ー植物の環境適応と成長生存戦略ー 分子形質発現学研究室HPへようこそ

研究内容

 私たちは,固着生活を営む植物が,環境との相互作用において発揮する優れた機能の礎となる遺伝子基盤と,その制御メカニズムを解明することを大きな研究目標としています。とりわけ,過酷環境への適応生存を可能にする巧妙な代謝機能や,そのような植物機能の発現に中心的な役割を担う葉緑体のバイオジェネシスに注目し,おもにモデル実験植物を用いて以下のような研究を行っています。

植物代謝に秘められた成長生存戦略の解明

 運動能力を持たない植物は,厳しい自然環境を生き抜くために,動物に比べて遙かに多彩で複雑な物質代謝系を発達させてきました。このような代謝系には,光合成のような植物の独立栄養性を保証するものだけでなく,不断に変化する環境への適応応答や,環境変動の結果生じるさまざまなストレスに耐える仕組みに重要な役割を担うものがあります。本研究では,”動けない” 植物が多様な代謝系に秘める巧妙で強かな成長生存戦略を発見し,そのメカニズムを分子レベルで解明することを目指しています。詳しくはこちら

葉緑体の分裂・発達機構の解明

 植物細胞において葉緑体は光合成を行うだけでなく,窒素・硫黄代謝,アミノ酸合成,植物ホルモン合成等を行う重要な細胞小器官です。また,緑色組織以外において葉緑体は,カロテノイドやデンプンを貯蔵する赤色・黄色・白色の色素体へと形質転換します。植物の主要機能を担う葉緑体や色素体が形成されるメカニズムの解明を目的として,遺伝学・分子細胞生物学・生理学的手法等を用いて研究を行っています。葉緑体は,原始光合成細菌が原始真核生物に細胞内共生した結果生じたと考えられており,分裂でしか増えることができません。しかし,葉緑体の分裂メカニズムには未解明な部分が多く残されており,その解明を行っています。

活性窒素の植物生物学

 シグナル伝達やストレス傷害といった正負両面の生理作用を持つ活性酸素や活性窒素の植物代謝機能に焦点を絞った研究も行っています。特に活性窒素代謝については,植物から世界に先駆け複数の代謝酵素やその遺伝子を同定しました。これらのタンパク質が関わる代謝を植物機能制御に関わる新規な代謝と位置づけ,光合成(炭酸同化)と並んで最も重要な植物一次代謝である硝酸同化とクロストークする活性窒素代謝モデルを提唱しました。亜硝酸毒性や硝酸過剰障害,大気汚染など,活性窒素の関わりが示唆されている農業・環境問題にも関心があり,大気中の活性窒素酸化物の植物生理作用なども解析しています。

過酷環境に強い植物や光合成能を高めた植物の創出

 上記の基礎研究から得られた成果をもとに,環境との相互作用において重要な遺伝子機能を改変することで,過酷環境でも生育する植物や,光合成能が上昇した植物,環境汚染の改善に役立つ植物などを創出する研究も行っています。このような植物の育成を目指して,モデル実験植物や作物のトランスジェニック体を作出し,それらの獲得形質を解析しています。

有用脂質生産システムの創生に向けた微細藻類の機能開発

 平成29年度に理学研究科で初めて設置された共同研究講座(藻類エネルギー創成研究室)において,高度に脂質を蓄積する能力に優れた光合成微細藻類をプラットフォームとして,第三世代のバイオエネルギー生産に向けた研究に取り組んでいます。

研究内容

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