うじらぼアイチャッチ

拡大教科書を発注する前にお読みください

「拡大教科書があるから、それを頼んでおけばよい」といった気軽な気持ちで拡大教科書を依頼していませんか?子どもたちの将来の自立を見据えたとき、何年生くらいまで○○ポイントの拡大教科書を利用して、何年生くらいから、拡大鏡(ルーペ)も併用して、何年生くらいから拡大教科書のポイント数を再検討しよう、といった子どもの将来を見通した計画に基づいて、拡大教科書やそのほかの拡大鏡や拡大読書器などの拡大法の利用の方法を導入していく必要があると考えられます。

最も好ましくないのは、「昨年もこれだったから、今年もそうしようね。」といった具合に、無計画に小学校低学年から利用している拡大教科書を利用し続けることだと考えられます。ぜひ、拡大教科書を発注する際は、視覚障害の特別支援学校(旧 盲学校)、弱視の通級指導教室やロービジョン外来を行っている眼科、あるいは本学(広島大学)のように視覚障害教育専攻を持っている大学へご相談ください。

子どもたちの将来の自立を見据えた、今必要な配慮を一緒に考えませんか?

広島大学の視覚障害児教育、特に弱視教育を担当している氏間研究室では以下のような方法を用いながら一緒に拡大教科書の選定を考えさせていただいております。

文字サイズを変えながら読書速度を測定し、実用的に読書できるのに必要な文字サイズについて、提案いたします。

拡大教科書の選定
拡大教科書の選定

文字サイズの測定で用いるチャートは、中野研究室(慶應義塾大学)、小田研究室(東京女子大学)、氏間研究室(広島大学・前福岡教育大学)が共同で開発した、教育漢字(小学校で習う漢字)の配当学年を意識して作成されたチャートを用います。ですから、学年で最適のチャートを利用して測定することが可能です。

拡大教科書の選定

いくつかの教育的評価を行った後、拡大教科書選定キット(慶應義塾大 中野泰志研究室)を利用して、実際に使い勝手はどうか、長時間の読書に耐えるかなどの、子どもさんの主観的な意見を伺います。

拡大教科書の選定
拡大教科書の選定

第3回 拡大教科書の在り方に関する公開シンポジウム--弱視教育における拡大教科書の役割と課題を考える--(2011/07/03)