脳に出血したり、血管が詰まったりする脳卒中とは異なり、脳腫瘍の症状はある日突然に出現することは例外的です。次第に進行する症状が脳腫瘍の特徴です。
 基本的には腫瘍の大きくなる速度(難しい言葉でいえば腫瘍の生物学的増殖速度)が速ければ症状の進行ははやく、ゆっくり大きくなる腫瘍はそれだけ症状の進行はゆっくりしています。
 もう一つは腫瘍のできる場所によっても症状の進行は違います。脳の機能がいっぱい詰まっている場所に腫瘍ができると、1−2週間でいろいろな症状が出てしまい場合もあります。頭蓋骨のなかのどのへこみに腫瘍が発生するかでも進行がちがってきます。後頭蓋窩という空間があります。ここは小脳や脳幹部が詰まっている部分で頭蓋骨の内側の空間の3分の1ぐらいのスペースで、おまけにその上に硬い膜がついたてをつくっていています。この空間に腫瘍が発生した患者様で頭痛が出てから1週間ぐらいで意識がなくなってしまったことを経験したことがあります。
 したがって、腫瘍の大きくなる速度、障害される脳にどれだけ多くの働きがあるか、腫瘍の圧力が逃げる場所があるかないか、この3つの要素により症状の進行速度が決まってきます。速いもので1−2週間、遅いものは何十年にもわたってゆっくりゆっくり症状を出してゆきます。

 きわめて例外的に脳腫瘍より出血することがあります。この場合は突然症状が現れ脳卒中と区別がつきません。
脳腫瘍の症状の一般的特徴