多尿

 一日あたりのおしっこの総量が多いことです。一回のおしっこの量が多いことではありません。膀胱の体積は決まっていますから当然回数も増加します。成人の一日のおしっこの量はなかなか3リットル以上になることはありません。おしっこは腎臓の内部ではもともと1日10リットルぐらいが生産されていますが、ある種のホルモンの働きによって再び吸収されて、腎臓から出るときには3リットル以下になるように調節されています。下垂体やその近くに腫瘍ができるとこの再吸収のホルモンが出なくなって、おしっこが増えてきます。
 体の中の水分は不足しますから、当然のどが渇くようになって、水をがぶ飲みするようになります。このような腫瘍のかたは枕元にやかんや大きなペットボトルをおいて寝ています。何回もトイレに行くたびに水分をがぶ飲みします。トイレでは大量のおしっこを気持ちよくします。そして一晩でやかんやペットボトルは空になります。
 多尿の子供はおねしょをすることがあります。特に小学校低学年でおねしょが止まったのに、高学年でまたしくじりはじめた場合は要注意です。
 ちなみに夜おしっこに行く回数が多くなり、トイレに行ってもなかなかでなくて、出ても量が少ない場合は、前立腺の病気です。中高年の男性では思い当たる方が多いと思います。
 
身長がどんどん伸びる

 世の中、背が低くて悩んでいる人が圧倒的で、子供の身長がどんどん伸びてもあまり心配しない親が多いようです。しかし、日本で身長が190センチ以上になってまだどんどん伸びるようであれば、一度小児科に相談に行った方が良いと思います。下垂体に成長ホルモンをつくる腫瘍ができている場合があります。放っておくと視力障害など取り返しのつかない症状も出始めていることもあります。
 骨の伸びる部分(骨端線:こったんせん)が活動的なときは、どんどん身長が伸びるだけですみますが、思春期が始まって骨端線の活動が停止しても(骨端線が閉じると言います)成長ホルモンが出続けると、顔貌が変化したり(特徴的な鬼瓦のような顔貌や中世の物語に出てくる魔女のような顔貌)、靴や指輪が合わなくなったりします。骨端線が閉じた後に成長ホルモンをつくる腫瘍ができれば、身長は標準ですが、顔貌の変化、靴や指輪が合わなくなったりする症状の他、もののかみ合わせが悪くなる、入れ歯があわなくなるなどの症状が出現します。
 
身長が伸びない

 これを心配する親御さんは多いと思います。心配であったら迷わず小児科受診をお勧めします。下垂体の検査やMRの検査を受けて異常がなければ万々歳です。そのままふつうに生活してください。
 低身長児の一部には下垂体や下垂体の上にある視床下部に腫瘍がある場合があります。腫瘍に対する適切な治療をうけ、成長ホルモンを含む種々のホルモン補充を受けることをためらってはいけません。