広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2008年度(前期) 第10回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2008年06月27日(金9・10時限,B253)
発表者:加藤良太(西洋哲学,B3)
発表題目:経験主義との関係から見るデカルトのスコラ哲学の受容のあり方
配付資料:B4原稿3枚(片面)
プロトコル:阿南貴之(西洋哲学,B3)

1. 発表要旨

 ロックの概念の定義が,スコラ哲学用語のspecies,notion,phantasmataの区別が希薄であることに対する疑問をもった.そこから近世哲学者のスコラ哲学受容がいかに行われたかを,先行研究の進んでいるデカルトに関して小林氏の論文を主に,デカルトのcogitoの意味するものを中心としてアリストテレスに由来する経験主義との関係性について発表した.すなわち,一般にデカルトは近代哲学の創始者であるといわれる.それについて小林氏は『省察』において,アリストテレス由来の経験主義の否定が見られるとする.たしかにそれは『省察』の一側面ではあるものの,そこでは感覚や想像の力能もまた欠くべからざるものとして位置づけられている.その限りで,必ずしも徹頭徹尾デカルトが経験主義に相対しているとは云えないのではないかと思われる.


2. 質疑応答

[問]物体的本性の定義はとは何か.

[答]省察の段階によって異なるが,蜜蝋の分析の段階では表象や可感的形象を剥ぎ取っても「そこに蜜蝋がある」と判断させる何かである.

[問]cogitoは意志,恣意,感覚など全てを含むのか.

[答]全てを含むと言うよりも,むしろそれらを区別していないと解釈すべきと考える.

[問]力能とは何か.

[答]直接それに対応するラテン語がある場合もあるが,本稿では多くの場合ラテン語の名詞の語尾「-tio」の意味合いとしての<作用・力能>を訳出した.

[問]神が誠実であることをなぜ証明する必要があったか.

[答]第一省察において,神(=悪霊)が欺くならば数学的知識も疑わしい,という懐疑がなされているためである.

[問]デカルトに対比するスコラ哲学を一括りにしてもよいのか.

[答]一括りにはできないことは確かであるが、本稿ではトマスに焦点を当てた.



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