出来事

<2017.8.11>
2006年9月以降PIとして研究を進めてきた本命の成果(ラットにおいて新規脳因子であるNPGLは、炭水化物摂取を促し体内での脂肪合成を高め肥満の開始を促す)に関する論文がeLife誌に掲載されました。
 研究内容の概要は8月16日に発表されたプレスリリースをご覧ください。

論文タイトル:Neurosecretory protein GL stimulates food intake, de novo lipogenesis, and onset of obesity
著者:Eiko Iwakoshi-Ukena#, Kenshiro Shikano#, Kunihiro Kondo, Shusuke Taniuchi, Megumi Furumitsu, Yuta Ochi, Tsutomu Sasaki, Shiki Okamoto, George E. Bentley, Lance J. Kriegsfeld, Yasuhiko Minokoshi, Kazuyoshi Ukena(#コファーストオーサー)
出典:eLife 6:e28527 (2017)
DOI:10.7554/eLife.28527
(オープンアクセスジャーナルですので、誰でも自由にご覧いただけます。上記「eLife誌に掲載」の青い文字かDOIの部分をクリックすると論文のサイトに移行します。)

 ここでは、今回の論文受理に至るまでの道のりを記します。過去にも論文として公表してきた節目毎に本出来事欄にも論文発表までの経緯を残してきましたので、今回も記してみたいと思います。ただ、今回は10年以上費やした本命研究の集大成ですので、思い入れが強く、少々長くなると思いますので、お時間のある時にお付き合いください。

 指導教授であった筒井和義先生が2006年9月に早稲田大学へ転出され、新たな研究をスタートさせようと思いました。当時、助教授(現・准教授)に上げてもらったばかりで、年齢も30代半ばでしたので、完全独立PI(独立研究室主宰者)としては若輩者でした。学生もいなかったために、ある程度冒険できる研究をしようと考えました(今考えれば無謀な賭けでした)。決して流行りものでも他人の後追いでもなく、これまでの研究のバックグラウンドを活かしながらオリジナル研究を追求しようと意気込んでいました。一方で、研究室には実験機器・試薬類も殆どなく、期待と不安が交錯していたのを思い出します。そのような中で、出産直後の岩越さんと共に一から研究テーマの探索を行いました。色々やりました(正確には、やってもらいました)。円口類からの物取り、ホヤからの物取り、鳥類での浸透圧負荷をかけた際の脳内因子の探索、偶然できた抗体の未知抗原の探索などです。ホヤの仕事(Endocrinology誌に2008年掲載)以外は殆んど上手く行きませんで、「このままでは研究者としてはダメだ、将来が無い」と悲観していたところ、2007年にはほぼ一年間体調不良(心臓が何故か痛い。病院に行っても異常なし。自律神経失調症と思います。)が続き研究にはならず、ひたすら講義の準備ばかりする日々でした。そのような際に、両生研の住田正幸先生からお声を掛けていただき、カエルの皮膚からの抗菌ペプチドの探索研究で何とか研究室体制を確立する足掛かりとなりました(これは3報の論文としてまとめることができました。)。また、筒井研時代のやり残していたトリでの26RFaの仕事も2010年にEndocrinology誌にまとめることはできましたが、ホヤやトリの仕事は先代教授陣の遺産でしたので、オリジナル性のある研究ではなく、「昔の貯金で研究しているね」と、学会でも言われたことを思い出します。

 話は戻りますが、何か研究室の柱となる独自テーマを立ち上げるべく、暗中模索を続けていく中で、岩越さんの頑張りでサブトラクション法によりニワトリの視床下部からのペプチド性因子をコードした未知遺伝子を2008年7月に発見しました(雑感欄の「博士と助手の10年間」にフィクション調で経緯を記しています。)。とにかく、「昔のお釣りではない、新たな研究」を立ち上げたいと必死でした。ここからは病気らしい病気もせず、以前にも増して元気になりました。当時は新規物質を発見すれば、あっという間に機能解析も終わり、トップジャーナルへの投稿も夢ではないと簡単に思っていました。そうは問屋が卸さず、そもそも当初の「活性物質の構造予測」に関して1年近く間違った考えをしていました。万策尽き果てたころに我々の師匠の宗岡洋二郎先生に前駆体タンパク質配列を見ていただき、「我々の予想は違っていた」ことに気付きました。当時、宗岡先生はご退職から10年以上経っていたと思いますが、勘の鋭さにはただただ敬服するばかりでした。その後も、「合成物ができない、溶けない、活性が出ない、再現性が取れない」の連続で、4年以上ネガティブデータが続きました。免疫染色で神経細胞を染めることが出来たのが2012年初頭でした(それまでは偽遺伝子ではないかと怪しまれていました。免疫染色の結果を見て、私が「やっぱりペプチドとして存在していた!」と言ったのですが、研究室メンバーは「そう思わずに無理難題言って研究を続けていたの?」と驚いたとのことです。)。一方で「新規脳因子をコードする新規遺伝子の発見!」という何やら秘めた可能性に賛同・期待していただき、多くの研究費(科研費・若手A、生研センター、民間研究助成財団など)のご支援を賜りましたが、それらの期待をことごとく裏切り続けました。予備実験のために試行錯誤を繰り返したため、結果としては無駄に研究費を費やしたようにも思い、常に罪悪感で一杯でした。心の中では、「研究費は完成した成果へのご褒美ではなく、可能性への投資なのだから、頑張ってやって成果が出なければしょうがないよね。そもそも研究費が取れてすぐに成果が出る仕事なんて、申請書を書く段階から結果があったんじゃないの?」とひねくれてもいました(申し訳ありません)。何も成果が挙がらず、入室した学生達にも不完全燃焼の思いで研究室から社会へ送り出してきました。当時の思いは、「この振り子は悪い方、良い方のどちらで止まるのか?」といつも考えていました。もちろん、心の中では上手く行くことを願っていたのですが。ただただ、「自分達で見つけた脳因子の機能を自分達で見出したい」という執念で研究を続けました。

 2012年夏頃まで、結果の再現性が取れず、データが出るたびに解釈を変えて泥沼に入り込んでいました。もうそろそろ限界かなと感じていた2012年末に様子が一転しました。私の記録を見返してみると、「2012月12月29日 ついにパズルが解けたと感じた!点と点が繋がって線になったのではないか?」というのがあります。そうなのです。今回の発表成果である、「新規脳因子の生理作用が脂肪蓄積」であることに辿りついたのです。2013年はそれまでの4年半の停滞が嘘のようにデータが蓄積し続けました。何度も何度も再現性を取り、発見した効果が間違いないことを確認しました。さらに、それを裏付けるデータも取っていきました。我々は生物屋ですので、「基礎医学、内分泌代謝学」の知識が全くなかったのですが、科研・新学術(食欲脂肪蓄積制御)での4年間の班会議や内分泌代謝学サマーセミナー等での研究室員への派遣で「必ず押さえないといけない必要な基礎データ」が徐々に分かるようになってきました。その他にもお会いしたこともない大御所の先生に突然メールをしてご意見を伺うという失礼を何回かしました。ご意見を伺いに押しかけセミナーをお願いしたこともあります。加えて、生研センターの予算で導入できたマイクロウェーブ・ペプチド合成機や呼吸代謝解析装置など、特殊備品の使用無しにして研究の進展はあり得ませんでした。まさに、物心両面でのご支援を数多くいただきました。改めまして関係各位に御礼申し上げます。

 2014年3月には生研センターの研究支援が終了し、ポスドク2名も研究室を離れることが決まりました(次の職が決まってよかったです)。何とか、ノルマとしてニワトリでの成果を支援間際の3月にBBRC誌から公表しました。その後、ラットでの研究成果をトップジャーナルへ投稿するためには、最低限のデータがどうしても必要でしたが、何とか学生達の頑張りでデータが8月に得られました。7・8月は投稿用の図を作成し、論文構成をひたすら考え続けました。9月から論文を書き始めましたが、Reportとしての短い字数制限のため、意外なほどにあっという間に書き上げることができ、関係者にご意見を貰った後、10月上旬の投稿となりました。さてさて、ここからが第二の関門、「生みの苦しみ」でした。最初に投稿し始めたのが、2014年10月で、その後、延べ12雑誌目の投稿で漸く2017年7月に受理されました。この間、殆どがエディターリジェクトでした。リジェクト後、半年ほど追加実験をしてデータを出し、それを加えて投稿する、という作業を5クールほど繰り返しました。改稿と投稿を重ねるにしたがって、作用メカニズムのストーリーは分かりやすくなってきたように思いました。最初は霞がかかっていた状態が、次第に晴れ渡って視界良好になったように思います。また、第4クールの投稿後、2016年8月に国際科研の支援により渡米し、到着し下宿で初めて開いたメールがリジェクト通知メールでした。内容はレフリーの否定的なコメントのオンパレードだったのも今となっては良い思い出です。遺伝子ノックアウトのデータが無いことや受容体が不明なのは、難しいジャーナルとしては物足りないのが伝わってきました。あの時、「2017年9月に日本に帰国するまでに受理されるのだろうか?」と本当に不安に思っていたのが昨日のように思い出されます。ただ、最後のeLife誌は、最初の投稿でメジャーコメントが一つもなく、いきなりマイナーリバイスでの速攻受理(投稿から一月半)となり、拍子抜けするほどの予想外の嬉しい結果となりました。最後は、UC Berkeleyでのメンター達の論文修正へのサポートが活かされました。この辺りは、ネイティブにしかわかない、微妙なニュアンスがあったのだと思います。

 NPGL遺伝子発見が2008年7月でしたので、公表するまでに丸9年かかりました。新規ペプチド性因子をコードする新規遺伝子の探索研究を開始してから10年以上かかっていることになります。上記の機能発見の足掛かりが得られた2012年末から数えても約4年半かかっています。これが長いのか短いかと言われれば、当然前者でしょうが、色々なことを学べることが出来た年月だったと思います(難しいジャーナルには5年以上かかるのは当たり前とか、今回の論文受理でも「よく粘ったね」と周りの先生方からは言っていただきました)。何よりも常に期待と不安が交錯する中で、毎日がドキドキする研究展開でした(同じドキドキでも2007年とは大違いでした)。独立した2006年よりも成長したのではないかと思います(加齢したのは確か)。この間、2008・2009年頃はまだこの研究に着手していることを隠していましたが、さすがに学生達にも学会発表させる必要があり、2010年からは学会発表を行ってきました。当初は配列を隠していたために、「学会発表で配列を出さないと議論にならない」「いつ配列出すのだ」と色々とお叱りを受けました。また、「新規脳内因子の発見」という物珍しさから、これまで学会発表賞を13件いただくことが出来ました。それに対しても、「かなり以前から新規と言い続けているが、いつ論文になるのだ」「たくさん研究費もらっているのに成果が出ていない」と直接・間接、色々と耳の痛いご批判を頂戴しました。そのような折には、いつも「PI(独立研究室主宰者)の責任」と痛感し、しばらくは落ち込んだものでした。心の中では、「もう少しだけ時間をください。機能が怪しい時点では論文にしたくないのです。これだけ大きな仕事に巡り合うチャンスは今後来ないと思いますので」と叫んでいました。不思議なもので、最初に報告すべき内容であった本eLife誌の成果は、2014年BBRCでの速報、ペプチド産出・合成法の論文3報、ニワトリでの脳室内慢性投与(GCE誌)、マウスの摂食行動促進作用(Endocrinology誌)とシリーズ7報目の論文となりました。小さな研究の積み重ねが大事ということも学びました。マウスの論文(Endocrinology誌)に関しては、今回のラットの本命データに影響を与えない基礎データのみでしたが、こちらも投稿後2ヶ月以内で受理され、代謝の特集号に掲載されました。食欲に関わる新しい脳因子ということもあり、国内外の多くのメディア(20サイト以上)で取り上げていただいたのも、今回のラットのデータの論文受理にプラスに作用したのかもしれないです。

 以上の通り10年間の本命の仕事が漸く長い時間と多くの研究費を費やして論文として形になりましたが、これがゴールではありません。一区切りついたことは間違いないですが、これからが本当の競争です。さらに論文10報程度にまとめられる基礎データは集まってきていますので、それらを一つずつ形にするべく、日々精進する所存です。ここまで来たら私の仕事も論文書くことくらいになりました(もちろん研究費を稼いでくるのも大事ですが)。

 また、幸いなことにeLife誌はオープンアクセスジャーナルですので、論文を読んでいただき、「こんな実験行ったら新しいことが分かるよ」「うちの技術使って共同研究する?」と仰っていただける方がおられましたら、共同研究をさせていただきますよう、お願い申し上げます。これまで、「とにかく最初の本命論文までは研究室内の技術のみで」という意固地になっていたこともあり、逆に時間がかかってしまいました。これからは積極的に研究ネットワークの幅を広げていこうと考えております。

 最後に、これまでご指導・ご協力いただいた皆様のお名前を記して、謝辞に代えさせて頂きます。引き続き、ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。

ご指導いただいた先生方
広島大学関係者
 宗岡洋二郎先生:広島大学名誉教授、岩越・浮穴の総本山である指導教員(個人的には仲人)、ずっと要の際に助けていただいています。
 筒井和義先生:現・早稲田大、広島大学名誉教授、博士課程から助手時代までの指導教員、筒井先生無しでは今の浮穴研はありません。
 松島 治先生:元・広島大、卒論から修士まで3年間の指導教員、研究のイロハを教えていただきました。
 斎藤祐見子先生:色々な基礎的な実験からご指導いただき、また共同研究をお願いしてきました。
 古川康雄先生:常に色々なアドバイスを頂きました。学生指導等、本当に色々と救っていただきました。
 佐藤明子先生:ちょうど我々のデータが出だした時期に広島大に着任され、隣のラボから進展を見続けてくださいました。最近では共焦点顕微鏡もお借りし、観察をさせていただいています。
 森下文浩先生:マスターコースまで所属した講座の先輩であり、いつも温かいアドバイスを頂いています。
 山本 卓先生・佐久間哲史先生:ゲノム編集で多大なご協力を頂いています。
 都築政起先生:生研センターのヒアリングの際には色々とご助言を頂きました。

学外関係者
 橘 哲也先生:愛媛大、ニワトリ研究での共同研究者、本当に色々な実験で手伝っていただきました。
 坂本浩隆先生・坂本竜哉先生:岡山大、浩隆先生は筒井研の同門、電顕解析の共同研究をお願いしました。結果については、別論文にてまとめたいと考えています。
 海谷啓之先生:国循研究センター、物取り屋のライバルとしていつも刺激を受けています。
 井田隆徳先生:宮崎大、受容体探索で共同研究を進めていただきました。今のところ見つかっていないです。
 村上 昇先生:宮崎大、生研センターの評価委員として色々とご指導を頂きました。
 伊達 紫先生:宮崎大、科研・新学術の班会議等で色々とご助言を頂きました。
 秋枝さやか先生:宮崎大、ペプチドホルモン研究会や宮崎押しかけセミナー等、色々と技術的なご指導を頂きました。
 小林哲也先生:埼玉大、脳下垂体ホルモン関係でご助言をいただきました。
 宮里幹也先生:国循研究センター、科研・新学術の班会議等で色々とご助言を頂きました。
 ペプチドホルモン研究会メンバー:矢澤隆志先生、根本崇宏先生、佐藤貴弘先生、森 健二先生、吉田守克先生、宮澤 崇先生、梶谷 宇先生、関口俊男先生ら。いつも良い刺激を受けています。
 その他:学会・シンポジウムでアドバイスを頂いた先生・学生の方々

研究室内の研究協力者
 田中幸恵さん:2006・7年研究補助員、サブトラクション法で新規遺伝子を探すデータ解析をやっていただきました。その中に、今回のNPGLが含まれていました。
 大山晴香さん:2011・12年研究補助員(博士)、有機化学のプロとしてペプチド合成では色々と試行錯誤していただきました。その後、益田さんがペプチド合成を完成させました。
 大口悦宏君:2009~2011年在籍、今の行動実験の礎を築きました。
 益田恵子さん:2010~2015年在籍、NPGL合成法を確立し、浮穴研初の学位取得者となりました(詳細は本出来事欄にも記事有り)。ペプチド合成の量産が研究の進展を加速させました。
 別所裕紀さん:2012~2014年在籍、鹿野君・近藤君世代トリオの一人。脂肪組織での遺伝子発現解析、形態解析を行ってくれました。
 前嶋 翔さん:2012・2013年在籍、元ポスドク(2年)、現埼玉大学ポスドク。形態解析やサンプリングを進めてくれました。
 松浦大智君:2014~2016年在籍、形態解析やサンプリングを手伝ってもらいました。本人の研究はマウスでの解析(Endocrinology誌掲載)。
 加藤正暉君:2014~2016年在籍、形態解析やサンプリングを手伝ってもらいました。本人の研究はニワトリでの解析(GCE誌掲載)。
 齋藤鷹也君:2015年~在籍中、現M1。サンプリングを手伝ってもらいました。本人の研究はマウスでの解析(Endocrinology誌掲載)。
 その他、研究室のOG・OBの方々に感謝申し上げます。ネガ・ポジ両方の財産が今回の成果に繋がったものと思います。

最後に、論文オーサー(論文掲載順、岩越・鹿野 コファーストオーサー)の紹介
 岩越栄子さん:2005年~在籍中、NPGL遺伝子の発見者、あらゆる実験に関与、その実験技法の正確さ・素早さはピカイチです。また、突拍子もない発想が結果的にはその通りだったりするのは天性のもの?
 鹿野健史朗君:2012年~在籍中、現D3、学振DC1、動物関連や血液成分の解析等、要の実験で頑張ってくれました。今の浮穴研の屋台骨をしょってくれています。本研究内容が学位審査の主論文の一つとなります。
 近藤邦裕君:2012~2014年在籍、鹿野君とニコイチセット。彼の食嗜好性への興味で研究が前進しました。
 谷内秀輔さん:2011~2013年在籍、元ポスドク(2年半)、現徳島大学ポスドク、過剰発現等の技術を立ち上げてくれました。
 古満芽久美さん:2009年~在籍中、大口君と同学年の卒論生であり、卒業後もずっと研究補助員としてサポートしてもらっています。古満さんの機転で何度危機を脱したかと思うと、敬服するばかりです。
 越智祐太君:2015年~在籍中、現M2、インスリン応答や脂肪酸測定など、最後の要のデータを出してくれました。
 佐々木努先生:群馬大、元々は岩越さんが生理研研究会や内分泌代謝学サマーセミナーで知り合いになり、色々とご助言をいただくようになったのがきっかけです。本研究の組み立て、データの確認、考察、論文執筆等で大変お世話になりました。
 岡本士毅先生:元・生理研、現・琉球大、科研・新学術や内藤コンファレンスで知り合いになりました。内分泌代謝学の同世代の専門家としていつも教えていただいています。本研究の組み立て、データの確認、考察、論文執筆等で大変お世話になりました。
 George E. Bentley博士:UC Berkeley、岩越さんのメンター、論文組み立て・考察、論文執筆等では大変お世話になりました。
 Lance J. Kriegsfeld博士:UC Berkeley、浮穴のメンター、論文組み立て・考察、論文執筆等では大変お世話になりました。
 箕越靖彦先生:生理研、科研・新学術でのご指導以来、本研究の組み立て、データの確認、考察、論文執筆等で大変お世話になりました。
 浮穴和義:研究総括者、学生達の自主性を重んじると本人は思っていますが、無言のプレッシャーも数多くあったことでしょう。皆投げ出さずに付いて来てくれて感謝です。研究室の皆、よく働いてくれました。学生達からは自虐コメントが「やり辛い!?」と思われています。

<2016.12.22>
M2の加藤正暉君が、広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップを受賞しました!
 4年連続、そして浮穴研として6人目の受賞となり、正直驚きです。昨年の鳥類内分泌研究会での受賞(右下の写真)が大きかったと思います。また、学部生の時にアメフトで身体を鍛えたおかげでしょう。

<2016.12.10 >
浮穴が平成28年度日本比較内分泌学会奨励賞を受賞しました。
 ホームグラウンドの学会で奨励賞をいただくことができました。この賞は、比較内分泌学の父である小林英司先生を記念して昨年度に小林賞が設立された際の若手部門(45歳以下)として位置づけられています。今年度の小林賞の受賞は、恩師である筒井先生が受賞され、師弟でのダブル受賞となりました。筒井先生をはじめ、これまでご指導いただいた先生方、共同研究者の皆様、そして浮穴研の卒業生・学生達にこの場をお借りして感謝申し上げます。まだまだ成果としては不十分と感じておりますので、文字通りこの受賞を励みとして、今後とも精進していきたいと思います。引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。

<2016.1.8>
D3の益田恵子さんのペプチド産出に関する3報目の論文が受理されました。
 D3の益田さんが進めている学位請求論文の主論文となる3報目の論文が受理されました。
 益田さんは大腸菌を使った組み換えタンパク質発現系から固相法を用いた有機化学合成法までの幅広い手法により、我々研究室総出で進めている長鎖ペプチドの効率的な産出方法の確立を目指して研究を行っています。
 この出来事欄でも紹介したように、2014年の第46回若手ペプチド夏の勉強会において優秀講演賞を受賞していますので、研究内容は専門家からも高く評価されています。
 最近の主な研究は、2011年に導入にしたマイクロウェーブ照射が可能なペプチド合成機を用いた長鎖ペプチドの産出です。ペプチド合成機のユーザーレポートでも取り上げられています。
 以下に、3報の論文受理までの経緯を記したいと思います。

 ペプチド産出1報目の論文は2014年の上記の若手ペプチド夏の勉強会に参加する前に有機合成化学分野のジャーナル(科学雑誌)へ投稿したのですが、我々は生物屋なので警戒されたのだと思いますが、レフリー(掲載を許可するかどうかを判断する審査員)がなんと6名も付き、リバイス(修正)期間も半年以上かかって苦しみました。レフリーへのレスポンス(どういう風に直したかを記載するもの)は、原稿とほぼ同じ単語数である約4000単語になりましたので、それだけでもう一報論文を書いたぐらいの労力を使いました。結果的に、無事に受理されて良かったです。しかし、エディター(レフリーを選ぶ編集者・もちろん専門家)は他分野からの参入のハードルを高めたのでしょうか。6名ものレフリーを付けた理由が不可解です。せめて3名で、レフリーの意見が割れた際に増やすというのでは駄目だったのでしょうか。結果的には同じようなコメントばかりでしたが、エディターの警戒感・排他感を感じる論文投稿でした。しかし、この論文の引用数は必ず上がるはずですので、歴史が研究の価値を証明してくれると期待します。
 2報目の論文は2015年の夏に投稿しましたが、最初のジャーナルの3人のレフリー結果は1勝1敗1分けといった具合でしたが、リジェクト(掲載不可)でした(オープンアクセスの姉妹紙に審査結果をトランスファー(審査結果とともに体裁を変えずにWeb上でジャーナルを変えること)することを強く勧めていました)。それは無視して、別のジャーナルに投稿するも、3回連続エディターキック(編集委員会が審査にも廻してくれずに、拒否すること)でした。しょうがないので、最初に投稿したジャーナルの審査結果に従い、姉妹紙にトランスファーをしてもらうことになりました。ただ、レフリーからの指摘には対応しないとならず、実験をやり直したら、最初のジャーナルのレフリーが指摘したことにほぼ全て対応ができ、最初のジャーナルでも良かったのではないかと思いました(出版社の意図で、オープンアクセス料を稼ぐ手法としてはしょうがないのでしょうが、最初のジャーナルで異議申し立てをしておけば良かったと悔やみました。何事も結果論なのでしょうがないのですが。)。
 そして、2015年秋に投稿した3報目ですが、最初は有機合成化学系の速報誌(Letter)で結構難しいところを狙ってみました。エディターキックも覚悟しましたが、編集者が受け取ったというメールの二日後には2名のレフリーの審査結果が届き、速攻リジェクトでした(レフリーが付いたものとしては、最速リジェクトでした)。論文の長さから考えると(方法はサプリとしてWeb掲載)、体裁を変えずに同じく速報誌のほうが良いだろうと判断し、別の速報誌に投稿してみました。レフリー結果は1勝1敗でしたが、エディターは極めて好意的で、追加実験もなく文章だけでの対応で受理されました。また、受理されたその日のうちにWebに受理原稿がアップされ、さらに校正原稿も届き、速報性をウリにしているだけのことはあるなと妙に感心しました。エディターが好意的だったのは、それまでの2報の論文受理があったからと思いますので、1・2報目の論文で手こずった経験も、後の論文投稿の布石になったのだとポジティブに考えています。今の時代、すんなりと受理される論文は少ないとは思いますが。
 益田さんの2年近くの論文投稿の戦いもひと段落し、最後の課題である学位審査を残すのみとなりました。3報形になってますので、臆することなく堂々と審査に臨みましょう。論文執筆から論文受理に至る過程は本当に若者を成長させる良い機会だと思います。学位取得の最低条件としてレフリー制のあるジャーナルへの論文掲載が必須であるのは当然でしょうね。

 つづきは雑感欄に記します。

<2015.12.25>
M1の松浦大智君が、広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップを受賞しました!
 3年連続、そして浮穴研として5人目の受賞です。沢山、学会発表したことが評価されたようです。松浦君は、普段はポーカーフェイスですが、学会発表の上手さは歴代の浮穴研学生の中でもトップレベルだと思います。


<2015.12.13>
D1の鹿野健史朗君が、第40回日本比較内分泌学会において若手研究者最優秀発表賞を受賞しました!
 CompBiol 2015 広島大会中での若手オーラル及びポスター発表が評価され、受賞することができました。研究結果の考察が難しく、どういう順番で発表をすると分かりやすくなるのか、学会直前まで迷いに迷ったものとなりました。
 評価していただいたことは大変ありがたく、関係者の皆様に感謝申し上げます。
 尚、本発表内容は、総合科学研究科の学生独自プロジェクトの支援を受け実施されました。研究科のホームページに受賞記事が掲載されました(2016.3.28)。

 また、平成23年度修了生の大口君も学会に日帰りで駆け付けてくれ、皆の発表を聴いてくれました。大口君が確立してくれた脳手術の手法を用いて、彼の技術を直接引き継いだ鹿野君や近藤君達が成果を出して、この受賞に繋がったというのも感慨深いものがあります。
 大口君にも、「ずいぶん沢山新しい結果が出てますね」と言ってもらいました。一日でも早く論文にして、大口君にも恩返しがしたいと思いました。


<2015.6.6>
恩師の筒井和義先生(現・早稲田大学)が4月15日に文部科学大臣表彰を受賞されました!
 6月6日に東京で受賞記念講演会・祝賀会を開催しました。筒井研同窓会を兼ねて久しぶりに皆で集まりました。筒井門下生の活躍を知ることができ、とても楽しい時間を過ごせました。同窓生の皆さん、遠方より来てくれたりメッセージをくれたりと、本当にありがとうございました。
 開催禄はこちら。会の様子は写真館へ。


<2015.3.3>
M2の近藤邦裕君に、第1回浮穴杯・最優秀賞を授与しました!
 4年生の秋に初めての学会発表を経験し、この3年間で国際学会1件、国内学会7件、共著論文4報、共著学会発表25件、共著学会発表賞6件、共著特許出願2件、生命科学実験TAなど、浮穴研の研究・教育活動に貢献してくれました。
 また、近藤君の代名詞である、通称コンチ・プロジェクト(広島大学総合科学研究科学生独自プロジェクト)のリーダーを2年間務めました。浮穴の興味とは違う角度から、文字通り、「学生の立案による独自研究」を遂行しました。それを元手に、民間財団から3件もの研究助成を頂くことができました。
 そして、ついに卒研開始から3年目のM2の晩秋に画期的な発見をしました(未発表)。私(浮穴)自身、約20年ぶりに味わう衝撃的なデータでした(失礼ながら、間違っていないか、造っていないか、誤解していないかを何度も確認してしまいました)。我々の一連の研究の最後のピースを見つけ出したと感じています。ただ、全く新しい学説なので、研究の世界ですぐに認められることはないでしょうが(もちろん間違っているかもしれませんが、歴史がそれを証明してくれるはずです)。指導教員の予想を超えた考えから、想定外のデータを出してくれたことに、ただただ驚きと感謝の気持ちで一杯です。さらに、修論発表を聞いていた生命系の3年生が、近藤君の研究データに感動し、卒論配属を決めたということも我々にとって嬉しかったです(内容を理解できたことも驚きですが)。3年前、大口君の後姿を追って実験に取り組んでいた様子が思い出されます。「憧れて研究を始め、最後は憧れられる」というカッコいい締めでした。取り組んだ実験の8割以上がネガティブデータでしたが、決して諦めずに努力を続けることの大切さを身を持って示してくれました。
 同期のM2には、別所さん・鹿野君という優秀な学生がおり、これまで受賞という成果には直結しませんでしたが、真のMVPは近藤君であろうという思いから、「浮穴杯・最優秀賞」というのを勝手に設立し、サプライズ表彰となりました(他研究室から見れば全く価値はないでしょうが、浮穴研にとっての価値はサイコ~~です。)。次の文言を賞状に記しました。「貴方は浮穴研究室において立派な研究をされました ここにその栄誉を称え表彰するとともに、賜杯に名を残し、永く成果を語り継ぎます」。このトロフィーは浮穴研に残し、近藤君を目指して研究室メンバーは研究を続け、第2回目の受賞者を目指しましょう(祝儀袋の中には浮穴が貯めた小遣いが入っています!)。
 近藤君は、4月から民間企業(食品会社)に就職しますが、浮穴研での経験を忘れることなく、立派な社会人として頑張ってくれるでしょう。今後の益々のご活躍を期待しています。


<2014.12.18>
M2の鹿野健史朗君が、広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップを受賞しました!
 2年連続、そして浮穴研として4人目の受賞です。二人で一組(ニコイチ)の相棒・近藤邦裕君の貢献も大きかったことは間違いありません。学振DC1の内定に続く良いニュースとなりました。
 次はファーストオーサーの論文を出しましょう。


<2014.8.12>
アメリカの大学生Seiya Sigel君が2014年7月1日から8月12日までインターンシップ生として研究室に滞在しました。
 生物圏科学研究科の上 真一先生のご紹介により、約1ヵ月間メンバーに加わりました(途中、豊潮丸に乗船し、調査にも同行)。基礎的な生命科学の研究を行ったり、研究室の皆と交流を深めました。
 特に、M2の院生達は直後に控えた国際会議のポスター発表の原稿を手直ししてもらったり、研究室の皆で観光に行ったりと楽しい時を過ごしました。


<2014.8.5>
D2の益田恵子さんが、第46回若手ペプチド夏の勉強会において優秀講演賞を受賞しました!
 日本ペプチド学会主催の勉強会に益田さんが参加してきました。勉強会といっても160名を超える大きな会で、深夜まで議論していたようです。
 その中で優秀講演賞を頂けたということは、アウェーではなくホームでの発表だったようです。
 益田さんは、生物系の研究室ながら試行錯誤で有機合成を行ってくれています。来年度の学位申請へ向けて弾みが付きました。


<2014.7.11>
M2の別所裕紀さんが、第32回内分泌代謝学サマーセミナーにおいてベストポスター賞を受賞しました!
 医学系の学会である日本内分泌学会主催の本セミナーに、岩越・鹿野・別所さんの3名で参加してきました。
 参加者全員の投票で決まるベストポスター賞に別所さんが発表したポスターが選ばれました(著名な大先生も受賞を狙っていたという話を聞いて、我々はこの研究の世界から抹殺されないか不安になりました…)。地方大学の弱小研究室の素人研究者達が出した結果は、プロの先生方の目には逆に新鮮に映ったのかもしれません(戦国時代で例えるなら、鎧も付けず竹槍持って戦に行った足軽のけなげな働きに対し、お殿様からご褒美を頂いた感じでしょうか)。
 広島市内での夜間講義から帰って来た直後に受賞したという電話をもらい、私(浮穴)自身も耳を疑いました(こんなことなら、研究科で無料で印刷できる薄手の紙ではなく、もっと良い紙に印刷させておけばよかったと思いました)。
 また参加メンバーも会期中にストーカーのように先生方に付きまとって情報収集を行ったようで、早急に行わないといけない課題も多く認識できました。この受賞を励みに詰めの実験をやりましょう。


<2014.5.11>
M2の鹿野健史朗君が、日本動物学会中国四国支部第66回大会において若手研究者優秀発表賞を受賞しました!
 普段口数は少ないですが、既に研究室の屋台骨を背負っていく存在に成長しました。早い段階でドクターコース進学の意思を固め、着実に研究を進めて行ってくれています。この受賞を契機に、これからも頑張っていきましょう。
 今回の審査は応募者多数で、受賞は無いと心の中では思っていました(昨年の同大会で別所さんも受賞していますし)。しかし、本人は受賞する気満々で、受賞スピーチも完璧に考えていたそうです(!?)。ここまで肝が据わっているとは正直、驚きでした。将来、とんでもない大研究者に化けそうです。


<2013.12.13>
D1の益田恵子さんとM1の別所裕紀さんの二人が、広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップを受賞しました!
 遂にアベック受賞となりました。めったにあることではないので、嬉しいです。副賞は後期分の授業料免除です!


<2013.11.21>
浮穴と研究員の岩越栄子さんの二人が、平成25年度広島大学学長表彰を受賞しました。
 以下、受賞盾に刻まれていた文面です。
 「神経ペプチドや抗菌ペプチドなどの新しい生理活性ペプチドの同定と機能解析を精力的に行い,その研究成果を国際誌に公表され高い評価を得られているほか,指導学生やポスドク研究員らが多数の学会賞を受賞するなど,本学の発展に顕著な貢献をされました。」
 2006年頃から二人三脚で研究室運営をやってきたのを大学からも認めていただきました。所属メンバーや周りの先生方へ感謝申し上げます。


<2013.10.26>
ポスドクの谷内秀輔さんが、第40回日本神経内分泌学会学術集会において若手研究奨励賞を受賞しました!
 基礎医学系の学会ですが、全くのアウェーでした。何度も発表練習を重ねて皆に理解してもらえる内容になったと思います。
 多くの著名な先生方にもコメントを頂戴しましたし、研究内容に高い評価をいただきました。丸2年間の頑張りが一つの形となりました。


<2013.10.17>
D1の益田恵子さんが、平成26年度日本学術振興会特別研究員(DC2)の採用内定者に決定しました!
 春には奨学金全額返還免除に認定されましたが、それに続き学振DC2採用決定となりました。
 立派な研究者になれるように、精進を続けてください。


<2013.9.13>
ポスドクの谷内秀輔さんが、第36回内藤コンファレンスにおいて優秀発表者に選定されました!
 札幌で開催されたクローズドの国際会議でしたが、浮穴、ポスドクの谷内さん、前嶋さんの3人でポスター発表をしてきました。60名のポスター発表の中から10名の優秀発表者が選ばれ、その中に谷内さんが含まれました。これに選ばれると特定研究助成金贈呈候補者となります。他の選ばれた方々はそうそうたる先生方ばかりでしたので、胸を張って誇れる業績だと思います。これも研究室メンバー全員の成果です。
 会議には国内外の著名な先生方が参加されており、しかも3泊4日の缶詰状態でしたので非常に濃厚な時間を過ごせました。同世代の先生方とも交流を持て、モチベーションも上がりました。色々といただいたコメントを参考に、研究を進めていきたいと決意を新たにしました。


<2013.8.9>
ポスドクの谷内秀輔さんが、第28回日本下垂体研究会学術集会で優秀発表賞を受賞しました!
 岩手で開催された集会において「視床下部で発見した新規神経ペプチド前駆体遺伝子の機能解析(谷内秀輔、鹿野健史朗、近藤邦裕、前嶋 翔、益田恵子、別所裕紀、古満芽久美、岩越栄子、浮穴和義)」というタイトルで口頭発表し、優秀発表賞に選ばれました。
 オーサーには現所属メンバー全員が入っており、文字通り研究室総出の仕事として評価されたのだと思います。昨年度前半までのノーデータが嘘のようにこの1年間研究室の全員が頑張って良い結果を出してくれました。
 谷内さんは学位取得までは岡山大学で下垂体関係の仕事をしていたので、ホームグラウンドでの受賞は感慨深いものがあったと思います。これを良い自信にして今後も頑張りましょう!努力は報われることを示しましょう。


<2013.7.25>
D1の益田恵子さんが、スペイン・バルセロナで開催された第17回国際比較内分泌会議(ICCE2013)においてスカラーシップを受賞しました!
 2013年7月15-19日まで開催された標記国際学会において、大会本部よりスカラーシップが授与されました。これは世界中の多くの学生参加者の中から10名が選ばれ、その中に益田さんが入りました。大会参加費が無料になりました。なお、益田さんは初めての国際学会参加でした。また、益田さんは総合科学研究科からも渡航費援助者に選定されています。
 さらに、本学会には研究室からはポスドクの前嶋さんも参加しましたが、彼も民間研究助成団体から渡航費援助をいただきました。みんな、独立した研究者の卵ですね。嬉しい限りです。


<2013.5.12>
M1の別所裕紀さんが、日本動物学会中国四国支部第65回大会において若手研究者優秀発表賞を受賞しました!
 徳島大学で開催された大会において「ニワトリで発見した新規神経ペプチドはヒスタミンニューロンに発現している(別所裕紀、岩越栄子、古満芽久美、前嶋 翔、谷内秀輔、橘 哲也、浮穴和義)」というタイトルでポスター発表し、見事受賞しました。3月から四冠目?本人の学会体験記は、「メンバー便り」にあります。
 知り合いの先生からは、「別所さんはドクターの学生さん?」と言っていただけるほど、落ち着いた発表だったようです。懇親会時の生協のおじさんからは、「阿波踊り要員」と間違えられたようですが・・・。昨年度に、比較内分泌学会大会と動物学会広島県例会で発表をしたのが良い経験になったのでしょうね。まだまだ上を目指して、今後も頑張りましょう!


<2013.3.23>
4年生の別所裕紀さんが、優れた学生を表彰する広島大学学生表彰及び総合科学部岡本賞のダブル受賞をしました!
 総合科学部で行われた学位記伝達式では、別所さんは総代として卒業証書授与、岡本賞授与、謝辞の三冠で、「別所さんの別所さんによる別所さんのための卒業式」となりました。
 広島大学学生表彰は、総合科学部の卒業生の中で一番の成績優秀者に送られるものです。つまり、首席卒業です。
 総合科学部岡本賞は、優れた卒業研究を行った者に対する表彰で、平成21年度の古満さん、平成22年度の山崎さんに続くものです(平成23年度は卒論生がいなかったので、ここ4年間、浮穴研卒論生の中から毎回岡本賞受賞者を輩出していることになります。浮穴は岡本賞ブリーダーかもしれません!?何?受賞は学生の素質で、浮穴は関係ないって!?)。一般論として、勉強と研究はなかなか相関性がないものですが、両方を兼ね備えたということは大したものです。本人の努力に敬意を表します。しかし、指導教員としては鼻が高いです。
 卒業論文タイトル「ニワトリの脳におけるヒスタミン合成酵素の同定と視床下部新規神経ペプチドとの相関に関する研究」

 浮穴研の卒論生は、別所さん、近藤君、鹿野君の3名でした。近藤君と鹿野君もニコイチ(二人合わせて一つの大きなテーマを推進した)として別所さんに負けず劣らず良い研究をしました(二人合わせたことで、4人分の成果は出たでしょう)。大学院に進学したら、トリイチとして益々頑張ってください(ここがピークだったらもったいないです)。もちろん、大学院博士課程前期修了生の益田さんも立派な研究を行いました。皆に対して娘から「浮穴賞」が送られました(娘は一週間以上かけて毎日賞状を作っていました)。皆、良い賞を受賞できましたね(なになに、皆、諭吉様の肖像の入った紙が欲しかったって?研究費たくさん使ったでしょ!!)。
 何よりも大切なのは、感動と喜びを体感できたかどうかだと思います。これは、いくら大金を払ってもそう簡単に得られるものではありません。そういう意味ではこの一年間は研究室員全員にとって大切な時期でした。改めて、皆に感謝です!!本当に、本当に、ありがとうございました。


<2013.3.18>
2013年2月19日付にて本学名誉教授になられた元指導教授の筒井和義先生の生命科学セミナーが開催されました。
 広島大学で丸10年間教授を務められたご功績により、本学名誉教授の称号が授与されることが決まり、授与式の前に特別にご講演いただくこととなりました。

 また、授与式後に研究室にて簡単ではありましたがお祝いの会を開かせていただきました。
 若い研究室員達へ次の貴重なメッセージをいただきました。「自分は大した人間ではないと思い、謙虚に努力すること。置かれた環境が一番だと思って一生懸命研究すること。常に論文を書き、業績を挙げること。」
 確かに何度も教えられた言葉ですが、まだまだ出来ていませんね。
 筒井先生は昨年9月に還暦を迎えられました。それでも、夜中に研究室からメールが届きますので、どれくらい働いておられるのでしょうか。今なお、研究の虫ですね。
 還暦祝いとして関係者が冊子を作った際に記した浮穴の駄文を掲載させていただきます。

筒井先生の還暦祝いに寄せて
 筒井先生、還暦をお迎えになられたこと、心よりお祝い申し上げます。
 私は筒井先生から博士号をいただいた最初の弟子であり、名前(和義)も同じであることから、大変名誉ある弟子だと日々感じております。先生と私との親密な関わりは、平成8年4月に広島大学総合科学部のドクターコースに進学させていただいた時からです。それ以前に理学部のマスターコース(指導教員:松島治先生)でもバインディングアッセイやラットの解剖等でご指導をいただいておりましたので、研究者の卵としてトレーニングを積むなら筒井先生の下でご指導を仰ぎたいと研究室を移動する決意をしました。私が理学部を出て筒井先生のところでお世話になるという時に理学部の先生方に言われたことがあります。それは、「筒井先生が川島誠一郎先生のところに加わり川島先生の研究を支えたように、浮穴も筒井先生の役に立つことができるよう頑張れ」というものでした。そうなったかどうか自信はありませんが、ドクターコースの途中で助手にしていただき、7年間微力ながら助手を務めさせていただきました。振り返ると、ドクターコースから筒井先生が早稲田大学に転出されるまでの10年半の間、お近くでご指導受け、また、お手伝いをすることが出来ました。この間、私自身の研究テーマを自由に行うことも許していただき、独り立ちするための準備もさせていただきました。先生は私に対して非常に寛容で逆に多くの気遣いをいただき、研究を楽しむというサイエンスの重要なことを常に経験させてくださいました。
 筒井先生は皆感じているように常にパワフルで独創的な研究分野を切り開く非凡な研究者・指導者です。我々弟子が常に先生に言われていたことは、「研究を面白くもダメにするのも本人次第、凡人は努力以外に未来を切り開く術はない」というものです。広島大学時代の先生は、時に優しく学生達に声をかけ、時に叱咤激励されておられました。私は筒井研の大番頭として、「筒井先生に叱られる前に注意を与えておく見張り役」になることを心がけていました。先生は、日常の大部分は精力的に論文執筆活動を行われる毎日を過ごされていました。我々弟子は先生のおかげで数多くの業績を挙げることが出来ました。その甲斐あって「筒井研を出た若手研究者は信頼できる」という言葉を数多く耳にしてきました。また、研究費申請書や論文作成のお手伝いなどを通じ、書類の書き方を学ぶことができました。私自身も研究室を主宰する身になり思い悩むことがあった時には、「筒井先生ならどのように判断され、困難を乗り切ろうとされるか」を考えるようになりました。また、最近では、「筒井先生の教え」を先生の孫弟子達にも積極的に伝えていくことが私の使命だとも感じています。
 早稲田大学に移られてからの先生は、様々な学会活動のお世話、国際学術誌の編集委員、世界中の研究室との共同研究、シンポジウム発表での海外出張等で、さらにお忙しくなられたと筒井研の研究室員らから聞いております。くれぐれもお身体だけは大切にされ、これからも独創的な「筒井ワールド」の研究を推進していっていただけますようにお願い申し上げます。私も先生から学んだノウハウを形にすべく努力していきたいと思っております。先生の弟子達には「偉大なボスの足元にどのくらい近付けるか?」という大命題が残っています。
 今までのご指導に感謝申し上げ、お祝いの言葉に代えさせていただきます。


<2013.3.6>
浮穴が、「広島大学 特に優れた若手研究者(DR:Distinguished Researcher)」に選定されました。
 これは、広島大学の機能強化に向けた行動計画2012~「学生が成長する大学,国際社会で存在感のある大学」であるために~、という大学指針の下、研究推進会議で選定されました。以下、趣旨・目的・役割です。
〔DRの創設趣旨・目的〕将来DP教授として活躍しうる若手人材に対し,研究に専念できる環境を保障するため,特に優れた若手教員に対応するDR教員を創設する。
〔DRの役割〕DR教員は一層研究に専念することにより,本学を代表する研究者となることを目標とする。
 これに関して、意気込みを雑感に記します。
 なお、総合科学研究科からはDRとして、お隣研究室の佐藤明子先生(平成24年度着任、神経細胞における膜タンパク質の選別輸送システムの研究)と私の二人が選定されました。


<2012.11.30>
ポスドクの前嶋翔さんが、第37回日本比較内分泌学会大会で若手研究者最優秀発表賞を受賞しました!
 福井で開催された大会において「ラットの視床下部新規神経ペプチドの形態学的解析(前嶋 翔、岩越栄子、佐藤慧太、坂本浩隆、坂本竜哉、浮穴和義)」というタイトルでポスター発表し、102題という多くの発表の中から若手研究者最優秀発表賞に選ばれました。
 4月から浮穴研に合流し、丸8ヵ月間の研究成果です。良い抗体ができたこと、浮かし法の切片とスライドガラスにかじりついていた姿勢、繰り返しの実験、観察力、そして10月からのハードスケジュールでの岡山大の坂本浩隆先生の下での電顕観察、という全ての合わせ技の結果でしょう。形態観察という一見地味に思える仕事も「黙々と実験結果を積み重ねると、生理的変化が観察できる!」という、解剖生理の真骨頂と言える成果が得られました。
昨年東京での比較内分泌学会大会(内分泌ウィーク)の懇親会で、「今年度で学位が取れそうですが来年から職がありません。誰か雇ってください」とスピーチしていた心細い彼の姿を思い出すと、指導教員の内山先生もほっとされたことだと思います。今回の大会中もずいぶん富山大の後輩達にもいじれられてなつかれていました(別の理由かも?)。
一方、今回は、思い切って4年生も卒論途中のデータを使って発表する機会を持ってもらいました。学会発表デビューでした。
 また、大会前日には第3回ペプチド・ホルモン研究会が開催されました。これは昨年3月の第1回宮崎、そして今年3月の第2回広島の続きです。来年には第4回が開催されることに決まりました。研究会と大会・シンポジウムの事務局の矢澤さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。
 とても充実した3日間でした。


<2012.9.14>
研究員の岩越栄子さんが、公益社団法人 日本動物学会 平成24年度女性研究者奨励OM賞を受賞しました!
 大阪大学での第83回大会中に授与式がありました。この賞は、安定した身分で研究を続けることが困難だけれど、強い意志と高い志を持って研究に意欲的に取り組もうとする女性研究者に授与されるものです。岩越さんは、広島大学総合科学部を卒業後、製薬会社、(財)サントリー生物有機科学研究所(現・公財 サントリー生命科学財団)、(独)酒類総合研究所、広島大学非常勤研究員、ポスドク研究員等、色々と渡り歩いてきました。出産・子育てをしながらも、一貫して「新規生理活性ペプチドの同定と機能解析」の研究を続けており、そのことが高く評価されました。何事も継続が大事だということでしょう。諦めずに続けることは難しいことですが、「好きな研究」をできる環境に感謝している様子でした。指導教官であった宗岡洋二郎先生、サントリー生有研時代の南方宏之先生、そして論文博士の指導教官の筒井和義先生をはじめ、これまでの共同研究者の方々に御礼申し上げます。


<2012.3.16>
第2回ペプチド・ホルモン若手研究会in広島を開催しました。
 昨年の宮崎での第1回を引き継ぎ、第2回目の世話人をさせていただきました。年度末のお忙しい時期に全国(埼玉、東京、富山、福井、京都、大阪、神戸、愛媛、宮崎、広島など)から60名を越える多くの方々にお集まりいただき、活発な研究会を開催することが出来ました。多くの学部生や院生を含む若手研究者の方々に喜んでいただき、世話人冥利につきます。本当にご参加ありがとうございました。「本気でやっている若手・中堅研究者」の真髄に触れたような気がします。私(中堅の粋がってるおっちゃん)も負けないように頑張らないといけないと決意を新たにしました。
 3回目は今年の11月末(比較内分泌学会大会の前後)に福井で矢澤隆志先生(福井大・医・分子生体情報学)が世話人として開催されることになりました。今から楽しみになりました。矢澤さんの先生である宮本薫先生の比較内分泌ニュースのエッセイ原稿がパソコンに残っていましたので、再度読み直したところ、昨年宮崎でお話しを聞けた松尾先生やその門下生の偉大さを改めて再確認しました。


<2012.3.3>
2012年度の日本動物学会中国四国支部・広島県例会を開催しました。
 本年度は、昨年までと同様の公募によるポスター発表に加え、広島大学大学院理学研究科の道端齊先生にご講演をいただきました。道端先生の研究室の卒業生らも多く参加され、盛会となりました。
 いつもの流れで私の道端先生についての思い出について記そうと思います。記念講演の司会の際に本心は以下のことを紹介したかったのですが、場違いで、型どおりの紹介となりました。
 道端先生は私が学部2年生の時に理学部附属臨海実験所に来られました。すぐに教授になられ、その後、平成15年に私の出身研究室の情報生理学研究室に配置換えになられました。学部生時代から私は出来の悪い学生だったため、講義や臨海実験も含め先生にはご迷惑をおかけしました。
 平成7年のM2の11月頃だったと思いますが、私の当時の指導教員だった松島先生のグループが臨海実験所に伺い、研究紹介をするという機会がありました。私が発表したかどうかは覚えていないのですが、後輩達が発表をしました。そこでの道端先生や助教授だった森山先生のツッコミに圧倒されました。夜には飲み会もあり、激励を込めた批判的なご意見をいただきました。M2の終わり近くだった私は製薬会社の内定をもらい10月には内定式にも出席し、修論発表会を残すだけという状況でした。学術論文も数報出ており、大学の研究室という世界に自分なりに満足感(満腹感?)を感じていました。あの研究交流会をきっかけに、「まだ大学での研究をやり残したことがある!何とか先生方を見返すような研究者になりたい!」と思いなおし、内定を頂いていた企業へ12月に謝り、ドクターコース進学を決めたのでした。
 あれから速いもので丸16年が経ちます。この16年間、「やり残したこと」どころか「何をやるべきか?」ということにずいぶんと長い時間を費やしてきたような気がします。その間、当時日本動物学会中国四国支部の支部長だった道端先生から広島県委員に指名していただいたり、平成21年には私自身が動物学会奨励賞をいただけたりしたので、研究者の末席を汚させていただけるようになれたのだと思います。つまり、あの研究交流会が無ければ、今の私は存在していなかったのだと思います。
 記念講演の最後に道端先生が若者に対して言われた「研究テーマを点で考えるのではなく、流れとして捉えよ」という言葉は研究室を主宰する身には、「なるほど、その通りだ」と心底同感しました。
 肝心の道端先生のご功績については全く触れませんでしたが、バナビン2というタンパク質を介して生体内で酸化還元状態を保つためにバナジウムをホヤが利用しているという発見に至る膨大な研究成果を挙げられました。道端先生の長年の大学での教育・研究活動に敬意を表し、ご功績を称えたいと思います。これからも先生の後ろ姿を追いかけたいと思っております。本当にありがとうございました。


<2011.8.29>
抗菌ペプチドの3報目の論文が受理されました(Peptides誌)。
 2010.12.21の1報目(Peptides誌)、2011.8.7の2報目(BBRC誌)に続き、一連の研究の区切りとなる最後の論文が受理されました。これらの研究について説明します。
 そもそもの研究開始のきっかけは、2006年4月(総合科学研究科発足時、完全独立の1年目)に広島大学理学研究科附属両生類研究施設(以下、両生研)の住田正幸先生に声をかけていただいたことから始まります。両生研は、両生類の系統保存や遺伝的研究に関して世界的にも有名です。私の亡父も私が理学部在籍時代に「息子はカエルの研究をやっている」と知り合いに自慢していたそうです(ラジオ番組で西岡みどり先生(住田先生の先生)のお話を聞いて感銘を受けたようで、そのように言っていたのだと思います。実際には私はミミズやヒルの研究でしたが、実現し、天国の父も喜んでいるでしょうか)。住田先生は世界中のカエルの系統関係を調べる分子系統学の分野で有名な先生で、今日の生物多様性維持という観点から多くの人達から注目されています。透明ガエルのスケルピョンの開発という話題もマスコミで注目されました。住田先生が取り組んでおられる系統保存の仕事の一環として絶滅危惧両生類の保存と繁殖というのがあり、その中で沖縄本島や奄美大島にのみ生息する絶滅危惧種イシカワガエル(Odorrana ishikawae)の人工繁殖に成功しておられます。イシカワガエルは日本一美しいカエルとも呼ばれており、沖縄の美ら海水族館前の海洋博公園のモニュメントにもなっています(下の写真)。このイシカワガエルを実験室で飼育すると他のカエルに比べ生存率が高いことから、感染症に対する特殊な防御機構が備わっているのではないかと予想をされました。そこで自然免疫の要である抗菌物質をイシカワガエルの皮膚から単離してみたいと考えられました。住田先生の知り合いの中嶋暉躬先生(現・星薬科大学学長。サントリー生有研の元・理事長・所長であった関係で、我々夫婦そろって大変お世話になりました)の推薦で私に研究遂行のお鉢が回ってきました。中嶋先生も色々な動物から抗菌物質や毒を単離・同定されてこられた世界的に超有名な先生です。2006年度は指導学生もおらず、ホヤの後葉ホルモンの研究を開始していた関係で、私一人でこの仕事を行うのは無理だとお伝えしたところ(岩越さんも産休・育休中でしたので)、県立広島大の藤井保先生(元副学長、ヤツメウナギの自然免疫系の補体の研究が主なお仕事)のところの4年生を総科に派遣してもらうことになりました(以前より、住田先生と藤井先生は共同研究をされていました)。実は藤井先生には前年度にヤツメウナギについて連絡をとったことがあり、ここでも妙な繋がりを感じました(何事も世の中は繋がっているということですね)。
 その後、イシカワガエルの皮膚から新規の抗菌ペプチドを10種類以上、さらに遺伝子の網羅的発現解析からも13種類以上の新規のペプチドを発見しました。3報の学術論文に加え、特許出願や数多くの学会発表も果たしました。HPLCによるペプチド精製、アミノ酸シークエンスや質量分析、細菌や真菌の抗菌アッセイ、遺伝子クローニング、ペプチド合成など、これまでの経験に加え新たな工夫もいくつか加えながら研究を完成させていきました。まさに天然物有機化学の王道研究でした。私の所属の使命が脳科学ということもあり、総科の学生さんに研究を手伝ってもらうことは出来ませんでしたが、2006年度の沖本愛子さん、2007年度の曽我美幸さん、2009年度の岡田玄也君の3人の県立広島大の4年生の活躍と努力に敬意を表したいと思います。3人とも一生懸命頑張ってくれました。積極的に物事に取り組む姿勢は、引っ込み思案の強い広大生にも是非とも見習ってもらいたいと思いました。研究の指導や取りまとめは育休復帰後の岩越さんに全面的にお願いしましたが、我々も多くのことを学びました。
 イシカワガエルの皮膚に存在する抗菌ペプチドの合成・分泌が発生や発達段階でどのようになっているのか、野生カエルでどのようになっているのか、もし環境因子がそれらに対し悪影響を与えているのであれば、その因子の特定などを行っていく必要があると考えています。つまり、自然免疫のシステム理解からの生物多様性維持に貢献できる研究に発展する可能性があると思っています。一方、抗菌ペプチドは病原性細菌や薬剤耐性菌の駆除にも使えるのではないかと期待が高まっています。我々の研究でも天然物より構造を改変したアナログペプチドの方がより強い抗菌活性を示すことなどを明らかにしており、応用面からも興味が持たれます。そのためにも特許出願をしました。実際に論文発表後、抗菌物質に関わる国際シンポジウムのお誘いをよく受けるようになりました。ただ、研究室としては食欲調節因子に全研究精力を傾けている状況ですので、残念ながら現時点ではここで一区切りとなります。カエルの皮膚に限らず、我々ヒトも含めて多くの生物が抗菌物質を含有していますので、またいつか抗菌ペプチドの同定を両生類以外の生物でもやってみたいと考えています(ネタは色々とありますが、現時点では実行は時間的に難しいです)。
 最後に、両生研の住田先生と県立広島大の藤井先生に感謝申し上げます。研究開始から成果が完成するまでにずいぶんと長い時間かかってしまいましたが、絶えず温かい目で見守ってくださいました。さらに、東邦大の岩室祥一先生にはカエルの抗菌ペプチドや抗菌アッセイの方法について多くのお話を伺い、研究の参考にさせていただきました。研究費の援助をいただきました県立広島大学重点研究事業、病態代謝研究会、三井住友海上福祉財団、持田記念医学薬学振興財団に対し心より御礼申し上げます。


<2011.8.4>
生研センター・イノベーション創出基礎的研究推進事業に研究課題が採択され、ビッグプロジェクトが開始しました!
 農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター(略称 生研センター)
 イノベーション創出基礎的研究推進事業 技術シーズ開発型研究 若手研究者育成枠
 研究課題「家禽における新規脳内摂食調節因子の機能解明とその利用」(平成23-25年度)
 約3年前にニワトリ雛の脳内で発見した新規遺伝子の機能解明を原点の家禽に戻り研究展開するという内容です。その後に哺乳類でも同様の研究を行っていきます。
 2010年から少しずつ学会発表している研究内容ですが、これを機に一気に研究完成まで持っていきたいと考えていますし、それが期待されています。昨年の「雑感」にも記しましたが、この研究は大変難しく、一進一退で突破口がどこにあるのかを暗中模索する苦しくも楽しい日々です(期待から失望を引くと常にプラスにあります)。逆に困難だからこそそれに積極的にチャレンジしたいという思いが強いです。大げさでなく研究者人生をかけて打ち込まないと突破できないと思います。研究室員にも苦労をかけますが、皆で一丸となる以外に手はありません。苦しみを楽しめるようになれば一皮むけたことになります。
 研究設備の調整に最初時間が少しかかりますが、10月からはポスドク研究員と研究補助員が加わります。
 研究支援をいただけるという感謝の気持ちと何が何でも研究を成功させてやるという強い情熱を持って、精進・突進していきます。


<2011.6.30>
M1の佐藤真実さんが、広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップを受賞しました!
 5月の学会発表賞受賞と学部生時代の成績評価により、学長表彰されました。7月12日に研究科長室にて授与式も行われました(授与式風景、集合写真(左端))。授与者は授業料免除の特典が付くようです。優れた学業成績をまんべんなく取るということは本人の努力以外に方法がなく、努力を正当に評価されたことは喜ばしい限りですし、今後も努力が認められる世の中であってほしいです。尚、M2の受賞者は斎藤研の濱本明恵さんでした。同じ研究領域(生命科学研究領域脳科学分野)からの受賞はやはり嬉しいですね。濱本さんの場合はファーストオーサーの学術論文の掲載が大きく評価されたのだと思います。
 私の学部生時代を振り返ってみると、とんでもない落ちこぼれのダメ学生だった気がして恥ずかしくなります(よく4年で無事卒業できたものです。帳尻合わせ名人ですね。)。もうちょっと真面目に勉強しておけば良かったのでしょうが、再度学生をやり直しても同じことを繰り返すでしょうね(性格は二十歳過ぎたら変わらない)。しかし、研究室に入ってからは沢山仕事をして成果を出しましたので、学部時代の成績は帳消しになったと勝手に考えています(帳消し名人?都合良すぎ?)。過去も未来も努力次第でいかようにもなるということでしょうか。
 話はそれましたが、この受賞を自信にして今後も頑張ってください。


<2011.5.15>
M1の佐藤真実さんが、日本動物学会中国四国支部第63回大会において若手研究者優秀発表賞を受賞しました!
 香川県高松市で開催された大会において「マウス視床下部における摂食調節に関わる新規遺伝子のmRNA発現解析(佐藤真実、岩越栄子、浮穴和義)」というタイトルでポスター発表し、見事受賞しました。卒業研究の内容ですが、3月の広島県例会の経験も踏まえての発表でした。卒論レベルとは思えない多くのデータが得られました。沢山の方々にポスターを見に来ていただいたようで、1時間話し続けたそうです。
 動物学会は哺乳類を研究対象とした研究者は多くなく、マウスの研究は場違いな感じもしますが、研究内容が高く評価されたのだと思います。卒論後も続々と新データが出ていますので、秋の本大会(旭川)目指して今後も頑張りましょう!


<2011.3.23>
4年生の山﨑玲子さんが、優れた学生を表彰する広島大学総合科学部岡本賞を受賞しました!
 卒業論文タイトル「視床下部新規遺伝子がコードしている成熟神経ペプチドの同定」
 昨年の古満さんに続き、二年連続の岡本賞受賞となりました(今年は大震災に配慮し、金屏風や乾杯もなく授与式・祝賀会は自粛して行われました。)。本年度の岡本賞選考も大激戦だったようですが、選考会でも元気一杯に発表できたのでしょうね。山崎さんには敢えて難しいテーマに取り組んでもらいました。社会人になってもこの1年間の経験を忘れずに頑張ってください。
 指導教員としても二年連続の受賞は大変嬉しく、優秀な学生達に恵まれて感謝です。卒論生4人ともよく頑張りました。
 昨年度記した「継続は力なり」が実行できたのだと思います。今後も力を合わせ努力していきましょう!


<2011.3.5>
2011年度の日本動物学会中国四国支部・広島県例会を開催しました。
 昨年と同様に広島大学大学院理学研究科を会場にし、ポスター形式での発表会を開催し、 無事に終了しました。県例会のポスター発表も定着したのか演題も多く、盛会となりました。県例会の様子は、日本動物学会中国・四国支部ホームページをご覧ください。


<2011.3.4>
ペプチド・ホルモン宮崎若手研究会に参加しました。
 宮崎大・IR推進機構の井田隆徳先生に声をかけていただき、最近やっているペプチドの仕事を発表してきました。宮崎はペプチド研究のメッカであり、会の冒頭に松尾壽之先生(元宮崎医大学長であり、ペプチドハンターの神様)の「若者に向けて」という特別講演がありました。色々な含蓄のあるお話を聞け、感激しました。この想いを浮穴研の人達にも伝えなければいけないと思い、メモを取りました。その後、松尾先生の文化功労者顕彰記念パーティーにも出席させていただきました。
 研究会や夜の懇親会では色々な方々にご意見をいただき、非常に参考になり、勉強になりました。ペプチド探索の世界は井田さんの「モノ取りは当たったら大きいけど、外れたり先を越されたら一文無し」という言葉がぴったりです。年度末でしたが、宮崎まで行って本当に良かったです。井田さん、ありがとうございました。翌日の動物学会県例会開催のために廃止間近(3.12ダイヤ改正)の座席夜行列車「ドリームにちりん」で小倉まで出ました。色々な意味で中身の濃いハードな出張でした。
 来年は広島で研究会を開催することとなりましたので、今回以上にインスピレーションを与えられる会にしたいと思っています(第1回目を越えるのは無理?)。


<2010.11.20>
ポスドクの岩越栄子さんが、第35回日本比較内分泌学会大会で若手研究者最優秀発表賞を受賞しました!
 静岡で開催された大会において「視床下部における新規摂食調節関連遺伝子の発見(岩越栄子、田中幸恵、橘哲也、浮穴和義)」というタイトルで口頭発表し、見事“若手”発表賞を受賞しました。学会後にこの報告をすると、周りの皆から “どこが若手?若手の定義は?”とさんざん冷やかされていました。この賞の若手とは40歳以下ですので、問題なしです。この世界では、40代でも十分に若手でしょう。研究のモチベーションに年齢は関係ないと言うことですね。今年のノーベル化学賞の根岸・鈴木両先生のお姿を拝見していてもそう感じます。まだまだ我々は“生まれたての赤ちゃん”のようなものです。
 9月の動物学会に引き続き、ここ4年近く研究している新規遺伝子の研究発表を行いました。サブトラクション法により視床下部領域で特異的に発現している遺伝子を探索し、2年前に「これぞ狙った遺伝子!」と確信して研究室総出で研究している内容です。まだ本丸を落しきれていない段階ですが、何をしているのかを学会でアピールすることも大事なので途中経過として発表することとしました。質疑応答では鋭い質問が沢山ありましたが、さすが“天然”の岩越さんは斬られたことも気付かず堂々とやり遂げました。また、M1の佐藤瑠奈さんもポスター発表を行いました。沢山の方々に入れ替わり立ち替わり見に来ていただきました。


<2010.3.23>
4年生の古満芽久美さんが、優れた学生を表彰する広島大学総合科学部岡本賞を受賞しました!
 卒業論文タイトル「視床下部新規遺伝子がコードしている神経ペプチドの大量発現系の構築」
 2007年の鈴木さん以来の岡本賞受賞となりました。本年度の岡本賞選考は大激戦だったようですが、学部の成績と卒論の内容が高く評価されました。
 研究は良いことや楽しいことばかりではなく、それ以上の苦しみの連続で、途中で投げ出しそうになったりすることの方が多いのですが、このような賞をいただけることは研究室としても励みになります。「継続は力なり」なので今後も力を合わせ努力していきましょう!古満さん含め卒論生3人ともよく頑張りました。他の2人は修論での岡本賞を!


<2010.3.17>
第50回東レ科学技術研究助成に研究テーマが採択されました!
 第50回(平成21年度)東レ科学技術研究助成金交付対象研究として、現在進めている「摂食調節因子をコードしている脳内新規遺伝子の機能解明」の研究テーマが、東レ科学振興会より採択され、3月17日に日本工業倶楽部にて贈呈式が開催されました。
 東レ科学技術研究助成は、国内の研究機関で理学・工学・農学・薬学・医学(除・臨床医学)関係の基礎的な研究に従事し、今後の研究の成果が科学技術の進歩、発展に貢献するところが大きいと考えられる独創的・萌芽的研究を活発に行っている若手研究者に与えられる研究助成です(東レ科学振興会HPより)。
 助成申請に際し、日本動物学会から推薦をいただきました。本研究の基盤となる業績も無く、全く萌芽的な研究内容ですが、当たれば大きいと思っています。このあたりを二次の面接試験で評価していただいたと思います。成果を一日も早くあげるために全力を尽くすように改めて決意を固めました。

東レ科学振興会HP
http://www.toray.co.jp/tsf/
http://www.toray.co.jp/tsf/info/inf_001.html


<2010.2.22>
神経ペプチド(26RFa)の新しい成果がEndocrinology誌へ受理・掲載されました(2010.2.22受理。2010.3.22オンライン版に掲載されました。)。
 鳥類のウズラとニワトリを用い、脳内に発現している新規RFamideペプチドである26RFaという神経ペプチドを同定し、受容体のGPR103に特異的に結合することも見出しました。機能解析としてニワトリ雛の脳室内投与を行った結果、ブロイラー(肉用鶏)の摂食行動を促進する効果がありました。レイヤー(卵用鶏)には効果が無いことから、ブロイラーの摂食亢進能力に関与しているのかもしれません。行動解析では愛媛大の橘哲也先生、受容体解析では同研究科の斎藤祐見子先生に多大のご協力をいただきました。
 現在、この研究をさらに発展させ、脳内に発現している全く新しい未知の神経ペプチドを探索する研究を進めています。

論文タイトル:Identification, Localization, and Function of a Novel Avian Hypothalamic Neuropeptide, 26RFa, and Its Cognate Receptor, G Protein-Coupled Receptor-103
著者:Kazuyoshi Ukena, Tetsuya Tachibana, Eiko Iwakoshi-Ukena, Yumiko Saito, Hiroyuki Minakata, Ryoko Kawaguchi, Tomohiro Osugi, Yasuko Tobari, Jérôme Leprince, Hubert Vaudry, and Kazuyoshi Tsutsui
出典:Endocrinology.151:2255-2264 (2010).


<2010.3.13>
2010年の日本動物学会中国四国支部・広島県例会を開催しました。
 今回は広島大学大学院理学研究科を会場にし、ポスター形式での発表会を開催しました。
 県立大の岡田君含め浮穴研の4年生4人も発表し、良い刺激になったようです。県例会の様子は、日本動物学会中国・四国支部ホームページをご覧ください。


<2009.9.18>
浮穴が、平成21年度日本動物学会奨励賞を受賞しました。
 歴史ある日本動物学会において、若手研究者を対象とした奨励賞をいただきました。静岡で開催された第80回大会時に佐藤矩行会長より授与されました。受賞タイトルは、「系統発生学的見地からの神経ペプチドの同定と生理機能解析」です(ポスター発表風景及びポスター)。卒業研究から最近まで行ってきた神経ペプチドに関する研究の集大成です。ご指導いただきました松島先生並びに筒井先生を始め、共同研究者全員にこの場をお借りして御礼申し上げます。
 名誉ある賞を励みに独創的な研究を今後も展開していきたいです。現在、未発表データですが新規神経ペプチドの研究を研究室総出で取り組んでいます。この研究を早く公表し、奨励賞を受賞したことが伊達ではなかったことを示したいと思っています。今後の発展にご期待ください!
 追伸:受賞から1年以上経ってから日本動物学会ホームページに受賞に際しての記事が掲載されました。受賞研究内容とその後に行っている研究内容を書かせていただきました(2010.12.9)。


<2009.3.7>
2009年の日本動物学会中国四国支部・広島県例会を開催しました。
 今回は3月末で定年退職される安藤正昭先生にご講演をいただきました。
 安藤先生の実質的な最終講義で、かっこよかったです(失礼な言い方ですみません)。多くの先生方や安藤研卒業生にもお越しいただき、同窓会のような気がしました。退職後は東大・海洋研で研究を継続されるとのことで、今後もご指導の程宜しくお願いいたします。


<2008.6.14>
独立後最初の成果がEndocrinology誌へ掲載されることになりました(論文が受理されました。2008.6.26オンライン版に掲載されました。)。
 内容は「尾索類シロボヤ(Styela plicata)に存在する神経後葉ホルモン様物質の構造と機能に関する研究」です。独立後、寂しくも地道に研究を進めてきた内容です。もちろん岩越さんの貢献も大きかったのは言うまでもありません。何せ、大きいお腹を抱えて小型船で材料のシロボヤ採集に付き合ってくれたのですから!(今考えればゾッとするような笑い話ですが、、、)

論文タイトル:Unique Form and Osmoregulatory Function of a Neurohypophysial Hormone in a Urochordate
著者:Kazuyoshi Ukena, Eiko Iwakoshi-Ukena, and Akira Hikosaka
出典:Endocrinology.149:5254-5261 (2008).

 具体的な論文の内容は、次の通りです。我々の脳の視床下部領域で作られ脳下垂体後葉から放出されるオキシトシンやバソプレシンと呼ばれる神経ペプチドは、我々脊椎動物のみならず無脊椎動物でも生殖活動や体液調節に重要な働きをしています。進化的に我々脊椎動物と姉妹関係にあると考えられている尾索類においては、この神経ペプチドはこれまで見つかっていませんでした。そこで我々は尾索類のシロボヤにおいてオキシトシン・バソプレシン様ペプチドを同定する目的で、前駆体cDNA配列を決定しました。他の動物ではオキシトシン・バソプレシン族ペプチドは9アミノ酸残基であるのに対し、このシロボヤのペプチドは14アミノ酸残基であり、ユニークな構造をしていることがわかりました。ただし、前駆体タンパク質の構造は進化的によく保存されていました。特にオキシトシン系ペプチドに属すると考えられることからStyela Oxytocin-related Peptide (SOP)と名付けました。さらに、質量分析、in situハイブリダイゼーション法、免疫組織化学的手法により解析した結果、このSOPは神経節に発現していることも見出しました。その後、放卵や放精行動に着目して解析をしたところ顕著な効果は認められなかったことから(論文には記載していませんが)、浸透圧調節への関与を検討しました。シロボヤを60%、100%、130%海水に移して2日後に神経節をサンプリングし、リアルタイムPCRにて発現量を解析しました。その結果、60%海水で飼育すると他の海水濃度に比べ発現量が2.5倍程度増えていました。また60%海水に移行した直後からシロボヤは入水管と出水管を閉じるという行動を示しました。これらの結果から「SOPは低張海水の体内への流入を防ぐために水管を閉じる働きがあるのでは」と考えました。その後、in vitroでの水管収縮惹起効果も認められ、「SOPの浸透圧調節への関与」が示唆されました。
 本研究には、前述の通り出産直前と産後復帰直後の岩越さんの研究サポートが大きかったです。また、データベース解析や進化的考察について同じ総合科学研究科の彦坂暁先生にご協力をいただきました。さらに、恩師の宗岡洋二郎先生や隣のラボの安藤正昭先生には色々と有益なご助言をいただきました。最初のシロボヤの採集時には広島大学理学研究科附属臨海実験所の山口信雄先生及び浦田慎先生に大いに助けていただきました。さらに、論文執筆の際にはUCバークレイ校のDr. George Bentleyに英文校閲及びご助言をいただきました。また、研究費としては日揮・実吉奨学会及び倉田日立記念科学技術振興財団よりご援助をいただきました。数多くのご協力・ご援助に対し、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
 あと余談ですが、リアルタイムPCR機はBioRadのデモ機を使わせていただきました(購入できずに申し訳ありません)。

 ここで、何故私は独立した最初の仕事としてこのホヤの神経後葉ホルモン様物質の研究を選んだのか簡単に述べておきます。私はそもそも卒業研究開始以来、何らかの形でこの神経後葉ホルモンとずっと関わってきました(論文として成果が残ったのは数えるほどですが、現在も他の動物で進行中です)。最初の出会いは、卒業研究時に配属された理学部の松島治先生(現広島工業大学)のご指導で、同級生の近江智行君がメインとなり行った「シマミミズからのオキシトシン系ペプチド(アネトシン)の同定と機能解析」に遡ります。当時、筋収縮アッセイで環形動物から神経ペプチドを同定する研究を行っていましたが、その結果見つかったのがアネトシンです。松島先生は浸透圧調節に興味があったため、アネトシンをミミズやヒルに打って体重がどのように変化するか調べてみようということになりました。忘れもしない私たちが修士課程1年生になったばかりの1994年6月18日(土)、我々は注射器片手にアネトシンを環形動物に打ってみました。その結果、驚くべきことに「産卵行動を誘発」したのです。環形動物は環体と呼ばれる首にあたる部分から粘液を出し、コクーンといわれる卵を排出します。この一連の産卵行動をアネトシンは引き起こしました。しかも、ミミズのみならずヒルでも。オキシトシンは陣痛誘発や乳汁射出効果があることは我々哺乳類でも知られていることですが、「手のひらを太陽に♪」ではないけど、「ミミズだってオケラだって、、、(オケラの産卵行動を誘発するかはわかりませんが)」オキシトシンの仲間の神経ペプチドで産卵行動が起こることに対し、全身身震いするくらい驚き感動しました。あの興奮を超える発見は未だに経験できていません。逆に言えば、あの経験こそが今日私が研究を続けられているモチベーションになっているのだと確信しています。このことは松島先生も同感だったのでしょう。運命の1994年から10数年経ち、いよいよ独立の際に、もう一度原点に立ち返り神経後葉ホルモン研究をしたいと思い上記の研究を行いました。放卵・放精行動は観察できませんでしたが、cDNAがクローニングできた時とリアルタイムPCRで60%海水飼育の発現量が増加したデータが得られた時は飛び上がるくらい嬉しかったです。
 その後、サーキュレーションの良い雑誌にSOPの成果を投稿しましたが、10日程度でエディターリジェクト(掲載できないということ)になりました。さらに別の雑誌でも再度10日程度でエディターリジェクトになり、今度は彦坂先生のご協力も仰ぎ進化系の雑誌に投稿しましたが、審査はされたもののまたダメでした。次は満を持して内分泌の雑誌(そのままのEndocrinology)に投稿したところ、レフリーの3人ともに「とても面白い内容で、Endocrinology誌への掲載にふさわしい」と評価していただき、自分自身過去最速で受理されることとなりました(ドクターコース時代の鬼のようなリバイスを思い出すだけで、投稿するのが億劫になっていたのですが、、、)。今思えば最初からEndocrinologyにしておけば良かったのかもとも思いますが、非哺乳類(ましてホヤは無脊椎動物)の論文が掲載される率は低いので、受理されたことは幸運だったのでしょう。紆余曲折ありましたが、何とか形になりました。
 本研究の成果発表は、「論文が出るまでは学会発表しない。SOPの水管収縮作用のように閉ざして頑張る」が合言葉でした。ですので、この2年間、本研究に関する話は内輪の脳科学分野合同セミナーでしかしたことがありませんでしたが、いよいよ2008年9月に行われる動物学会の関連集会「ホメオスタシス研究会(通称・ホメ研)」でお話をさせていただくこととなりました。お声をかけていただいた世話係の九州大学の安東宏徳先生に感謝申し上げます。
 私は常々「研究は、分子・遺伝子・形態・機能・進化の5つが揃ってこそ意義がある」と信じている人間なので、この5つが揃った今回の成果は今後の研究にプラスに働くものと期待をしています。
 是非とも若い学生さんたちも、私が味わった「身震いするほどの感動・アースシェイキングな体験」を科学研究を通じて体感できるように共に汗をかきたいものです。


<2008.2.14>
2008年1月より日本動物学会中国四国支部の広島県委員を務めることとなりました。
 主な仕事は毎年1回県例会を開催し、広島県下の会員・非会員の方々に広く現在の動物学を含めた生命科学研究を紹介し、交流を深めることです。
 今年は私を含めた広島大学内の若手研究者を演者に選び研究会を行うように企画しました。
 詳しくは、日本動物学会中国四国支部 広島県例会[平成20年3月8日(土)13:30~16:00] のお知らせをご覧ください。


<2008.1.5>
広島大学大学院総合科学研究科(博士課程前期・後期)の大学院生・ポスドク(学振受け入れ先)募集中。
 完全独立して1年半ほど経ち、研究室の研究体制も整い、独自の研究内容を推進できるようになりました(ここ半年間は、岩越さんとともに予備実験に明け暮れました。)。そこで漸く大学院生を受け入れられる状況となり、大切な苗を育てて行ってくれる学生を募集したいと思います(昨年は何人かの学生さんから大学院入室希望がありましたが、全てお断りをしました。申し訳ありません)。
 ただし、現実の生命科学の研究は試練と困難の連続です。それに打ち勝つことができてこそ、価値のある真理の発見にありつけるのだと思います。
 私の考えに共感していただける方々とともに、歯をくいしばりながら頑張っていきたいと思っています。楽して宝探しは出来ません(ですが、しんどくても宝探しは楽しいのです!)。
 興味のあるかたは気軽にご連絡をお待ちしています。尚、総合科学研究科には様々な研究をしている教員が所属しています。「世界は、文系でも理系でもない!」を合言葉に境界線の研究領域に挑んでいますので、総合科学研究科のホームページをご覧下さい。私の研究室が一番とは言いませんので、興味が少しでも持てれば、各先生方にコンタクトしてみて下さい。


<2007.3.23>
M2の鈴木沙織さんが、優れた学生を表彰する広島大学総合科学部岡本賞を受賞しました!
 修士論文タイトル「ウズラの自発運動を高める7a-ヒドロキシプレグネノロンの日内変動とメラトニンによる調節」
 これもひとえに筒井和義先生の献身的なご指導や安藤先生・古川先生・山崎先生ら副指導教員のご指導・ご推薦の賜物です。
 また、古川研の4年生の小谷侑君も学部生の岡本賞受賞者となりました。学部と大学院それぞれ1名ずつの選出にも関わらず、いずれも脳科学分野からの選出は極めて珍しく貴重な出来事です。ともに脳科学分野合同セミナーで鍛えられた賜物でしょうか。これに続くようにこれからも脳科学分野からダブル受賞が出るように頑張りたいですね。


<2006.12.14>
浮穴研の研究生活や学会参加の風景に関する写真を掲載する写真館のページを作成しました。


<2016.1.8>
D3の益田恵子さんのペプチド産出に関する3報目の論文が受理されました。
 D3の益田さんが進めている学位請求論文の主論文となる3報目の論文が受理されました。
 益田さんは大腸菌を使った組み換えタンパク質発現系から固相法を用いた有機化学合成法までの幅広い手法により、我々研究室総出で進めている長鎖ペプチドの効率的な産出方法の確立を目指して研究を行っています。
 この出来事欄でも紹介したように、2014年の第46回若手ペプチド夏の勉強会において優秀講演賞を受賞していますので、研究内容は専門家からも高く評価されています。
 最近の主な研究は、2011年に導入にしたマイクロウェーブ照射が可能なペプチド合成機を用いた長鎖ペプチドの産出です。ペプチド合成機のユーザーレポートでも取り上げられています。
 以下に、3報の論文受理までの経緯を記したいと思います。

 ペプチド産出1報目の論文は2014年の上記の若手ペプチド夏の勉強会に参加する前に有機合成化学分野のジャーナル(科学雑誌)へ投稿したのですが、我々は生物屋なので警戒されたのだと思いますが、レフリー(掲載を許可するかどうかを判断する審査員)がなんと6名も付き、リバイス(修正)期間も半年以上かかって苦しみました。レフリーへのレスポンス(どういう風に直したかを記載するもの)は、原稿とほぼ同じ単語数である約4000単語になりましたので、それだけでもう一報論文を書いたぐらいの労力を使いました。結果的に、無事に受理されて良かったです。
 2報目の論文は2015年の夏に投稿しましたが、最初のジャーナルの3人のレフリー結果は1勝1敗1分けといった具合でしたが、リジェクト(掲載不可)でした(オープンアクセスの姉妹紙に審査結果をトランスファー(審査結果とともに体裁を変えずにWeb上でジャーナルを変えること)することを強く勧めていました)。それは無視して、別のジャーナルに投稿するも、3回連続エディターキック(編集委員会が審査にも廻してくれずに、拒否すること)でした。しょうがないので、最初に投稿したジャーナルの審査結果に従い、姉妹紙にトランスファーをしてもらうことになりました。ただ、レフリーからの指摘には対応しないとならず、実験をやり直したら、最初のジャーナルのレフリーが指摘したことにほぼ全て対応ができ、最初のジャーナルでも良かったのではないかと思いました(出版社の意図で、オープンアクセス料を稼ぐ手法としてはしょうがないのでしょうが、最初のジャーナルで異議申し立てをしておけば良かったと悔やみました)。
 そして、2015年秋に投稿した3報目ですが、最初は有機合成化学系の速報誌(Letter)で結構難しいところを狙ってみました。エディターキックも覚悟しましたが、編集者が受け取ったというメールの二日後には2名のレフリーの審査結果が届き、速攻リジェクトでした(レフリーが付いたものとしては、最速リジェクトでした)。論文の長さから考えると(方法はサプリとしてWeb掲載)、体裁を変えずに同じく速報誌のほうが良いだろうと判断し、別の速報誌に投稿してみました。レフリー結果は1勝1敗でしたが、エディターは極めて好意的で、追加実験もなく文章だけでの対応で受理されました。また、受理されたその日のうちにWebに受理原稿がアップされ、さらに校正原稿も届き、速報性をウリにしているだけのことはあるなと妙に感心しました。
 益田さんの2年近くの論文投稿の戦いもひと段落し(あと1報まとめる予定ですが)、最後の課題である学位審査を残すのみとなりました。3報形になってますので、臆することなく堂々と審査に臨みましょう。

 つづきは雑感欄に記します。


<2015.12.25>
M1の松浦大智君が、広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップを受賞しました!
 3年連続、そして浮穴研として5人目の受賞です。沢山、学会発表したことが評価されたようです。松浦君は、普段はポーカーフェイスですが、学会発表の上手さは歴代の浮穴研学生の中でもトップレベルだと思います。


<2015.12.13>
D1の鹿野健史朗君が、第40回日本比較内分泌学会において若手研究者最優秀発表賞を受賞しました!
 CompBiol 2015 広島大会中での若手オーラル及びポスター発表が評価され、受賞することができました。研究結果の考察が難しく、どういう順番で発表をすると分かりやすくなるのか、学会直前まで迷いに迷ったものとなりました。
 評価していただいたことは大変ありがたく、関係者の皆様に感謝申し上げます。
 尚、本発表内容は、総合科学研究科の学生独自プロジェクトの支援を受け実施されました。研究科のホームページに受賞記事が掲載されました(2016.3.28)。

 また、平成23年度修了生の大口君も学会に日帰りで駆け付けてくれ、皆の発表を聴いてくれました。大口君が確立してくれた脳手術の手法を用いて、彼の技術を直接引き継いだ鹿野君や近藤君達が成果を出して、この受賞に繋がったというのも感慨深いものがあります。
 大口君にも、「ずいぶん沢山新しい結果が出てますね」と言ってもらいました。一日でも早く論文にして、大口君にも恩返しがしたいと思いました。


<2015.6.6>
恩師の筒井和義先生(現・早稲田大学)が4月15日に文部科学大臣表彰を受賞されました!
 6月6日に東京で受賞記念講演会・祝賀会を開催しました。筒井研同窓会を兼ねて久しぶりに皆で集まりました。筒井門下生の活躍を知ることができ、とても楽しい時間を過ごせました。同窓生の皆さん、遠方より来てくれたりメッセージをくれたりと、本当にありがとうございました。
 開催禄はこちら。会の様子は写真館へ。


<2015.3.3>
M2の近藤邦裕君に、第1回浮穴杯・最優秀賞を授与しました!
 4年生の秋に初めての学会発表を経験し、この3年間で国際学会1件、国内学会7件、共著論文4報、共著学会発表25件、共著学会発表賞6件、共著特許出願2件、生命科学実験TAなど、浮穴研の研究・教育活動に貢献してくれました。
 また、近藤君の代名詞である、通称コンチ・プロジェクト(広島大学総合科学研究科学生独自プロジェクト)のリーダーを2年間務めました。浮穴の興味とは違う角度から、文字通り、「学生の立案による独自研究」を遂行しました。それを元手に、民間財団から3件もの研究助成を頂くことができました。
 そして、ついに卒研開始から3年目のM2の晩秋に画期的な発見をしました(未発表)。私(浮穴)自身、約20年ぶりに味わう衝撃的なデータでした(失礼ながら、間違っていないか、造っていないか、誤解していないかを何度も確認してしまいました)。我々の一連の研究の最後のピースを見つけ出したと感じています。ただ、全く新しい学説なので、研究の世界ですぐに認められることはないでしょうが(もちろん間違っているかもしれませんが、歴史がそれを証明してくれるはずです)。指導教員の予想を超えた考えから、想定外のデータを出してくれたことに、ただただ驚きと感謝の気持ちで一杯です。さらに、修論発表を聞いていた生命系の3年生が、近藤君の研究データに感動し、卒論配属を決めたということも我々にとって嬉しかったです(内容を理解できたことも驚きですが)。3年前、大口君の後姿を追って実験に取り組んでいた様子が思い出されます。「憧れて研究を始め、最後は憧れられる」というカッコいい締めでした。取り組んだ実験の8割以上がネガティブデータでしたが、決して諦めずに努力を続けることの大切さを身を持って示してくれました。
 同期のM2には、別所さん・鹿野君という優秀な学生がおり、これまで受賞という成果には直結しませんでしたが、真のMVPは近藤君であろうという思いから、「浮穴杯・最優秀賞」というのを勝手に設立し、サプライズ表彰となりました(他研究室から見れば全く価値はないでしょうが、浮穴研にとっての価値はサイコ~~です。)。次の文言を賞状に記しました。「貴方は浮穴研究室において立派な研究をされました ここにその栄誉を称え表彰するとともに、賜杯に名を残し、永く成果を語り継ぎます」。このトロフィーは浮穴研に残し、近藤君を目指して研究室メンバーは研究を続け、第2回目の受賞者を目指しましょう(祝儀袋の中には浮穴が貯めた小遣いが入っています!)。
 近藤君は、4月から民間企業(食品会社)に就職しますが、浮穴研での経験を忘れることなく、立派な社会人として頑張ってくれるでしょう。今後の益々のご活躍を期待しています。


<2014.12.18>
M2の鹿野健史朗君が、広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップを受賞しました!
 2年連続、そして浮穴研として4人目の受賞です。二人で一組(ニコイチ)の相棒・近藤邦裕君の貢献も大きかったことは間違いありません。学振DC1の内定に続く良いニュースとなりました。
 次はファーストオーサーの論文を出しましょう。


<2014.8.12>
アメリカの大学生Seiya Sigel君が2014年7月1日から8月12日までインターンシップ生として研究室に滞在しました。
 生物圏科学研究科の上 真一先生のご紹介により、約1ヵ月間メンバーに加わりました(途中、豊潮丸に乗船し、調査にも同行)。基礎的な生命科学の研究を行ったり、研究室の皆と交流を深めました。
 特に、M2の院生達は直後に控えた国際会議のポスター発表の原稿を手直ししてもらったり、研究室の皆で観光に行ったりと楽しい時を過ごしました。


<2014.8.5>
D2の益田恵子さんが、第46回若手ペプチド夏の勉強会において優秀講演賞を受賞しました!
 日本ペプチド学会主催の勉強会に益田さんが参加してきました。勉強会といっても160名を超える大きな会で、深夜まで議論していたようです。
 その中で優秀講演賞を頂けたということは、アウェーではなくホームでの発表だったようです。
 益田さんは、生物系の研究室ながら試行錯誤で有機合成を行ってくれています。来年度の学位申請へ向けて弾みが付きました。


<2014.7.11>
M2の別所裕紀さんが、第32回内分泌代謝学サマーセミナーにおいてベストポスター賞を受賞しました!
 医学系の学会である日本内分泌学会主催の本セミナーに、岩越・鹿野・別所さんの3名で参加してきました。
 参加者全員の投票で決まるベストポスター賞に別所さんが発表したポスターが選ばれました(著名な大先生も受賞を狙っていたという話を聞いて、我々はこの研究の世界から抹殺されないか不安になりました…)。地方大学の弱小研究室の素人研究者達が出した結果は、プロの先生方の目には逆に新鮮に映ったのかもしれません(戦国時代で例えるなら、鎧も付けず竹槍持って戦に行った足軽のけなげな働きに対し、お殿様からご褒美を頂いた感じでしょうか)。
 広島市内での夜間講義から帰って来た直後に受賞したという電話をもらい、私(浮穴)自身も耳を疑いました(こんなことなら、研究科で無料で印刷できる薄手の紙ではなく、もっと良い紙に印刷させておけばよかったと思いました)。
 また参加メンバーも会期中にストーカーのように先生方に付きまとって情報収集を行ったようで、早急に行わないといけない課題も多く認識できました。この受賞を励みに詰めの実験をやりましょう。


<2014.5.11>
M2の鹿野健史朗君が、日本動物学会中国四国支部第66回大会において若手研究者優秀発表賞を受賞しました!
 普段口数は少ないですが、既に研究室の屋台骨を背負っていく存在に成長しました。早い段階でドクターコース進学の意思を固め、着実に研究を進めて行ってくれています。この受賞を契機に、これからも頑張っていきましょう。
 今回の審査は応募者多数で、受賞は無いと心の中では思っていました(昨年の同大会で別所さんも受賞していますし)。しかし、本人は受賞する気満々で、受賞スピーチも完璧に考えていたそうです(!?)。ここまで肝が据わっているとは正直、驚きでした。将来、とんでもない大研究者に化けそうです。


<2013.12.13>
D1の益田恵子さんとM1の別所裕紀さんの二人が、広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップを受賞しました!
 遂にアベック受賞となりました。めったにあることではないので、嬉しいです。副賞は後期分の授業料免除です!


<2013.11.21>
浮穴と研究員の岩越栄子さんの二人が、平成25年度広島大学学長表彰を受賞しました。
 以下、受賞盾に刻まれていた文面です。
 「神経ペプチドや抗菌ペプチドなどの新しい生理活性ペプチドの同定と機能解析を精力的に行い,その研究成果を国際誌に公表され高い評価を得られているほか,指導学生やポスドク研究員らが多数の学会賞を受賞するなど,本学の発展に顕著な貢献をされました。」
 2006年頃から二人三脚で研究室運営をやってきたのを大学からも認めていただきました。所属メンバーや周りの先生方へ感謝申し上げます。


<2013.10.26>
ポスドクの谷内秀輔さんが、第40回日本神経内分泌学会学術集会において若手研究奨励賞を受賞しました!
 基礎医学系の学会ですが、全くのアウェーでした。何度も発表練習を重ねて皆に理解してもらえる内容になったと思います。
 多くの著名な先生方にもコメントを頂戴しましたし、研究内容に高い評価をいただきました。丸2年間の頑張りが一つの形となりました。


<2013.10.17>
D1の益田恵子さんが、平成26年度日本学術振興会特別研究員(DC2)の採用内定者に決定しました!
 春には奨学金全額返還免除に認定されましたが、それに続き学振DC2採用決定となりました。
 立派な研究者になれるように、精進を続けてください。


<2013.9.13>
ポスドクの谷内秀輔さんが、第36回内藤コンファレンスにおいて優秀発表者に選定されました!
 札幌で開催されたクローズドの国際会議でしたが、浮穴、ポスドクの谷内さん、前嶋さんの3人でポスター発表をしてきました。60名のポスター発表の中から10名の優秀発表者が選ばれ、その中に谷内さんが含まれました。これに選ばれると特定研究助成金贈呈候補者となります。他の選ばれた方々はそうそうたる先生方ばかりでしたので、胸を張って誇れる業績だと思います。これも研究室メンバー全員の成果です。
 会議には国内外の著名な先生方が参加されており、しかも3泊4日の缶詰状態でしたので非常に濃厚な時間を過ごせました。同世代の先生方とも交流を持て、モチベーションも上がりました。色々といただいたコメントを参考に、研究を進めていきたいと決意を新たにしました。


<2013.8.9>
ポスドクの谷内秀輔さんが、第28回日本下垂体研究会学術集会で優秀発表賞を受賞しました!
 岩手で開催された集会において「視床下部で発見した新規神経ペプチド前駆体遺伝子の機能解析(谷内秀輔、鹿野健史朗、近藤邦裕、前嶋 翔、益田恵子、別所裕紀、古満芽久美、岩越栄子、浮穴和義)」というタイトルで口頭発表し、優秀発表賞に選ばれました。
 オーサーには現所属メンバー全員が入っており、文字通り研究室総出の仕事として評価されたのだと思います。昨年度前半までのノーデータが嘘のようにこの1年間研究室の全員が頑張って良い結果を出してくれました。
 谷内さんは学位取得までは岡山大学で下垂体関係の仕事をしていたので、ホームグラウンドでの受賞は感慨深いものがあったと思います。これを良い自信にして今後も頑張りましょう!努力は報われることを示しましょう。


<2013.7.25>
D1の益田恵子さんが、スペイン・バルセロナで開催された第17回国際比較内分泌会議(ICCE2013)においてスカラーシップを受賞しました!
 2013年7月15-19日まで開催された標記国際学会において、大会本部よりスカラーシップが授与されました。これは世界中の多くの学生参加者の中から10名が選ばれ、その中に益田さんが入りました。大会参加費が無料になりました。なお、益田さんは初めての国際学会参加でした。また、益田さんは総合科学研究科からも渡航費援助者に選定されています。
 さらに、本学会には研究室からはポスドクの前嶋さんも参加しましたが、彼も民間研究助成団体から渡航費援助をいただきました。みんな、独立した研究者の卵ですね。嬉しい限りです。


<2013.5.12>
M1の別所裕紀さんが、日本動物学会中国四国支部第65回大会において若手研究者優秀発表賞を受賞しました!
 徳島大学で開催された大会において「ニワトリで発見した新規神経ペプチドはヒスタミンニューロンに発現している(別所裕紀、岩越栄子、古満芽久美、前嶋 翔、谷内秀輔、橘 哲也、浮穴和義)」というタイトルでポスター発表し、見事受賞しました。3月から四冠目?本人の学会体験記は、「メンバー便り」にあります。
 知り合いの先生からは、「別所さんはドクターの学生さん?」と言っていただけるほど、落ち着いた発表だったようです。懇親会時の生協のおじさんからは、「阿波踊り要員」と間違えられたようですが・・・。昨年度に、比較内分泌学会大会と動物学会広島県例会で発表をしたのが良い経験になったのでしょうね。まだまだ上を目指して、今後も頑張りましょう!


<2013.3.23>
4年生の別所裕紀さんが、優れた学生を表彰する広島大学学生表彰及び総合科学部岡本賞のダブル受賞をしました!
 総合科学部で行われた学位記伝達式では、別所さんは総代として卒業証書授与、岡本賞授与、謝辞の三冠で、「別所さんの別所さんによる別所さんのための卒業式」となりました。
 広島大学学生表彰は、総合科学部の卒業生の中で一番の成績優秀者に送られるものです。つまり、首席卒業です。
 総合科学部岡本賞は、優れた卒業研究を行った者に対する表彰で、平成21年度の古満さん、平成22年度の山崎さんに続くものです(平成23年度は卒論生がいなかったので、ここ4年間、浮穴研卒論生の中から毎回岡本賞受賞者を輩出していることになります。浮穴は岡本賞ブリーダーかもしれません!?何?受賞は学生の素質で、浮穴は関係ないって!?)。一般論として、勉強と研究はなかなか相関性がないものですが、両方を兼ね備えたということは大したものです。本人の努力に敬意を表します。しかし、指導教員としては鼻が高いです。
 卒業論文タイトル「ニワトリの脳におけるヒスタミン合成酵素の同定と視床下部新規神経ペプチドとの相関に関する研究」

 浮穴研の卒論生は、別所さん、近藤君、鹿野君の3名でした。近藤君と鹿野君もニコイチ(二人合わせて一つの大きなテーマを推進した)として別所さんに負けず劣らず良い研究をしました(二人合わせたことで、4人分の成果は出たでしょう)。大学院に進学したら、トリイチとして益々頑張ってください(ここがピークだったらもったいないです)。もちろん、大学院博士課程前期修了生の益田さんも立派な研究を行いました。皆に対して娘から「浮穴賞」が送られました(娘は一週間以上かけて毎日賞状を作っていました)。皆、良い賞を受賞できましたね(なになに、皆、諭吉様の肖像の入った紙が欲しかったって?研究費たくさん使ったでしょ!!)。
 何よりも大切なのは、感動と喜びを体感できたかどうかだと思います。これは、いくら大金を払ってもそう簡単に得られるものではありません。そういう意味ではこの一年間は研究室員全員にとって大切な時期でした。改めて、皆に感謝です!!本当に、本当に、ありがとうございました。


<2013.3.18>
2013年2月19日付にて本学名誉教授になられた元指導教授の筒井和義先生の生命科学セミナーが開催されました。
 広島大学で丸10年間教授を務められたご功績により、本学名誉教授の称号が授与されることが決まり、授与式の前に特別にご講演いただくこととなりました。

 また、授与式後に研究室にて簡単ではありましたがお祝いの会を開かせていただきました。
 若い研究室員達へ次の貴重なメッセージをいただきました。「自分は大した人間ではないと思い、謙虚に努力すること。置かれた環境が一番だと思って一生懸命研究すること。常に論文を書き、業績を挙げること。」
 確かに何度も教えられた言葉ですが、まだまだ出来ていませんね。
 筒井先生は昨年9月に還暦を迎えられました。それでも、夜中に研究室からメールが届きますので、どれくらい働いておられるのでしょうか。今なお、研究の虫ですね。
 還暦祝いとして関係者が冊子を作った際に記した浮穴の駄文を掲載させていただきます。

筒井先生の還暦祝いに寄せて
 筒井先生、還暦をお迎えになられたこと、心よりお祝い申し上げます。
 私は筒井先生から博士号をいただいた最初の弟子であり、名前(和義)も同じであることから、大変名誉ある弟子だと日々感じております。先生と私との親密な関わりは、平成8年4月に広島大学総合科学部のドクターコースに進学させていただいた時からです。それ以前に理学部のマスターコース(指導教員:松島治先生)でもバインディングアッセイやラットの解剖等でご指導をいただいておりましたので、研究者の卵としてトレーニングを積むなら筒井先生の下でご指導を仰ぎたいと研究室を移動する決意をしました。私が理学部を出て筒井先生のところでお世話になるという時に理学部の先生方に言われたことがあります。それは、「筒井先生が川島誠一郎先生のところに加わり川島先生の研究を支えたように、浮穴も筒井先生の役に立つことができるよう頑張れ」というものでした。そうなったかどうか自信はありませんが、ドクターコースの途中で助手にしていただき、7年間微力ながら助手を務めさせていただきました。振り返ると、ドクターコースから筒井先生が早稲田大学に転出されるまでの10年半の間、お近くでご指導受け、また、お手伝いをすることが出来ました。この間、私自身の研究テーマを自由に行うことも許していただき、独り立ちするための準備もさせていただきました。先生は私に対して非常に寛容で逆に多くの気遣いをいただき、研究を楽しむというサイエンスの重要なことを常に経験させてくださいました。
 筒井先生は皆感じているように常にパワフルで独創的な研究分野を切り開く非凡な研究者・指導者です。我々弟子が常に先生に言われていたことは、「研究を面白くもダメにするのも本人次第、凡人は努力以外に未来を切り開く術はない」というものです。広島大学時代の先生は、時に優しく学生達に声をかけ、時に叱咤激励されておられました。私は筒井研の大番頭として、「筒井先生に叱られる前に注意を与えておく見張り役」になることを心がけていました。先生は、日常の大部分は精力的に論文執筆活動を行われる毎日を過ごされていました。我々弟子は先生のおかげで数多くの業績を挙げることが出来ました。その甲斐あって「筒井研を出た若手研究者は信頼できる」という言葉を数多く耳にしてきました。また、研究費申請書や論文作成のお手伝いなどを通じ、書類の書き方を学ぶことができました。私自身も研究室を主宰する身になり思い悩むことがあった時には、「筒井先生ならどのように判断され、困難を乗り切ろうとされるか」を考えるようになりました。また、最近では、「筒井先生の教え」を先生の孫弟子達にも積極的に伝えていくことが私の使命だとも感じています。
 早稲田大学に移られてからの先生は、様々な学会活動のお世話、国際学術誌の編集委員、世界中の研究室との共同研究、シンポジウム発表での海外出張等で、さらにお忙しくなられたと筒井研の研究室員らから聞いております。くれぐれもお身体だけは大切にされ、これからも独創的な「筒井ワールド」の研究を推進していっていただけますようにお願い申し上げます。私も先生から学んだノウハウを形にすべく努力していきたいと思っております。先生の弟子達には「偉大なボスの足元にどのくらい近付けるか?」という大命題が残っています。
 今までのご指導に感謝申し上げ、お祝いの言葉に代えさせていただきます。


<2013.3.6>
浮穴が、「広島大学 特に優れた若手研究者(DR:Distinguished Researcher)」に選定されました。
 これは、広島大学の機能強化に向けた行動計画2012~「学生が成長する大学,国際社会で存在感のある大学」であるために~、という大学指針の下、研究推進会議で選定されました。以下、趣旨・目的・役割です。
〔DRの創設趣旨・目的〕将来DP教授として活躍しうる若手人材に対し,研究に専念できる環境を保障するため,特に優れた若手教員に対応するDR教員を創設する。
〔DRの役割〕DR教員は一層研究に専念することにより,本学を代表する研究者となることを目標とする。
 これに関して、意気込みを雑感に記します。
 なお、総合科学研究科からはDRとして、お隣研究室の佐藤明子先生(平成24年度着任、神経細胞における膜タンパク質の選別輸送システムの研究)と私の二人が選定されました。


<2012.11.30>
ポスドクの前嶋翔さんが、第37回日本比較内分泌学会大会で若手研究者最優秀発表賞を受賞しました!
 福井で開催された大会において「ラットの視床下部新規神経ペプチドの形態学的解析(前嶋 翔、岩越栄子、佐藤慧太、坂本浩隆、坂本竜哉、浮穴和義)」というタイトルでポスター発表し、102題という多くの発表の中から若手研究者最優秀発表賞に選ばれました。
 4月から浮穴研に合流し、丸8ヵ月間の研究成果です。良い抗体ができたこと、浮かし法の切片とスライドガラスにかじりついていた姿勢、繰り返しの実験、観察力、そして10月からのハードスケジュールでの岡山大の坂本浩隆先生の下での電顕観察、という全ての合わせ技の結果でしょう。形態観察という一見地味に思える仕事も「黙々と実験結果を積み重ねると、生理的変化が観察できる!」という、解剖生理の真骨頂と言える成果が得られました。
昨年東京での比較内分泌学会大会(内分泌ウィーク)の懇親会で、「今年度で学位が取れそうですが来年から職がありません。誰か雇ってください」とスピーチしていた心細い彼の姿を思い出すと、指導教員の内山先生もほっとされたことだと思います。今回の大会中もずいぶん富山大の後輩達にもいじれられてなつかれていました(別の理由かも?)。
一方、今回は、思い切って4年生も卒論途中のデータを使って発表する機会を持ってもらいました。学会発表デビューでした。
 また、大会前日には第3回ペプチド・ホルモン研究会が開催されました。これは昨年3月の第1回宮崎、そして今年3月の第2回広島の続きです。来年には第4回が開催されることに決まりました。研究会と大会・シンポジウムの事務局の矢澤さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。
 とても充実した3日間でした。


<2012.9.14>
研究員の岩越栄子さんが、公益社団法人 日本動物学会 平成24年度女性研究者奨励OM賞を受賞しました!
 大阪大学での第83回大会中に授与式がありました。この賞は、安定した身分で研究を続けることが困難だけれど、強い意志と高い志を持って研究に意欲的に取り組もうとする女性研究者に授与されるものです。岩越さんは、広島大学総合科学部を卒業後、製薬会社、(財)サントリー生物有機科学研究所(現・公財 サントリー生命科学財団)、(独)酒類総合研究所、広島大学非常勤研究員、ポスドク研究員等、色々と渡り歩いてきました。出産・子育てをしながらも、一貫して「新規生理活性ペプチドの同定と機能解析」の研究を続けており、そのことが高く評価されました。何事も継続が大事だということでしょう。諦めずに続けることは難しいことですが、「好きな研究」をできる環境に感謝している様子でした。指導教官であった宗岡洋二郎先生、サントリー生有研時代の南方宏之先生、そして論文博士の指導教官の筒井和義先生をはじめ、これまでの共同研究者の方々に御礼申し上げます。


<2012.3.16>
第2回ペプチド・ホルモン若手研究会in広島を開催しました。
 昨年の宮崎での第1回を引き継ぎ、第2回目の世話人をさせていただきました。年度末のお忙しい時期に全国(埼玉、東京、富山、福井、京都、大阪、神戸、愛媛、宮崎、広島など)から60名を越える多くの方々にお集まりいただき、活発な研究会を開催することが出来ました。多くの学部生や院生を含む若手研究者の方々に喜んでいただき、世話人冥利につきます。本当にご参加ありがとうございました。「本気でやっている若手・中堅研究者」の真髄に触れたような気がします。私(中堅の粋がってるおっちゃん)も負けないように頑張らないといけないと決意を新たにしました。
 3回目は今年の11月末(比較内分泌学会大会の前後)に福井で矢澤隆志先生(福井大・医・分子生体情報学)が世話人として開催されることになりました。今から楽しみになりました。矢澤さんの先生である宮本薫先生の比較内分泌ニュースのエッセイ原稿がパソコンに残っていましたので、再度読み直したところ、昨年宮崎でお話しを聞けた松尾先生やその門下生の偉大さを改めて再確認しました。


<2012.3.3>
2012年度の日本動物学会中国四国支部・広島県例会を開催しました。
 本年度は、昨年までと同様の公募によるポスター発表に加え、広島大学大学院理学研究科の道端齊先生にご講演をいただきました。道端先生の研究室の卒業生らも多く参加され、盛会となりました。
 いつもの流れで私の道端先生についての思い出について記そうと思います。記念講演の司会の際に本心は以下のことを紹介したかったのですが、場違いで、型どおりの紹介となりました。
 道端先生は私が学部2年生の時に理学部附属臨海実験所に来られました。すぐに教授になられ、その後、平成15年に私の出身研究室の情報生理学研究室に配置換えになられました。学部生時代から私は出来の悪い学生だったため、講義や臨海実験も含め先生にはご迷惑をおかけしました。
 平成7年のM2の11月頃だったと思いますが、私の当時の指導教員だった松島先生のグループが臨海実験所に伺い、研究紹介をするという機会がありました。私が発表したかどうかは覚えていないのですが、後輩達が発表をしました。そこでの道端先生や助教授だった森山先生のツッコミに圧倒されました。夜には飲み会もあり、激励を込めた批判的なご意見をいただきました。M2の終わり近くだった私は製薬会社の内定をもらい10月には内定式にも出席し、修論発表会を残すだけという状況でした。学術論文も数報出ており、大学の研究室という世界に自分なりに満足感(満腹感?)を感じていました。あの研究交流会をきっかけに、「まだ大学での研究をやり残したことがある!何とか先生方を見返すような研究者になりたい!」と思いなおし、内定を頂いていた企業へ12月に謝り、ドクターコース進学を決めたのでした。
 あれから速いもので丸16年が経ちます。この16年間、「やり残したこと」どころか「何をやるべきか?」ということにずいぶんと長い時間を費やしてきたような気がします。その間、当時日本動物学会中国四国支部の支部長だった道端先生から広島県委員に指名していただいたり、平成21年には私自身が動物学会奨励賞をいただけたりしたので、研究者の末席を汚させていただけるようになれたのだと思います。つまり、あの研究交流会が無ければ、今の私は存在していなかったのだと思います。
 記念講演の最後に道端先生が若者に対して言われた「研究テーマを点で考えるのではなく、流れとして捉えよ」という言葉は研究室を主宰する身には、「なるほど、その通りだ」と心底同感しました。
 肝心の道端先生のご功績については全く触れませんでしたが、バナビン2というタンパク質を介して生体内で酸化還元状態を保つためにバナジウムをホヤが利用しているという発見に至る膨大な研究成果を挙げられました。道端先生の長年の大学での教育・研究活動に敬意を表し、ご功績を称えたいと思います。これからも先生の後ろ姿を追いかけたいと思っております。本当にありがとうございました。


<2011.8.29>
抗菌ペプチドの3報目の論文が受理されました(Peptides誌)。
 2010.12.21の1報目(Peptides誌)、2011.8.7の2報目(BBRC誌)に続き、一連の研究の区切りとなる最後の論文が受理されました。これらの研究について説明します。
 そもそもの研究開始のきっかけは、2006年4月(総合科学研究科発足時、完全独立の1年目)に広島大学理学研究科附属両生類研究施設(以下、両生研)の住田正幸先生に声をかけていただいたことから始まります。両生研は、両生類の系統保存や遺伝的研究に関して世界的にも有名です。私の亡父も私が理学部在籍時代に「息子はカエルの研究をやっている」と知り合いに自慢していたそうです(ラジオ番組で西岡みどり先生(住田先生の先生)のお話を聞いて感銘を受けたようで、そのように言っていたのだと思います。実際には私はミミズやヒルの研究でしたが、実現し、天国の父も喜んでいるでしょうか)。住田先生は世界中のカエルの系統関係を調べる分子系統学の分野で有名な先生で、今日の生物多様性維持という観点から多くの人達から注目されています。透明ガエルのスケルピョンの開発という話題もマスコミで注目されました。住田先生が取り組んでおられる系統保存の仕事の一環として絶滅危惧両生類の保存と繁殖というのがあり、その中で沖縄本島や奄美大島にのみ生息する絶滅危惧種イシカワガエル(Odorrana ishikawae)の人工繁殖に成功しておられます。イシカワガエルは日本一美しいカエルとも呼ばれており、沖縄の美ら海水族館前の海洋博公園のモニュメントにもなっています(下の写真)。このイシカワガエルを実験室で飼育すると他のカエルに比べ生存率が高いことから、感染症に対する特殊な防御機構が備わっているのではないかと予想をされました。そこで自然免疫の要である抗菌物質をイシカワガエルの皮膚から単離してみたいと考えられました。住田先生の知り合いの中嶋暉躬先生(現・星薬科大学学長。サントリー生有研の元・理事長・所長であった関係で、我々夫婦そろって大変お世話になりました)の推薦で私に研究遂行のお鉢が回ってきました。中嶋先生も色々な動物から抗菌物質や毒を単離・同定されてこられた世界的に超有名な先生です。2006年度は指導学生もおらず、ホヤの後葉ホルモンの研究を開始していた関係で、私一人でこの仕事を行うのは無理だとお伝えしたところ(岩越さんも産休・育休中でしたので)、県立広島大の藤井保先生(元副学長、ヤツメウナギの自然免疫系の補体の研究が主なお仕事)のところの4年生を総科に派遣してもらうことになりました(以前より、住田先生と藤井先生は共同研究をされていました)。実は藤井先生には前年度にヤツメウナギについて連絡をとったことがあり、ここでも妙な繋がりを感じました(何事も世の中は繋がっているということですね)。
 その後、イシカワガエルの皮膚から新規の抗菌ペプチドを10種類以上、さらに遺伝子の網羅的発現解析からも13種類以上の新規のペプチドを発見しました。3報の学術論文に加え、特許出願や数多くの学会発表も果たしました。HPLCによるペプチド精製、アミノ酸シークエンスや質量分析、細菌や真菌の抗菌アッセイ、遺伝子クローニング、ペプチド合成など、これまでの経験に加え新たな工夫もいくつか加えながら研究を完成させていきました。まさに天然物有機化学の王道研究でした。私の所属の使命が脳科学ということもあり、総科の学生さんに研究を手伝ってもらうことは出来ませんでしたが、2006年度の沖本愛子さん、2007年度の曽我美幸さん、2009年度の岡田玄也君の3人の県立広島大の4年生の活躍と努力に敬意を表したいと思います。3人とも一生懸命頑張ってくれました。積極的に物事に取り組む姿勢は、引っ込み思案の強い広大生にも是非とも見習ってもらいたいと思いました。研究の指導や取りまとめは育休復帰後の岩越さんに全面的にお願いしましたが、我々も多くのことを学びました。
 イシカワガエルの皮膚に存在する抗菌ペプチドの合成・分泌が発生や発達段階でどのようになっているのか、野生カエルでどのようになっているのか、もし環境因子がそれらに対し悪影響を与えているのであれば、その因子の特定などを行っていく必要があると考えています。つまり、自然免疫のシステム理解からの生物多様性維持に貢献できる研究に発展する可能性があると思っています。一方、抗菌ペプチドは病原性細菌や薬剤耐性菌の駆除にも使えるのではないかと期待が高まっています。我々の研究でも天然物より構造を改変したアナログペプチドの方がより強い抗菌活性を示すことなどを明らかにしており、応用面からも興味が持たれます。そのためにも特許出願をしました。実際に論文発表後、抗菌物質に関わる国際シンポジウムのお誘いをよく受けるようになりました。ただ、研究室としては食欲調節因子に全研究精力を傾けている状況ですので、残念ながら現時点ではここで一区切りとなります。カエルの皮膚に限らず、我々ヒトも含めて多くの生物が抗菌物質を含有していますので、またいつか抗菌ペプチドの同定を両生類以外の生物でもやってみたいと考えています(ネタは色々とありますが、現時点では実行は時間的に難しいです)。
 最後に、両生研の住田先生と県立広島大の藤井先生に感謝申し上げます。研究開始から成果が完成するまでにずいぶんと長い時間かかってしまいましたが、絶えず温かい目で見守ってくださいました。さらに、東邦大の岩室祥一先生にはカエルの抗菌ペプチドや抗菌アッセイの方法について多くのお話を伺い、研究の参考にさせていただきました。研究費の援助をいただきました県立広島大学重点研究事業、病態代謝研究会、三井住友海上福祉財団、持田記念医学薬学振興財団に対し心より御礼申し上げます。


<2011.8.4>
生研センター・イノベーション創出基礎的研究推進事業に研究課題が採択され、ビッグプロジェクトが開始しました!
 農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター(略称 生研センター)
 イノベーション創出基礎的研究推進事業 技術シーズ開発型研究 若手研究者育成枠
 研究課題「家禽における新規脳内摂食調節因子の機能解明とその利用」(平成23-25年度)
 約3年前にニワトリ雛の脳内で発見した新規遺伝子の機能解明を原点の家禽に戻り研究展開するという内容です。その後に哺乳類でも同様の研究を行っていきます。
 2010年から少しずつ学会発表している研究内容ですが、これを機に一気に研究完成まで持っていきたいと考えていますし、それが期待されています。昨年の「雑感」にも記しましたが、この研究は大変難しく、一進一退で突破口がどこにあるのかを暗中模索する苦しくも楽しい日々です(期待から失望を引くと常にプラスにあります)。逆に困難だからこそそれに積極的にチャレンジしたいという思いが強いです。大げさでなく研究者人生をかけて打ち込まないと突破できないと思います。研究室員にも苦労をかけますが、皆で一丸となる以外に手はありません。苦しみを楽しめるようになれば一皮むけたことになります。
 研究設備の調整に最初時間が少しかかりますが、10月からはポスドク研究員と研究補助員が加わります。
 研究支援をいただけるという感謝の気持ちと何が何でも研究を成功させてやるという強い情熱を持って、精進・突進していきます。


<2011.6.30>
M1の佐藤真実さんが、広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップを受賞しました!
 5月の学会発表賞受賞と学部生時代の成績評価により、学長表彰されました。7月12日に研究科長室にて授与式も行われました(授与式風景、集合写真(左端))。授与者は授業料免除の特典が付くようです。優れた学業成績をまんべんなく取るということは本人の努力以外に方法がなく、努力を正当に評価されたことは喜ばしい限りですし、今後も努力が認められる世の中であってほしいです。尚、M2の受賞者は斎藤研の濱本明恵さんでした。同じ研究領域(生命科学研究領域脳科学分野)からの受賞はやはり嬉しいですね。濱本さんの場合はファーストオーサーの学術論文の掲載が大きく評価されたのだと思います。
 私の学部生時代を振り返ってみると、とんでもない落ちこぼれのダメ学生だった気がして恥ずかしくなります(よく4年で無事卒業できたものです。帳尻合わせ名人ですね。)。もうちょっと真面目に勉強しておけば良かったのでしょうが、再度学生をやり直しても同じことを繰り返すでしょうね(性格は二十歳過ぎたら変わらない)。しかし、研究室に入ってからは沢山仕事をして成果を出しましたので、学部時代の成績は帳消しになったと勝手に考えています(帳消し名人?都合良すぎ?)。過去も未来も努力次第でいかようにもなるということでしょうか。
 話はそれましたが、この受賞を自信にして今後も頑張ってください。


<2011.5.15>
M1の佐藤真実さんが、日本動物学会中国四国支部第63回大会において若手研究者優秀発表賞を受賞しました!
 香川県高松市で開催された大会において「マウス視床下部における摂食調節に関わる新規遺伝子のmRNA発現解析(佐藤真実、岩越栄子、浮穴和義)」というタイトルでポスター発表し、見事受賞しました。卒業研究の内容ですが、3月の広島県例会の経験も踏まえての発表でした。卒論レベルとは思えない多くのデータが得られました。沢山の方々にポスターを見に来ていただいたようで、1時間話し続けたそうです。
 動物学会は哺乳類を研究対象とした研究者は多くなく、マウスの研究は場違いな感じもしますが、研究内容が高く評価されたのだと思います。卒論後も続々と新データが出ていますので、秋の本大会(旭川)目指して今後も頑張りましょう!


<2011.3.23>
4年生の山﨑玲子さんが、優れた学生を表彰する広島大学総合科学部岡本賞を受賞しました!
 卒業論文タイトル「視床下部新規遺伝子がコードしている成熟神経ペプチドの同定」
 昨年の古満さんに続き、二年連続の岡本賞受賞となりました(今年は大震災に配慮し、金屏風や乾杯もなく授与式・祝賀会は自粛して行われました。)。本年度の岡本賞選考も大激戦だったようですが、選考会でも元気一杯に発表できたのでしょうね。山崎さんには敢えて難しいテーマに取り組んでもらいました。社会人になってもこの1年間の経験を忘れずに頑張ってください。
 指導教員としても二年連続の受賞は大変嬉しく、優秀な学生達に恵まれて感謝です。卒論生4人ともよく頑張りました。
 昨年度記した「継続は力なり」が実行できたのだと思います。今後も力を合わせ努力していきましょう!


<2011.3.5>
2011年度の日本動物学会中国四国支部・広島県例会を開催しました。
 昨年と同様に広島大学大学院理学研究科を会場にし、ポスター形式での発表会を開催し、 無事に終了しました。県例会のポスター発表も定着したのか演題も多く、盛会となりました。県例会の様子は、日本動物学会中国・四国支部ホームページをご覧ください。


<2011.3.4>
ペプチド・ホルモン宮崎若手研究会に参加しました。
 宮崎大・IR推進機構の井田隆徳先生に声をかけていただき、最近やっているペプチドの仕事を発表してきました。宮崎はペプチド研究のメッカであり、会の冒頭に松尾壽之先生(元宮崎医大学長であり、ペプチドハンターの神様)の「若者に向けて」という特別講演がありました。色々な含蓄のあるお話を聞け、感激しました。この想いを浮穴研の人達にも伝えなければいけないと思い、メモを取りました。その後、松尾先生の文化功労者顕彰記念パーティーにも出席させていただきました。
 研究会や夜の懇親会では色々な方々にご意見をいただき、非常に参考になり、勉強になりました。ペプチド探索の世界は井田さんの「モノ取りは当たったら大きいけど、外れたり先を越されたら一文無し」という言葉がぴったりです。年度末でしたが、宮崎まで行って本当に良かったです。井田さん、ありがとうございました。翌日の動物学会県例会開催のために廃止間近(3.12ダイヤ改正)の座席夜行列車「ドリームにちりん」で小倉まで出ました。色々な意味で中身の濃いハードな出張でした。
 来年は広島で研究会を開催することとなりましたので、今回以上にインスピレーションを与えられる会にしたいと思っています(第1回目を越えるのは無理?)。


<2010.11.20>
ポスドクの岩越栄子さんが、第35回日本比較内分泌学会大会で若手研究者最優秀発表賞を受賞しました!
 静岡で開催された大会において「視床下部における新規摂食調節関連遺伝子の発見(岩越栄子、田中幸恵、橘哲也、浮穴和義)」というタイトルで口頭発表し、見事“若手”発表賞を受賞しました。学会後にこの報告をすると、周りの皆から “どこが若手?若手の定義は?”とさんざん冷やかされていました。この賞の若手とは40歳以下ですので、問題なしです。この世界では、40代でも十分に若手でしょう。研究のモチベーションに年齢は関係ないと言うことですね。今年のノーベル化学賞の根岸・鈴木両先生のお姿を拝見していてもそう感じます。まだまだ我々は“生まれたての赤ちゃん”のようなものです。
 9月の動物学会に引き続き、ここ4年近く研究している新規遺伝子の研究発表を行いました。サブトラクション法により視床下部領域で特異的に発現している遺伝子を探索し、2年前に「これぞ狙った遺伝子!」と確信して研究室総出で研究している内容です。まだ本丸を落しきれていない段階ですが、何をしているのかを学会でアピールすることも大事なので途中経過として発表することとしました。質疑応答では鋭い質問が沢山ありましたが、さすが“天然”の岩越さんは斬られたことも気付かず堂々とやり遂げました。また、M1の佐藤瑠奈さんもポスター発表を行いました。沢山の方々に入れ替わり立ち替わり見に来ていただきました。


<2010.3.23>
4年生の古満芽久美さんが、優れた学生を表彰する広島大学総合科学部岡本賞を受賞しました!
 卒業論文タイトル「視床下部新規遺伝子がコードしている神経ペプチドの大量発現系の構築」
 2007年の鈴木さん以来の岡本賞受賞となりました。本年度の岡本賞選考は大激戦だったようですが、学部の成績と卒論の内容が高く評価されました。
 研究は良いことや楽しいことばかりではなく、それ以上の苦しみの連続で、途中で投げ出しそうになったりすることの方が多いのですが、このような賞をいただけることは研究室としても励みになります。「継続は力なり」なので今後も力を合わせ努力していきましょう!古満さん含め卒論生3人ともよく頑張りました。他の2人は修論での岡本賞を!


<2010.3.17>
第50回東レ科学技術研究助成に研究テーマが採択されました!
 第50回(平成21年度)東レ科学技術研究助成金交付対象研究として、現在進めている「摂食調節因子をコードしている脳内新規遺伝子の機能解明」の研究テーマが、東レ科学振興会より採択され、3月17日に日本工業倶楽部にて贈呈式が開催されました。
 東レ科学技術研究助成は、国内の研究機関で理学・工学・農学・薬学・医学(除・臨床医学)関係の基礎的な研究に従事し、今後の研究の成果が科学技術の進歩、発展に貢献するところが大きいと考えられる独創的・萌芽的研究を活発に行っている若手研究者に与えられる研究助成です(東レ科学振興会HPより)。
 助成申請に際し、日本動物学会から推薦をいただきました。本研究の基盤となる業績も無く、全く萌芽的な研究内容ですが、当たれば大きいと思っています。このあたりを二次の面接試験で評価していただいたと思います。成果を一日も早くあげるために全力を尽くすように改めて決意を固めました。

東レ科学振興会HP
http://www.toray.co.jp/tsf/
http://www.toray.co.jp/tsf/info/inf_001.html


<2010.2.22>
神経ペプチド(26RFa)の新しい成果がEndocrinology誌へ受理・掲載されました(2010.2.22受理。2010.3.22オンライン版に掲載されました。)。
 鳥類のウズラとニワトリを用い、脳内に発現している新規RFamideペプチドである26RFaという神経ペプチドを同定し、受容体のGPR103に特異的に結合することも見出しました。機能解析としてニワトリ雛の脳室内投与を行った結果、ブロイラー(肉用鶏)の摂食行動を促進する効果がありました。レイヤー(卵用鶏)には効果が無いことから、ブロイラーの摂食亢進能力に関与しているのかもしれません。行動解析では愛媛大の橘哲也先生、受容体解析では同研究科の斎藤祐見子先生に多大のご協力をいただきました。
 現在、この研究をさらに発展させ、脳内に発現している全く新しい未知の神経ペプチドを探索する研究を進めています。

論文タイトル:Identification, Localization, and Function of a Novel Avian Hypothalamic Neuropeptide, 26RFa, and Its Cognate Receptor, G Protein-Coupled Receptor-103
著者:Kazuyoshi Ukena, Tetsuya Tachibana, Eiko Iwakoshi-Ukena, Yumiko Saito, Hiroyuki Minakata, Ryoko Kawaguchi, Tomohiro Osugi, Yasuko Tobari, Jérôme Leprince, Hubert Vaudry, and Kazuyoshi Tsutsui
出典:Endocrinology.151:2255-2264 (2010).


<2010.3.13>
2010年の日本動物学会中国四国支部・広島県例会を開催しました。
 今回は広島大学大学院理学研究科を会場にし、ポスター形式での発表会を開催しました。
 県立大の岡田君含め浮穴研の4年生4人も発表し、良い刺激になったようです。県例会の様子は、日本動物学会中国・四国支部ホームページをご覧ください。


<2009.9.18>
浮穴が、平成21年度日本動物学会奨励賞を受賞しました!
 歴史ある日本動物学会において、若手研究者を対象とした奨励賞をいただきました。静岡で開催された第80回大会時に佐藤矩行会長より授与されました。受賞タイトルは、「系統発生学的見地からの神経ペプチドの同定と生理機能解析」です(ポスター発表風景及びポスター)。卒業研究から最近まで行ってきた神経ペプチドに関する研究の集大成です。ご指導いただきました松島先生並びに筒井先生を始め、共同研究者全員にこの場をお借りして御礼申し上げます。
 名誉ある賞を励みに独創的な研究を今後も展開していきたいです。現在、未発表データですが新規神経ペプチドの研究を研究室総出で取り組んでいます。この研究を早く公表し、奨励賞を受賞したことが伊達ではなかったことを示したいと思っています。今後の発展にご期待ください!
 追伸:受賞から1年以上経ってから日本動物学会ホームページに受賞に際しての記事が掲載されました。受賞研究内容とその後に行っている研究内容を書かせていただきました(2010.12.9)。


<2009.3.7>
2009年の日本動物学会中国四国支部・広島県例会を開催しました。
 今回は3月末で定年退職される安藤正昭先生にご講演をいただきました。
 安藤先生の実質的な最終講義で、かっこよかったです(失礼な言い方ですみません)。多くの先生方や安藤研卒業生にもお越しいただき、同窓会のような気がしました。退職後は東大・海洋研で研究を継続されるとのことで、今後もご指導の程宜しくお願いいたします。


<2008.6.14>
独立後最初の成果がEndocrinology誌へ掲載されることになりました(論文が受理されました。2008.6.26オンライン版に掲載されました。)。
 内容は「尾索類シロボヤ(Styela plicata)に存在する神経後葉ホルモン様物質の構造と機能に関する研究」です。独立後、寂しくも地道に研究を進めてきた内容です。もちろん岩越さんの貢献も大きかったのは言うまでもありません。何せ、大きいお腹を抱えて小型船で材料のシロボヤ採集に付き合ってくれたのですから!(今考えればゾッとするような笑い話ですが、、、)

論文タイトル:Unique Form and Osmoregulatory Function of a Neurohypophysial Hormone in a Urochordate
著者:Kazuyoshi Ukena, Eiko Iwakoshi-Ukena, and Akira Hikosaka
出典:Endocrinology.149:5254-5261 (2008).

 具体的な論文の内容は、次の通りです。我々の脳の視床下部領域で作られ脳下垂体後葉から放出されるオキシトシンやバソプレシンと呼ばれる神経ペプチドは、我々脊椎動物のみならず無脊椎動物でも生殖活動や体液調節に重要な働きをしています。進化的に我々脊椎動物と姉妹関係にあると考えられている尾索類においては、この神経ペプチドはこれまで見つかっていませんでした。そこで我々は尾索類のシロボヤにおいてオキシトシン・バソプレシン様ペプチドを同定する目的で、前駆体cDNA配列を決定しました。他の動物ではオキシトシン・バソプレシン族ペプチドは9アミノ酸残基であるのに対し、このシロボヤのペプチドは14アミノ酸残基であり、ユニークな構造をしていることがわかりました。ただし、前駆体タンパク質の構造は進化的によく保存されていました。特にオキシトシン系ペプチドに属すると考えられることからStyela Oxytocin-related Peptide (SOP)と名付けました。さらに、質量分析、in situハイブリダイゼーション法、免疫組織化学的手法により解析した結果、このSOPは神経節に発現していることも見出しました。その後、放卵や放精行動に着目して解析をしたところ顕著な効果は認められなかったことから(論文には記載していませんが)、浸透圧調節への関与を検討しました。シロボヤを60%、100%、130%海水に移して2日後に神経節をサンプリングし、リアルタイムPCRにて発現量を解析しました。その結果、60%海水で飼育すると他の海水濃度に比べ発現量が2.5倍程度増えていました。また60%海水に移行した直後からシロボヤは入水管と出水管を閉じるという行動を示しました。これらの結果から「SOPは低張海水の体内への流入を防ぐために水管を閉じる働きがあるのでは」と考えました。その後、in vitroでの水管収縮惹起効果も認められ、「SOPの浸透圧調節への関与」が示唆されました。
 本研究には、前述の通り出産直前と産後復帰直後の岩越さんの研究サポートが大きかったです。また、データベース解析や進化的考察について同じ総合科学研究科の彦坂暁先生にご協力をいただきました。さらに、恩師の宗岡洋二郎先生や隣のラボの安藤正昭先生には色々と有益なご助言をいただきました。最初のシロボヤの採集時には広島大学理学研究科附属臨海実験所の山口信雄先生及び浦田慎先生に大いに助けていただきました。さらに、論文執筆の際にはUCバークレイ校のDr. George Bentleyに英文校閲及びご助言をいただきました。また、研究費としては日揮・実吉奨学会及び倉田日立記念科学技術振興財団よりご援助をいただきました。数多くのご協力・ご援助に対し、この場をお借りして心より御礼申し上げます。
 あと余談ですが、リアルタイムPCR機はBioRadのデモ機を使わせていただきました(購入できずに申し訳ありません)。

 ここで、何故私は独立した最初の仕事としてこのホヤの神経後葉ホルモン様物質の研究を選んだのか簡単に述べておきます。私はそもそも卒業研究開始以来、何らかの形でこの神経後葉ホルモンとずっと関わってきました(論文として成果が残ったのは数えるほどですが、現在も他の動物で進行中です)。最初の出会いは、卒業研究時に配属された理学部の松島治先生(現広島工業大学)のご指導で、同級生の近江智行君がメインとなり行った「シマミミズからのオキシトシン系ペプチド(アネトシン)の同定と機能解析」に遡ります。当時、筋収縮アッセイで環形動物から神経ペプチドを同定する研究を行っていましたが、その結果見つかったのがアネトシンです。松島先生は浸透圧調節に興味があったため、アネトシンをミミズやヒルに打って体重がどのように変化するか調べてみようということになりました。忘れもしない私たちが修士課程1年生になったばかりの1994年6月18日(土)、我々は注射器片手にアネトシンを環形動物に打ってみました。その結果、驚くべきことに「産卵行動を誘発」したのです。環形動物は環体と呼ばれる首にあたる部分から粘液を出し、コクーンといわれる卵を排出します。この一連の産卵行動をアネトシンは引き起こしました。しかも、ミミズのみならずヒルでも。オキシトシンは陣痛誘発や乳汁射出効果があることは我々哺乳類でも知られていることですが、「手のひらを太陽に♪」ではないけど、「ミミズだってオケラだって、、、(オケラの産卵行動を誘発するかはわかりませんが)」オキシトシンの仲間の神経ペプチドで産卵行動が起こることに対し、全身身震いするくらい驚き感動しました。あの興奮を超える発見は未だに経験できていません。逆に言えば、あの経験こそが今日私が研究を続けられているモチベーションになっているのだと確信しています。このことは松島先生も同感だったのでしょう。運命の1994年から10数年経ち、いよいよ独立の際に、もう一度原点に立ち返り神経後葉ホルモン研究をしたいと思い上記の研究を行いました。放卵・放精行動は観察できませんでしたが、cDNAがクローニングできた時とリアルタイムPCRで60%海水飼育の発現量が増加したデータが得られた時は飛び上がるくらい嬉しかったです。
 その後、サーキュレーションの良い雑誌にSOPの成果を投稿しましたが、10日程度でエディターリジェクト(掲載できないということ)になりました。さらに別の雑誌でも再度10日程度でエディターリジェクトになり、今度は彦坂先生のご協力も仰ぎ進化系の雑誌に投稿しましたが、審査はされたもののまたダメでした。次は満を持して内分泌の雑誌(そのままのEndocrinology)に投稿したところ、レフリーの3人ともに「とても面白い内容で、Endocrinology誌への掲載にふさわしい」と評価していただき、自分自身過去最速で受理されることとなりました(ドクターコース時代の鬼のようなリバイスを思い出すだけで、投稿するのが億劫になっていたのですが、、、)。今思えば最初からEndocrinologyにしておけば良かったのかもとも思いますが、非哺乳類(ましてホヤは無脊椎動物)の論文が掲載される率は低いので、受理されたことは幸運だったのでしょう。紆余曲折ありましたが、何とか形になりました。
 本研究の成果発表は、「論文が出るまでは学会発表しない。SOPの水管収縮作用のように閉ざして頑張る」が合言葉でした。ですので、この2年間、本研究に関する話は内輪の脳科学分野合同セミナーでしかしたことがありませんでしたが、いよいよ2008年9月に行われる動物学会の関連集会「ホメオスタシス研究会(通称・ホメ研)」でお話をさせていただくこととなりました。お声をかけていただいた世話係の九州大学の安東宏徳先生に感謝申し上げます。
 私は常々「研究は、分子・遺伝子・形態・機能・進化の5つが揃ってこそ意義がある」と信じている人間なので、この5つが揃った今回の成果は今後の研究にプラスに働くものと期待をしています。
 是非とも若い学生さんたちも、私が味わった「身震いするほどの感動・アースシェイキングな体験」を科学研究を通じて体感できるように共に汗をかきたいものです。


<2008.2.14>
2008年1月より日本動物学会中国四国支部の広島県委員を務めることとなりました。
 主な仕事は毎年1回県例会を開催し、広島県下の会員・非会員の方々に広く現在の動物学を含めた生命科学研究を紹介し、交流を深めることです。
 今年は私を含めた広島大学内の若手研究者を演者に選び研究会を行うように企画しました。
 詳しくは、日本動物学会中国四国支部 広島県例会[平成20年3月8日(土)13:30~16:00] のお知らせをご覧ください。


<2008.1.5>
広島大学大学院総合科学研究科(博士課程前期・後期)の大学院生・ポスドク(学振受け入れ先)募集中。
 完全独立して1年半ほど経ち、研究室の研究体制も整い、独自の研究内容を推進できるようになりました(ここ半年間は、岩越さんとともに予備実験に明け暮れました。)。そこで漸く大学院生を受け入れられる状況となり、大切な苗を育てて行ってくれる学生を募集したいと思います(昨年は何人かの学生さんから大学院入室希望がありましたが、全てお断りをしました。申し訳ありません)。
 ただし、現実の生命科学の研究は試練と困難の連続です。それに打ち勝つことができてこそ、価値のある真理の発見にありつけるのだと思います。
 私の考えに共感していただける方々とともに、歯をくいしばりながら頑張っていきたいと思っています。楽して宝探しは出来ません(ですが、しんどくても宝探しは楽しいのです!)。
 興味のあるかたは気軽にご連絡をお待ちしています。尚、総合科学研究科には様々な研究をしている教員が所属しています。「世界は、文系でも理系でもない!」を合言葉に境界線の研究領域に挑んでいますので、総合科学研究科のホームページをご覧下さい。私の研究室が一番とは言いませんので、興味が少しでも持てれば、各先生方にコンタクトしてみて下さい。


<2007.3.23>
M2の鈴木沙織さんが、優れた学生を表彰する広島大学総合科学部岡本賞を受賞しました!
 修士論文タイトル「ウズラの自発運動を高める7a-ヒドロキシプレグネノロンの日内変動とメラトニンによる調節」
 これもひとえに筒井和義先生の献身的なご指導や安藤先生・古川先生・山崎先生ら副指導教員のご指導・ご推薦の賜物です。
 また、古川研の4年生の小谷侑君も学部生の岡本賞受賞者となりました。学部と大学院それぞれ1名ずつの選出にも関わらず、いずれも脳科学分野からの選出は極めて珍しく貴重な出来事です。ともに脳科学分野合同セミナーで鍛えられた賜物でしょうか。これに続くようにこれからも脳科学分野からダブル受賞が出るように頑張りたいですね。


<2006.12.14>
浮穴研の研究生活や学会参加の風景に関する写真を掲載する写真館のページを作成しました。