手足の麻痺(手や足が動きにくい)
右か左、どちらかの片方の手足が一度にまとまって麻痺することを片麻痺(かたまひ)といいます。ちなみに4本ある手足の一本だけが麻痺するのを単麻痺(たんまひ)、両足が麻痺するのを対麻痺(ついまひ)といいます。
脳腫瘍で多いのは片麻痺で、大脳の表面でちょうど額と後頭の中間ぐらいにある運動中枢から首の脊髄(頚髄)に至るまでの運動神経がどこでやられても起こります。圧倒的に多いのは運動中枢から大脳の真ん中に至るあたりで腫瘍に傷害される場合です。脳みその外から圧迫されたり、この経路自体、あるいは近くの脳みそに腫瘍が発生しても片麻痺は起こります。その後の脳幹部に腫瘍が発生したときは片麻痺だけでなく、目の動きやものの飲み込みなども悪くなることが多いです。
この運動神経の経路はちょうど首のところで右左が交差していますから、右の腫瘍では左の、左の腫瘍では右の片麻痺が発生します。単麻痺は脳腫瘍では発生しにくく、首や腰の骨の老化現象やけがで単麻痺が起こることが多いようです。対麻痺はけがや腰の脊髄(腰髄)の腫瘍で発生しますが、例外的に大脳鎌という右左の大脳を分けるついたてに腫瘍ができると起こることがあります。
脳卒中に比べて脳腫瘍では片麻痺の頻度はずっと少ないように思います。これは麻痺が出る前に頭痛やけいれんが起こり、腫瘍が発見されてしまうことが原因だと思います。