広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2004年度 第3回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2004年5月13日(木7・8時限,B102)
発表者:高橋祥吾(哲学,D1)
発表題目:アリストテレスにおける命題の対立関係について
配付資料:B4原稿2枚
プロトコル:木下一正(哲学,D2)

1.発表要旨

発表者は,Whitakerの主張に従い,『命題論』の主題は矛盾対立する命題の組を考察 することにあるという前提に立つ.その場合,否定の命題は,述べ言葉を否定するこ とで形成されるように見えるが,アリストテレスの述べ言葉の定義に従うと,それと は別の原則がある.それは,「対立する命題のうちの一方は真であり.もう一方は偽 でなければならない(Cat. 13b2-3)」というものである.この原則は命題の対立関係 に固有なことであり,「結合なしに」語られる対立関係,つまり,概念的対立関係と は区別され,「結合に基づいて」語られる対立関係である.それゆえに,命題の構造 を表すために名と述べ言葉という説明方式は用いられ,しかし,述べ言葉の定義だけ では,あらゆる命題の矛盾対立関係を説明できていないと思われるため,はじめに行 われる述べ言葉の定義付けが不完全であるとする.ただし,「である」という言葉の 特殊性によって,その不完全さを補完していると発表者は考えている.

2.質疑応答

[問] 「時間を付加的に」とは.
[答] 時制のことです.

[問] 「ある」というギリシア語について英語のbe動詞に相当する言葉があるのか.
[答] 存在する.

[問] 「結合」は何と何の結合か.
[答] 名と述べ言葉.「結合」された命題は肯定を意味する.逆に「分離」といわれ る時,否定を表す.

[問] apophantikos logosとprotasisの違いは.
[答] protasisは問答法的な問いの形で表される.apophantikos logosは真と偽を表 す.apophantikos logosを部分としてprotasisが形成される.

[問] 命題では述べ言葉が重要なのか.
[答] 述べ言葉の方に命題が真であることを主張する力があるという点で重要である.

[問] 「ともかく」はアリストテレスが保留していることを意味するのか.
[答] 私の意訳です.

[問] 「実在に関係なく」とはどういう意味か.
[答] ソクラテスという実在を考えなくていいということ.

[問] 「他のものについて語られることのしるし」とは.
[答] 主語となるものについて,どのような状態にあるかど表している記号であると いうこと.端的には,命題の中で述語となることを意味している.

[問] 「在る」はギリシア語では普通の定動詞と同じか.
[答] 同じ.[補足意見]受け身形はない.

[問] 「分離しては」とは.
[答] 田中という名前を例にすれば,田だけでは意味をなさないということ.

[問] (意見) 言語と認識が整理されていないのではないか.

[問] ギリシア語だから可能な部分があるのでは.
[答] そうかもしれない.



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