大会シンポジウムのご案内


1.テーマ

 地域漁業と多面的機能 ―条件不利化する漁村社会の活性化をめぐって―

2.目的と課題

 シンポジウムの目的は、経済と消費のグローバリゼーションが進むなかで「条件不利地化」する漁村社会を活性化する枠組みを、地域漁業がもつ多面的機能という視点から議論することです。具体的な課題は次の3つです。
 第1に、多面的機能論をグローバル化する消費社会と条件不利化する漁村社会という、二つの社会のぶつかりあいという視点でとらえ、水産業と漁村がもつ外部経済効果を評価しようという動きを特徴づけることです。
 第2に、担い手の視点から、水産食料生産の過程で副次的に生み出される多面的機能をとらえることです。多面的機能は食料生産過程がもたらした副産物で すが、担い手の活動と受け皿となる社会があってのものです。担い手である漁業者が果たしている社会的な役割を再評価し、地域社会が沿岸域環境の保全と利用 にどのようにかかわっているのかをとらえていきます。
 第3に、ともすれば経済分析的に議論されがちな多面的機能論を、できるだけ多元的な視点で構成しなおすことです。

3.期待される成果

 水産業・漁村の衰退が指摘されるなか、漁業者及び地域住民が、水産資源及び地域内に存在するもろもろの資源の間に存在する自然生態系、社会生態系の連 鎖的なつながりを意識しながら、地域資源と環境の保全、多面的・多元的利用をはかる道を模索しています。この過程で積み重ねられた諸経験は、漁村をめぐる 地域振興論として体系化がなされてきました。多面的機能論という側面から地域漁業論を見直し、漁村振興論を構築していく意義は大きいと考えます。また、里 海論や生態系環境保全論などへの発展を展望できるものとして位置づけることができます。

4.構成

9:15-9:30  座長解題 :山尾政博(広島大学)
       「地域漁業と漁村の多面的機能 ―条件不利化する漁村社会の活性化をめぐってー」

9:30-12:00  I部 多面的機能に関する政策形成
 司会:家中茂(鳥取大学)、山尾政博(広島大学) 

第1報告:玉置泰司 (中央水産研究所)
   「水産業・漁村の多面的機能に関する認識の発展と政策形成の課題」

第2報告:島秀典 (鹿児島大学)
   「水産業・漁村の多面的機能政策の問題点」

コメント :若林良和 (愛媛大学)

討論    

13:00-16:10  II部 「多面的機能の実際と漁業者・住民の役割」 
  司会:家中茂(鳥取大学)、宮田勉(中央水産研究所)   

第1報告:磯部作(日本福祉大学) 
   「漁業者による海底ゴミの回収の状況と課題」

第2報告:鹿熊信一郎(沖縄県)
   「沿岸域資源保全活動などにみる地域社会・住民参加について」

第3報告:関礼子(立教大学)
   「自然環境保全からみた漁村の多面的機能」

コメント :川辺みどり(東京海洋大学)

討論

16:10-16:15  閉会 田和正孝(関西学院大学) 挨拶

close