2010年までの教員需給予測
−PT比の変化を考慮したシミュレーション−
浦田広朗(麗澤大学)・加野芳正(香川大学)
(本稿は『香川大学教育学部研究報告』第97号,1996年3月に掲載された同名の論文の主要部分である)
****目次****
1.研究の目的
2.先行研究の検討
3.教員需給予測の方法
3.1.児童生徒数予測
3.2.教員数予測
3.3.新規需要(教員数増減)予測
3.4.置換需要(離職数)予測
3.5.教員需要(採用数)予測
3.6.都道府県別教員需要予測
4.予測結果
4.1.教員供給
4.2.教員需要
4.3.教員需要の分解
4.4.都道府県別予測
5.要約と提言
1.研究の目的
本稿では、これまでになされた教員需給予測を検討した上で、新たな予測方法を提示し、2010年までの教員需給予測を試みる。そして、そうした予測結果にもとづいて、今後の教員養成政策や採用計画について若干の提言を行ってみたい。
2.先行研究の検討
これまでになされた教員需給予測のうち、主要なものとしては、香川大学教育学部就職問題検討委員会による予測(1984)と、潮木による予測(1985,1992)をあげることができる。これらの予測と実測値を比較すると、教員需給予測の基礎となる児童生徒数については、ほぼ一致していることがわかる。しかし、教員数や教員採用数については、予測値と実測値がかなり乖離し、一部を除いて、低めの予測となっている。このように低めの予測となった原因として、PT比(教員一人当たりの児童生徒数)が予想以上に低下したことをあげることができる。