広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
(仮設Webページ)


哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2008年度(後期) 第24回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2008年12月12日(金9・10時限,B253)
発表者:池田信義(哲学,M2)
発表題目:トマス・アクィナスの存在論-個体化の根源は質料である(Individuationis principium est materia)について
配付資料:A3原稿6枚(片面)
プロトコル:加藤良太(西洋哲学,B3)

1. 発表要旨

 「存在と本質について」の第一章と第二章を踏まえつつ,第三章における「質料は個体化の根源である」について考察をする. その場合指定された質料と,指定されざる質料の区別はつけられなければならない.個体化の根源となるのはあくまで,形相によって 限定を受けている個別に実在する量を持っているところの前者である.そしてそのことが述べられた後に,個体化の根源が質料であるとすると, 個物にだけ本質があることにになり,種や類も本質が考えられなくなるという不整合を解消するための議論が展開されていく.それは類と種の関係を 分析することを通じて行われるのである.


2. 質疑応答

[問]述語づける,とはどういうことか.

[答] 例えば「人間は動物である」という場合は,「人間」という主語について(すなわち,「人間」を主語として) 「動物である」ということが述語づけられている.両者の間には,後者が前者を含む,という関係がある.

[問]ラテン語corpusについて,その一つのあり方として,動物の部分として措定される,とあるがどういうことか.

[答]ラテン語corpusは,「物体」とも「身体」とも訳しうるが,ここでは,「身体」と訳す場合のcorpusのことである. つまり,corpusという言葉の使い方の一つである.

[問]可能態とは何か.

[答]現実的なものではなくて可能的であるということである. 形相による現実化を経た現実態に対立する概念である.

[問]類と種とはどういう理解をすればよいか.

[答]例を挙げるに,人間を種とするならば,その上位概念としての動物が類である. ちなみに類のうちで種を規定するのが種差であり,この場合,「理性的」であるということである.

[問]形相と質料について,人間の場合それは魂と身体である,と述べられているがどういうことか.

[答]魂が形相にあたり,身体が質料にあたる.その場合,魂は身体にとって実体的形相である.それは付帯的形相とは区別され,そこにおいてこそ質料との関係が語られる.

[問]クイディタースが本質の同義語である,とはどういうことか.

[答]少なくとも本質についてクイディタースという云い換えが可能であることはテキストに述べられている.

[問]十の範疇とは何か.

[答]一つの実体と九つの偶有のことである.



戻る→ 哲学・インド哲学「論文ゼミ」