広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2008年度(前期) 第14回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2008年07月25日(金9・10時限,B253)
発表者:阿南貴之(西洋哲学,B3)
発表題目:ペトルス・ヒスパヌスを調べるに当たって
配付資料:B4原稿2枚(片面)
プロトコル:光岡沙衣子(西洋哲学,B3)

1. 発表要旨

ペトルス・ヒスパヌスはポルトガル王国に生まれ,後のローマ教皇ヨハンネス21世である.彼が名辞論者といわれる所以はアリストテレスの論理学書『ソピスト的論駁』において取り上げられている誤謬論を重視し,名辞の諸性質の理論を開発したことである.今回はsuppositio論を調べるにあたって,suppositio論をまとめた者のうち邦訳を参照しやすいペトルス・ヒスパヌスを対象とし,前段階として必要なsignificatioについて発表した.


2. 質疑応答

[問]l. 54における「固有の意味で実体的作用や付加的意味作用があるわけではない.」はどういった意味か.

[答]significatio自身が本来の意味で付加的,実体的意味作用を持つということではない,ということ.

[問]l. 34におけるdictionesは「言葉」と訳しているが,それは正しいのか.またdictionesがterminus,signumの上位概念であったように見受けられる.signum=全称・特称記号ということは理解できるが,dictiones,terminus,signumの関係はどのようなものか.

[答]これから原典を読み進めて調べる.

[問]チベット語では単数,複数の区別がなく,また定冠詞,不定冠詞もないので「人は種である.」,「人は走る.」といった命題があるとき,「人」という語は同じ表現になる.ラテン語の場合はどのような表現をするか.

[答]山下先生の訳を参照したため,まだ分からない.これから原典にあたって調べる.

[問]signaとはどのようなものか.「記号」という表現をすると,言葉ではないが何らかの意味を持つ記号を考えてしまうがそういったものか.

[答]そうではない.

[問]なぜ「記号」という訳語を採用したのか.

[答]指し示すもの,あるものを表す印,という意味.いくつかある訳本を参考にして「記号」という表現が適切であると考えた.

[問]l. 59「代表する」「結合する」という語を分かりやすく説明してほしい.

[答]「代表」は名詞を意味される「もの」の代わりとすることである.「結合」は意味するものが形容詞や動詞に分類される場合に,そういった名辞を意味されるもののかわりとすること,であると思われる.

[問]名辞は「事物の再現」であるとあるが,どこに再現されるのか,自分の中と考えてよいのか.

[答]自分の中だとすると,voxを通じて再現される必要に疑問が生じるので,自分の中とはいうことは出来ないのではないか.



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