広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2005年度 第22回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2005年12月02日(金9・10時限,B153)
発表者:片山由美(インド哲学,M1)
発表題目:『法華経』研究−過去仏思想を中心に−
配付資料:A3原稿3枚
プロトコル:杉本桂子(インド哲学,B3)


1. 発表要旨

『法華経』のブッダ観については従来,ブッダの永遠性という点が強調されてきたが,ブッダは歴史的なものである(無数に現れる仏のなかの1人である)ということを初期仏典『ニダーナカター』に見られる過去仏思想,ブッダの説法開示を促す「三止三請」中のシャーリプトラの発言,ブッダと声聞たちとの過去の因縁を明かす「化城喩品」を読み解くことから考察する.

『ニダーナカター』には,ブッダは唯一の仏ではなく過去の仏たちと同じ道を歩むことが記されている.「三止三請」,「化城喩品」は声聞たちがブッダが菩薩であった時に,教化されたことを明かしている.

これらのことからブッダが過去の因縁と結びついていること,仏滅後の経典の保持,伝導を正当化するために多数の仏を想定することの必要性が明らかとなった.



2.質疑応答

[問]39行目いかなる善行を積んだため,55行目将来必ず仏になる,というのは仏教思想と関係があるのか.

[答]仏教の業の思想と関係があって,善行を積んだために,授記を受けたのである.

[問]「増上慢」とはなにか.

[答]得ていないものを得たと思うことで,ここでは声門が自分は悟りを得たと思って退出する.

[問]「仏典」とは経典などと説話的なもの全てを指すのか.

[答]ここでは『ニダーナカター』,『ジャータカの序文』であり,「仏説」ということを正当化する.



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