広島大学大学院文学研究科
比較論理学プロジェクト研究センター
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哲学・インド哲学「論文ゼミ」の記録


2008年度(後期) 第25回
哲学・インド哲学 論文ゼミ
発表日:2009年12月19日(金9・10時限,B153)
発表者:光岡冴衣子(西洋哲学, B3)
発表題目:『スキヴィアス』第二部第一の幻視
配付資料:B4原稿4枚(片面)
プロトコル:阿南貴之(西洋哲学,B3)

1. 発表要旨

 本発表では, Scivias 第二部第一の幻視を取り上げ, その読解の課題を見つけることを目的とし, 用いられている語句の意味について発表した.

 ここで記されている「獅子」は, 伝統的に福音書記者のマルコのモチーフとされていることや, 聖ヒエロニムスなど何人かの聖人と関係付けられていることを指摘した.

 また「全体として生きており, 全体として生命であることが明らかになるような, 捉えがたく消滅しえない, 限りなく明るい火のようなもの」という部分については, 佐藤直子訳を参考に, 加えて偽ディオニシオスが火について「神の表現としてもっとも欠陥のすくないもの」としてその著作に記していること, また『出エジプト記』に火が神性を表すものとして登場することから, ここで述べられている火も, 神について表していることとした. そして, ヒルデガルトの幻視が天上から与えられたことに留意しながら, 幻視の意味に近づき, ヒルデガルトの聖書解釈とその意義について学ぶことを決意し発表を終えた.


2. 質疑応答

[問]幻視をしたというのは, 発言の権威付けのためではないのか?

[答]幻視であるとするだけでは, 権威をもたない. 内容が聖書に即している必要がある.

[問]その息とは後に述べられる神秘の息と同じか?

[答]異なる. その息とは獅子の息であると思われる.

[問]ヒルデガルトはどのようなひとであったか?

[答]ドイツの修道女であるとともに, 絵画や博物学などの多方面で活躍した.

[問]火は「神の表現として最も欠陥の少ないもの」であるとして, 発表者は述べたが, それは神が表現するのか人が神を表現するのか?

[答]人が神を表す際に, ということである.

[問]「あなたは」とはヒルデガルトのことであるのか?

[答]そうである. 天の声がヒルデガルトに呼びかけているのである.

[問]発表者は, あばら骨という表現についてここから女性である事が読み取れると述べたが, ヒルデガルトが女性であるからあばら骨と言う表現がもちいられたのではないか?

[答]その順序については今後検討する.

[問] Sciviasの日本語表記を『スキヴィアス』としているが, これは何によるものか?

[答]先行の日本語訳に依拠した. 日本語表記につては今後検討する.



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