広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2004年度 第11回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2004年7月8日(木7・8時限,B102)
発表者:土肥晴美(インド哲学,B4)
発表題目:バガヴァッド・ギーター研究
配付資料:A3原稿3枚(両面)
プロトコル:片山由美(インド哲学,B4)

1.発表要旨

 『バガヴァッド・ギーター』は全18巻よりなる『マハーバーラタ』の第6巻第23章 から第40章にわたる18章を占め,全体は700詩節より成っている.『バガヴァッド・ギーター』は,インドにおいて最も広く愛誦されている聖典である.『バガヴァッド・ギーター』第11章において,アルジュナはクリシュナに対して最高神の姿を実際に見たいという望みを表明する.クリシュナはその願いを聞き入れ,アルジュナに天眼を授け,神聖にして多様なる自分の姿を見せる.卒業論文では『バガヴァッド・ギーター』の第11章および12章を中心に取り上げる.
 今回の発表は『バガヴァッド・ギーター』の成立年代,バーガヴァタ派について, 及び『マハーバーラタ』と『バガヴァッド・ギーター』の内容について述べた.また,テキストについても言及した.
 バーガヴァタ派の最高神は古くはヴァースデーヴァ,後にクリシュナ,さらにはヴィシュヌと称せられ,神格は混合し,同一視された.それはそのままこの派の複雑な歴史的変遷を物語っている.バーガヴァタ派の最高神と考えられているヴィシュヌ神とこの派との関係は本来的なものではなかった.ヴィシュヌ教は様々の流れが合流して次第に形成された宗教であるとうことが分かった.
 今後の課題は,シャンカラ(700-750年頃)の注釈を理解し『バガヴァッド・ギーター』における最高神の特徴,そしてその最高神によって説かれた主題を理解し提示することである.

2.質疑応答

[問] 最初にクリシュナとヴィシュヌが同一視されたのは,ギーターにおいてか.
[答] ヴェーダやウパモシャッドで,神の同一視はよくされていたが,ギーターが最 初かどうかは,分からないので今後調べる.

[問] バーガヴァタ派が,時代とともに異端でなく正統になることで,何かメリット はあったのか.
[答] 異端ではなく正統な立場になることで,規模が拡大し,多くの信奉者を得るこ とができたと考えられる.

[問] 先行研究で,翻訳と註釈はたくさんあげられているが,思想史的なものは他に はないのか.
[答] ギーターに関する研究は膨大にあるので,今回の発表ではその一部だけ紹介し た.今後最新の研究も参照する.

[問] シャンカラの註釈は中立的なのか.
[答] 中立な立場ではないと思うが,先行研究で一番多く用いられており,比較しや すいため取り扱う予定である.

[問]本文中の,「シャンカラの救済理論」とは何を意味しているか.
[答] 解脱に至る手段として,ギータ−では知識による手段,行為による手段,信愛 による手段のことである.シャンカラはこの中で知識による手段に重点を置いている.今後この見解を研究して,ギーターの理解を深める.

[問] 本文中の,「アルジュナの迷妄」とは何か.
[答] 具体的にはなぜ同族であるものたちと戦わなければならないのかということで ある.



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