広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2004年度 第1回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2004年4月22日(木7・8時限,B102)
発表者:渡辺俊和(インド哲学,D修了)
発表題目:推理の根拠の決定方法について
配付資料:B4原稿3枚
プロトコル:江崎公児(インド哲学,D2)

1.発表要旨

七世紀の仏教哲学者ダルマキールティは,正しい推理を導く根拠となる, 証因と所証の間の遍充関係の基盤を<本質的結合関係>に求めた. つまり,証因と所証との間に<本質的結合関係>があることによってのみ, 正しい推理が可能となるのである. そしてこの<本質的結合関係>は「因果関係」と「同一性」という二種に分類される. しかし,限られた経験から普遍的法則性を導くにはどうしたらよいのか. ダルマキールティは,限られた数の認識と非認識から普遍的命題としての因果関係を 導くに際し, 帰謬的論証を用いている. また,同一性についても,とりたてて詳述されることはないが, 刹那滅論証にみられるように因果関係の決定方法との類似が見られる. 従って,普遍的命題としての同一性導出にも帰謬が大きな役割をになっていると考え られる.


2.質疑応答

[問] ダルマキールティの場合,因果関係の究極的な設定者というものを想定してい るのか.
[答] 想定していない.

[問] 普遍的因果関係を確定する方法として,知覚と無知覚によるというが, 無知覚はどのような役割を果たしているのか.
[答] 偶然性を極力排除するためであると考えられる.




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