広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2009年度(後期) 第22回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2009年11月20日(金9・10時限,B153)
発表者:阿南貴之(西洋哲学,B4)
発表題目:ペトルス・ヒスパヌスのSummulae logicales(Tractatus)における本性的代示について,その2
配付資料:A4原稿6枚(両面)
プロトコル:加藤良太(西洋哲学,B4)

1. 発表要旨

 本性的代示をもつとされる項辞によって代示されるものは,例えば「人」の場合はそれはかつてあった人々,今ある人々,これからあろうところの人々であるといわれている.このことについて,一般的には共通項辞は本性的代示をもつとされるとき, その外延を全て示すといわれている. 今回はこのようにいわれている本性的代示によって代示されたもののうちに,種としての「人」のような共通的なものも含まれるのかということを明らかにすることを目的とした.そして今回の結論としては, 本性的代示によって共通的なものが少なくとも直接に代示されるとするべきではなく,一般に説明されることが正しいことが分かった.


2. 質疑応答

[問]「周延」と「制限」の違いは何か.

[答]「周延」とは,或る共通項辞にその項辞が代示し得る全ての個物を代示するようにすることであり,「制限」とは,或る共通項辞が代示するものをせばめることである.

[問]文中の「類」や「種」,そして「共通なもの」という各々の言葉の関係はどうなっているか.

[答]「種」と「類」は焦点を何にするかによって,何が種で,何が類であるかが相対的に変わるようなものである.また「類」は「種」より上位の概念である.そしてそれが「種」や「類」と云われるならば,即ち「共通的なもの」であるとは云えるが,しかしそれが「共通的なもの」と云われるだけであるならば, そのことが即 ちそれが「種」や「類」であるとは云われない.

[問]時間的な制限があると,本性的な代示ではないのか.

[答]本性的な大事であるとは云えない.例えば「人がいる」,「人がいた」という仕方で時間的な制限が加えられたとした場合,他の言葉で関連づけられている限りで,その「人」は本性的な代示とは云われ得ないのである.

[問]単純的な代示とはなにか.

[答]何か共通的なものを示すものとして項示をとることであると云える.そしてそのような単純実体とは,付帯的な代示からさらに下位に分類されるようなものである.

[問]文中の「還元」という言葉は何を意味しているのか.

[答] 個物は,種に対して個別化されたものという在り方をするが,そのような関係性を持つ両者を関連づけることを,ここでは「還元」とした.

[問]代示作用と表示作用の違いとは何か.

[答]ヒスパヌスに拠れば,表示作用とは音に意味を課すような作用であり,代示作用は既に意味する対象を持つ名辞が,それによって更に某かのものを示すようになるような作用である.




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