「無限にゆっくりと行われる過程」とする字句通りの定義の下,同義ではないとする立場もありうる。この過程には可逆過程と不可逆過程の両方が含まれる。ただし「熱力学」の構成の中で,この過程を改めて導入する必要性は生じない。例えばカルノーサイクルの重要な特徴は,伝熱を無限にゆっくりと行うことではなく,熱平衡を保って温度差なしで行うことである。
2つの立場の違いに曖昧さはない。混同・併用しないことが重要である。
PDF資料では,可逆過程と同義となる準静的過程について,仮想的な極限操作ではあるが具体的な可逆操作として構成可能であることを,全体を断熱系として見たときのエントロピー増大量の評価を通して示す。