沖縄調査
「海」に生きる人々
〜沖縄県座間味村:海の新たな利用に生きる道を見いだす〜
近畿大学COE博士研究員 鳥居享司
nk_torii@nara.kindai.ac.jp
1.はじめに    2.座間味村の概況    3.漁業の衰退と海洋レジャー事業の伸長     4.現在の経営スタイル    5.海に生きる


1.はじめに
 我が国の漁業は資源悪化に伴う漁獲量減少,魚価低迷を背景に不振を極め,漁家経営や漁業を主力産業としていた地域の活力低下を招いている。 こうしたなか,「海」を「獲る」だけではなく「見る」,「体験する」といように多様な利用方法をすることによって地域社会・経済の活力を取り戻す例が見られるようになった。漁業の有する食料供給機能や多面的機能を考慮すると,漁業から海洋レジャー事業への転換は一概に薦められるものではない。 しかし,海の新しい利用が苦境に直面する人々や地域の生きる道を確保することもある。今回はこうした例のひとつである沖縄県座間味村について紹介したい。