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 トンネルとはなにか

たとえば、上の牛を電子と仮定しよう。牛は山をどうにかしてこえなければ

右側へは行けない。もしもこの牛が元気だったら山をかけ上って楽々右側へ

 行けよう。しかし、この牛がはらぺこだったり、疲れて力がでない場合は山を

 越えられずずっと左側ですごすだろう。これは古典的なニュートン力学からの

 帰結である。

ところが、量子力学によれば、どんなに疲れた牛でも山の向こうへ行ける 確率

がある。(下図参照)あたかもトンネルを通って行ったと思えるので、これを

 トンネル効果という。 どれほどの確率で向こう側へ行けるかはShroedinger方程式

 によって決まる。 下の場合、山の高さが非常に低いのでほぼすべての牛が

左側へ行けてしまっている。

 牛はトンネルしない!?

いま、牛を電子ではなくて、牛だと思ってみよう。牛だって電子や陽子などから

できているので量子力学的なトンネルの支配を受けている。だからたとえば牛小屋

 の中からトンネルして外に逃げる確率はゼロではない。 しかし我々には こんな

ことは起こらないと思える。ミクロなものの集団であるマクロなものでは トンネルは

起こらないのであろうか?

 

 マクロな変数でもトンネルがおこる!(のか)

近年マクロな変数でもトンネルが起こる可能性が指摘されている。たとえばその

もっとも典型的な代表例として、微小なジョセフソン接合の位相変数がある。

微小なジョセフソン接合では、接合をコンデンサーと見たとき、 1電子の帯電

エネルギーが無視できなくなる。従って系を特徴づける ハミルトニアンは接合の

帯電エネルギーと、ジョセフソンエネルギーの和になる。 この系を量子化すると

(つまり量子力学が適用可能であるとすると)コサインバンド 中の電子の運動と

同型になる。 従って固有関数はブロッホ関数になり、波数が 良い量子数になる。

 これは位置座標が不定になることを表す。 この位置座標は ジョセフソンの位相差

そのものに対応しているので、位相差が不定になる。

これは接合を挟む超伝導体の位相のコヒーレンスがないことを示し、超伝導 電流が

流れないことを示す。これは微小ジョセフソン接合で現れるべき 超伝導絶縁体転移の

基本的な概念である。