広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2012年度(後期) 第4回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2012年10月26日(金9・10時限,B201)
発表者:阿南貴之(M2)
発表題目:ペトルス=ヒスパヌスとシャーウッドのウィリアムの普遍について:単純代示の観点から
配付資料:A4, 7頁
プロトコル:藏敷壮志

1.発表要旨

  本稿では, ペトルス=ヒスパヌス, 及びシャーウッドのウィリアムの普遍論を明確にする過程として, ペトルス=ヒスパヌスとシャーウッドのウィリアムの両者の単純代示の代示対象として分有された普遍が含まれるのかを明らかにすることを目的とした.  ヒスパヌスは項辞が単純代示をもつ仕方として. 1. 共通項辞が可述語に述語付けられる場合. 2. 全称肯定命題の述語. 3. praeter のような除外する言葉の後に置かれる共通項辞. 以上の三つの場合を挙げる. これらの場合の全てについて, 代示対象となっているのはものにおいて在る限りの普遍ではなくて, そうではなくて述べられる限りでの普遍であると, テキスト内の記述から思われる.  シャーウッドのウィリアムの場合は, 項辞が単純代示の代示対象を代示するしかたとして, 1. ものとは全く無関係な仕方で代示する場合. 2. ものと関係する仕方で, かつものにおいて顕現的な仕方で見出されるような仕方で代示する場合. これは例えば「人」を例にとると「人である限りにおいて」という言葉を伴って代示できるような仕方で代示する. 3. ものと関係するが, しかし一般的かつ漠然とした仕方で代示する. これらのそれぞれについて, 1. に関しては述べられる限りでの普遍が, 2. に関しては個物に分有される普遍が, 3. に関しては普遍ではないものが代示される, 以上のようにテキストから読み取ることが出来る.  これらの差異の原因として, omnis の作用の範囲の規定の違い. 代示対象がヒスパヌスの場合res universalis と呼ばれるのに対して, シャーウッドのウィリアムは単にsignificatum pro significato と述べていることが原因の一つであることは少なくともいえるであろう.


2.質疑応答

[問]「抽象された種そのものについて述語が置かれている」とはどういうことか?

[答]「抽象された種そのもの」を代示する主語について,述語が述語付けられているということ.

[問]可述語とは何か?

[答]多くのものについて述語付けられうることばである.類…種等々の区分がある.

[問]Knealやde Rijkはいつの時代の人で,どのような著作があるのか?

[答]William Kneal(1906-1990)は妻Marthaとともに"The development of Logic"(1962)を残している.de Rejkは1924年生まれ."Logica Morernorum"や本稿で用いたヒスパヌスのテキストを校訂している.

[問]ヒスパヌスやウィリアムはいつの時代の人か?

[答]ヒスパヌスは1205年頃に生まれ,1277年に没したと言われている.ウィリアムは1210年に生まれ,1266年あるいは1272年に没したと言われている.

[問]項辞論者とはどのような人たちか?

[答]項辞の特質を論じた人である.

[問]単純代示とは何か?

[答]ヒスパヌスやシャーウッドのウィリアムに即して述べると,項辞が表示対象を代示する場合,代示は単純であるといわれる.

[問]離散的項辞とは何か?

[答]固有名のことである.

[問]なぜ,離散的項辞というのか?

[答]山下正男先生に従った.

[問]離散的項辞と共通項辞は,対立概念として理解すればよいか?

[答]よい.

[問]論理学的普遍と形而上学的普遍とはなにか?

[答]多くのものについて述語付けられることに即した普遍と,多くのものにおいて在ることに即した普遍という意味で本稿では用いた.



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