聴力障害(耳が聞こえない)

 脳腫瘍の聴力障害は片方の耳が聞こえない場合がほとんどです。聴力の神経(聴神経)に脳腫瘍ができることが原因です。この腫瘍は脳腫瘍の中で4番目に多い、頻度の高い腫瘍です。
 でも人間悲しいもので、片方の耳が聞こえなくても、生活には困らないことが多いのです。特に電話の受話器を当てない側の聴力障害はなかなか気づきません。当てる側でもかなり聴力が落ちないと、聞こえないと気づかないのです。いったん気づいても自分ではある日突然耳が聞こえなくなったと感じているので、耳鼻科に行って“突然耳が聞こえなくなった”というと突発性難聴の診断を受けることがあります。しかし突発性難聴は他の原因をすべて否定した後に原因不明の聴力障害として下される診断名です。突発性難聴と診断される前に一回MRIを撮っておくと安心です。
 まれに左右の聴神経に腫瘍ができることがあります。これは遺伝する脳腫瘍の場合があり、診断・治療ともに経験を有する施設・医師にゆだねる必要があります。