一般に,飽和蒸気圧psは(下左図)気-液共存線上の圧力を意味する。
一方,空気と接して平衡にある液相は,飽和蒸気圧psではなく,大気圧patmの外圧下にある。
そこで,この液相と平衡にある蒸気の分圧pparは,飽和蒸気圧psとは異なるはずである。
ただし水の例のように,この蒸気の分圧は飽和蒸気圧にほぼ等しいと考えて構わない(PDF資料)。
水と水蒸気が互いに異なる圧力(大気圧と分圧)で力学平衡にあるため,100 ℃未満の水を入れて大気圧に保たれた容器内では共存するはずのない水蒸気が,空気中では安定な共存状態に保たれる。昇温により飽和水蒸気圧が上昇して大気圧に等しくなると水内部から沸騰が始まるが,空気中の水蒸気圧が上昇して水蒸気と水の共存が達成される前に,沸騰で水がなくなる。
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作成者:戸田昭彦(広島大学)