広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2004年度 第15回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2004年10月15日(金9・10時限,B253)
発表者:間瀬忍(インド哲学,M2)
発表題目:[パーニニ文法において]規則が同時に適用可能な状態について
配付資料:B4原稿2.5枚
プロトコル:成瀬毅(インド哲学,M2)

1.発表要旨

パーニニ文法において]規則の適用には大きく分けて二つの方法がある.語根な どの最小の要素に附加辞や接尾辞などを加えていく手法 (krame\d{n}\={a}nv\={a}khy\={a}na)と最初に語の全ての構成要素を並列に並べて その要素に対して規則を適用していく手法(vibhajy\={a}nv\={a}khy\={a}na)であ る.vibhajy\={a}nv\={a}khy\={a}naはさらにpadasa\d{m}sk\={a}raと v\={a}kyasa\d{m}sk\={a}raという二つに分けられる.padasa\d{m}sk\={a}raとは一 つの単語の構成要素を全て最初に並列に並べて,それらの要素に対して規則を適用し ていく手法であり,v\={a}kyasa\d{m}sk\={a}raとは文章全体を構成要素に分け,そ れら全てを並列に並べて規則を適用していく手法である. antara\.{n}gaとbahira\.{n}gaは規則の適用の優先性を決めるために必要な考え方で あるが,語の派生の際,二つ以上の規則が同時に適用可能な場合に,antara\.{n}ga である規則が先に適用されることとなる.しかし,同じ語を派生する場合でも語の派 生の方法によって,二つ以上の規則が同時に適用可能という状態がおこる場合とおこ らない場合があり得る.すなわち,krame\d{n}\={a}nv\={a}khy\={a}naによって語を 派生するとそのような状態はおこらず,vibhajy\={a}nv\={a}khy\={a}naによるとそ のような状態がおこるということである.言い換えると krame\d{n}\={a}nv\={a}khy\={a}naによる語の派生の場合はantara\.{n}gaによる規 則の適用の優先性を決める必要はなく,vibhajy\={a}nv\={a}khy\={a}naによる場合 はantara\.{n}gaによる規則の優先性を決める必要があるということである.


2.質疑応答

[問] 語は何を以て語と言っているのか?

[答] 格接辞と人称接辞で終わるもの.

[問] 語は有意味の最小単位かと思われるが、格接尾辞と人称接尾辞がついていな いと文章中において意味はないのか?分析していた構成要素(=語)に(規則を)適 用するのか?

[答] 語(pada)と文(vakya)かどちらにまとまりがある.

[問] ひとつの文章(区切れ)がどこまで可能か?

[答] 文法的に区切れが幾通りか可能.

[問] 「正しい語形」と言えば、規則の適用が想定されるが、その正しさを説明 する手続きが必要とされている。規則に依らない正しさはあるのか.

[答] 正しい語形を派生する規則(=実際に使われている語形)と正しくない語形 を派生する規則(=実際に使われていない語形)がある.

[問] では、「正しい」と言わずに、「実際に使われている語形」と言えばよいの ではないか.

[意見] 知的エリート(教養人)が使用していた語(用例)を正しい語と言う.




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