広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2011年度(前期) 第09回c
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2011年07月08日(金9・10時限,B201)
発表者:堀尾俊介(西洋哲学,B4)
発表題目:ホワイトヘッド『科学と近代世界』における神について
配付資料:
プロトコル:小川貴信・堀尾俊介

1.発表要旨

 本稿の目的は, 『科学と近代世界』において言及されるホワイトヘッドの神の概 念が, いかなるものであるのかを考察し, 理解に努めることである. ホワイトヘ ッドはアリストテレスの原動者, すなわち神について言及し, それがアリストテ レスの形而上学的体系を完成すべく導入されたものであると指摘する. ホワイト ヘッドの神は, アリストテレスの神と同様に, 自らの形而上学的体系を完成すべ く導入されたものである. ただし, アリストテレスの神とホワイトヘッドの神と では, その導入の目的は同じであっても, 体系における役割が異なる. アリスト テレスの神は動力因であり, 世界の始まりとしての役割が与えられている. ホワ イトヘッドの神は限定の原理であり, まだ具体的な形をもたない世界を限定し, 制限することで分化, 個別化し, 現実化する役割が与えられている. この限定の 原理は, 世界が具体的な姿をとるためには欠くことのできない究極的な根拠であ り, またその原理にはいかなる理由も与えられないという意味で, 神といわれる.


2.質疑応答

[問]ホワイトヘッドとはどんな人物だったのか?

[答]はじめは数学者であったが60才頃哲学に携わるようになった. 本稿で取り扱った書『科学と近代世界(Science and the Modern World)』はその転換期にあたる時期に記された. 有機体の哲学を構築した.

[問]制限の主体と対象はなにか?

[答]主体がおのずから原理に則って行う.

[問]アリストテレスの神を否定してホワイトヘッドが措定した神は、アリストテレスの神とはどのように異なるのか?

[答]どちらも根本原理ではあるが, ホワイトヘッドの場合, 世界は最初から動的なのでそれに形を当てる原理としての神である.

[問]第一, 第二番目の限定の順序は紹介して述べられる順序とは逆なのはなぜか?

[答]第二の限定を述べるために第一の限定を先に述べる必要があったから.

[問]「アリストテレスの物理学」と訳している理由はなぜか?

[答]日本語訳に従ったからである.




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