小児脳腫瘍の症状の特徴
一般的には大人より子供の方が症状の進行が速いといわれていますが、これは正確な表現ではありません。大人は自分の症状を正確に言葉で伝えることができますし、自分で病院に行くと言う知恵もあります。そのため腫瘍が小さいうちに発見できるチャンスが多いと考えられます。これに対して子供は自分の症状を正確に伝えることができませんし、例外なく病院へ行くことが嫌いです。親や医師は3歳以下の幼児が“頭が痛い”ということを期待してはいけません。何となく機嫌が悪いことを見逃してはいけないのです。また、特別いやな症状でなければ何とか折り合いをつけてしまうといった、ある意味たくましい資質も備えています。たとえば右目が外に向かなければ、正面を見るときでも首をすこし右に回して調節をとります。
また、頭蓋骨の継ぎ目は1才半くらいでなんとか接着しますが、3才ぐらいまではこの継ぎ目の接着が完全ではないのです。そのため頭蓋骨の内側に腫瘍ができても継ぎ目が離れてしまって、中の圧力があがらず、腫瘍が相当大きくならないと頭痛などの症状が出ないことがあります。
つまりは、子供はいっぱいいっぱいになって初めて腫瘍が発見されるのです。たから、腫瘍が発見されてからはあれよあれよと状態が悪くなるのです。脳腫瘍が発見されて紹介されてきた患児のご両親にこんな症状はなかったですかと尋ねてみると、そういえば数ヶ月前からありましたとおっしゃることもよくあります。