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IEA (International Energy Agency) Task 29ワークショップ

報告者:松村 幸彦
開催日時 : 2004年10月19日(火)〜20日(水)
場   所 : 茨城県つくば市         


<1日目>
つくばで10月19、20日に開催のIEA (International Energy Agency) Task 29のワークショップに参加させていただきました。
初日の報告です。

IEAは国際エネルギー機関で、国際的なエネルギーに関する検討を行う団体です。
ここで決定された石油を用いた火力発電所の建設を行わない方針などはご存じのかたもあるのではないでしょうか。
この機関では、バイオエネルギーについての部会もあり、ここでは提案された次元付きのTaskについて参加国の募集を行い、
参加国は参加費を払って活動に参加する、という活動の仕方を行っています。
Task 29は経済学、社会学の観点からの検討を行うものです。
日本では Task 29にNEDOが参加しており、その関連で今回つくばでワークショップが開催されました。
NEDOにおられた柳下様、現在NEDOの山田様が手配をされたと聞いています。
また、京大の坂先生が別の Task に参加しておられたかと思います。
詳細は
http://www.ieabioenergy.com
http:/www.iea-bioenergy-task29.hr
http://www.aboutbioenergy.info
などをご覧下さい。

日本からの参加者は、柳下様、山田様の他、美濃輪様、松村、岩手木質バイオマス研究会の金沢様、三田様で、
RITEの山本様も20日から参加の予定です。
初日の今日は各メンバーからの発表がありました。

Madlener (Austria) Socio-economics of large urban wood-fuelled cogeneration: sustainable energy supply
for Austria's capital city of Vienna.
オーストリアでの集中型コージェネレーションのプロジェクトの紹介。
今年の末までに着工予定。木質バイオマスを燃焼し、13年間政府の保証する10.2 ユーロセント/kWh で売電。

Nillson (Sweden) Fossil fuel free Vaxjo, Sweden - moving from 80% oil 1979 to 80% bioenergy supply for heating 2002.
スウェーデンのベクショー市におけるコージェネレーションを用いたエネルギーシステムの導入まで。
重要だったのは情報、知識、会話であり、首長を巻き込んでの議論が有効と。

Yamada (Japan) Report for biomass-gasified power generation demonstration facilities in Yamaguchi prefecture.
山口県の中外炉による外熱多管式ロータリーキルンガス化炉の紹介。
原料木材は県から無料で得、蒸気と温水は製材工場で利用。
想定以上の高含水率、熱損失、すすの発生が問題であったが、対応。

White (Canada) A review of economic studies of bioenergy
バイオマスの導入を進める上で、社会学ならびに経済学からの検討が必要であると。
雇用増進、社会の態度と価値感などの評価を行うことが求められると。

Segon (Croatia) Biodiesel from waste edible oil for Zagreb public transport: possibilities, results and problems.
ザグレブで現在下水道に垂れ流しとなっている食用油を回収してバイオディーゼルとして利用するシステムの検討。
まず規制、次に課税、これを免除、という排出者への動機付けが必要か。

Kanazawa and Mita (Japan) Activitiy of Woody Biomass Study Group Iwate-in order to revive new industry
岩手木質バイオマス研究会のこれまでの活動報告。
ペレットストーブの開発、導入、木質バイオマスサミットなど。理解を得ることと、原料の確実な供給が重要と。

Janssen (Germany) A global network on bioenergy presents international cooperation: Case studies from Latin America, Asia and Africa
情報共有ネットワークとしてのLAMNETの活動の紹介と展望。各メンバー団体が適宜共同してプロジェクトの申請なども行う。

Koopmans (Thailand) Woodfuel sources and markets
タイの木質バイオマスをめぐる現状。半分は森林地帯から、残りは非森林地帯から解体材などもちいて供給。
家庭で直接燃焼を行っており、健康被害もあるが、重要な収入源でもある。適切な燃焼システムの導入が必要。

Nybakk (Norway) Critical factors for increased use of bioenergy in the Nordic and Baltic countries
バイオマスの導入に必要な条件について導入成功事例などを参考に検討するプロジェクトの方向性の紹介。
実施コストの他、規模効果、競争原理、国家政策、地域政策と住民合意などの効果を検討する予定。

Deveson (United Kingdom) People, politics and power - a matter of RENAISSANCE
ロンドン郊外のBracknellという町の再生計画。地域熱供給をバイオマスで行うことを考え、実施にESCOを利用。
立案、評価を終え、補助金申請を行う予定。

<2日目>
2日目の報告です。朝、このタスクに参加しているNEDOを代表して田島様から挨拶がありました。
また、金澤様、三田様は初日のみでしたが、代わって電中研の山本様が参加、また産総研の西嶋様が講演をされました。
午前中は task 29の進め方についての会議ですので省略します。午後の講演です。

Healion (Ireland) Case studies of Bioenergy Projects in the Republic of Ireland
アイルランドにおけるバイオディーゼル、メタン発酵、木質バイオマス利用の導入事例についての報告。
導入に向けて、集中して検討すること、国際的な取り組み、財政、利益の明確化、複数のチェックが重要と。

Madlener (Switzerland) Diffusion of bioenergy use in urban areas: history and roadmap
of the planned wood-fired cogeneration plant in Basel
バーゼルにおける木質バイオマスを燃料とした熱電併給の紹介。
PRや調整を主体的に行う企業の参加により、政策的にも支援を得る。
また、既存の設備などを利用することが重要であると。

Nishijima (Japan) Biomass Asia Project
産総研と農林水産系の研究所が中心となって進めているバイオマス・アジアプロジェクトの報告。
バイオ水素、バイオリファイナリーも視野に入れ、新しい市場の確立を、と。

Domac (Croatia) Starting the renewals and energy efficiency educational campaign in Croatia
クロアチアにおけるエネルギー教育キャンペーンの紹介。
小学生向けにエネルギーに関する絵本、中学生向けにエネルギークイズを作って配布。文部科学省とも協力して効果的な資料とする。


このTask 29は、バイオマスの導入にあたって多くの場合技術以外の点が問題となることを踏まえて、
社会学的、経済学的なアプローチを行おうとするものであり、この観点からは興味深い発表もいくつかありました。
その意味では、バイオマス部会で進めつつあるエネルギー学の検討にも通じるところがあります。
また、技術以外の観点の重要性は、バイオマス部会の整理したこれまでの調査でも指摘されており、
国内のバイオマス関連調査事業でもしばしば検討の対象となってきています。
一方でこれらのアプローチは説得力のある具体的な政策に結びつけるための一般化が困難です。

このプロジェクトは3年更新で、来年度で第2期が終わるのですが、NEDOはその後の継続は行わない方針のようです。
直接的な効果が必ずしも判断しにくい分野ではありますが、その重要性は明らかであり、
戦略的に進めれば単純な技術関連の情報収集以上の効果も得られるとも思われますので、個人的には少し残念に思います。

※この報告は、日本エネルギー学会バイオマス部会用に用意したものを転載したものです。