広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
(仮設Webページ)


哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2007年度(前期) 第9回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2007年6月22日(金9・10時限)
発表者:池田信義(哲学,M1)
発表題目:『存在しているものと本質について』 ―トマス・アクィナスにおけるアリストテレスの受容―
配布資料:A4(両面2枚)
プロトコル作成:高橋淳友(特別研究員)

1. 発表要旨

 今回の発表者は,発表の副題にあるように,「トマス・アクィナスにおけるアリストテレスの受容」を研究課題としている.そのような研究課題を持つ発表者が,今回の発表において意図しているのは,トマス・アクィナスの「初期の主要な小論文」である『存在しているものと本質について』の序文でトマスが述べている次の点,すなわち,「存在者の意味から本質の意味へと話を進めなくてはならない」ということの意味である.発表者によると,トマスは「最初に知性によって捉えられるものは,存在者と本質である」と述べているが,このように「存在者の意味から本質の意味へ」という順序となる点については,次のような理由を挙げているのだという.すなわちそれは,「より容易な事柄から始めることが学問にはよりふさわしい」ので,「複合されたもの」から「単純なもの」の認識を得るべきであり,「本性上より後のものから本性上より先のものへと遡るべき」であるからだ,というものである.発表者は先行研究を参照しつつ,このような認識上の「順序」についての発表を行った.

 また発表者は,『存在しているものと本質について』の第一章―つまり発表者によると,「存在者と本質」という「名称」によって「何が意味されるのか」という点と「種々の本質を言い表す名称」について検討している章―の内容についても触れた.


2. 質疑応答

[問] 「複合されたもの」と「単純なもの」と配布資料にあるが,これについて説明してほしい.

[答] 複合はいろいろな次元で言うことができる.「形相」と「質料」からも複合は成立するが,この他に例えば「エッセ」と「エッセンチア」からの複合もある.この場合は「エンス」が複合物ということになる.

 この他,配布資料において使われている用語,表現等について,その意味を確認するための質問がいくつかなされた.



戻る→ 哲学・インド哲学「論文ゼミ」