってもお手伝いみたいなものです。定価4200円プラス税。

 

B. ラング編、 『唯一なる神――聖書における唯一神教の誕生――』(荒井章三・辻 学共訳)、新教出版社、1994年4月。240頁。

生 まれて初めての出版物。関西学院の大学院神学研究科前期課程で履修した「聖書時代史特殊講義」で講読した書物です。夏休みの課題として提出した1章分の翻 訳に、担当教員だった荒井章三先生(松蔭女子学院大学教授。非常勤で来ておられた)が大幅に修正の手を加えて下さり、先生が訳されたほかの部分と併せて共 訳で出版して下さいました。自分の名前で本が出た時の喜びは今でも忘れられません。荒井章三先生に非常に感謝しています。最初の出版物が旧約の翻訳書とい うのは、今から思えば不思議ですが。一神教が注目される昨今ですが、聖書の語る一神教を考える上で欠かせない一冊だと思います。共著『現代を生きるキリス ト教』を執筆する時にも大いに参考になりました。定価2500円プラス税。

 

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