教養ゼミ 

 

 

担当教官: 李 東碩(い とん そく)

  (研究室の場所): 総合科学部 A818   (内線番号): 6407

科目区分: 教養的教育 

開設曜日時限: 前期 34限  O.H. 月・火・水 12:1012:40

キーワード:グローバル社会、排除型格差社会、マイノリティ、環境権、政治哲学、正義 

 

授業の目標等: テーマ:「グローバル社会の「正義」を考える」

リーマンショック後、世界各国での消費税率のアップと福祉社会の諸制度の見直し、

国連やG20などによる世界経済・環境・危機管理体制といったグローバル・ガバナンス

の構築が進行している。近年、グローバル社会での平等で自律な共生社会化をめぐって、

注目を浴びている、M.J.サンデルの正義論を検討しながら、功利主義、リバタリアニズム、

コミュニタリアニズムの意義と限界を考える。

テキストの検討が終了した13回目では、@最大幸福原理の功利主義、A自由至上主義

のリバタリアニズム、Bサンデル主張のコミュニタリアニズムの三つにグループ分けして、2

に亘った図書館の資料検索方法を活用しながら、「排除型格差社会のグローバル化」に関する

各グループの主張と反論をまとめた上で、新しい論点を導くための質疑・討論を行う。

14-16回は、自ら課題を見つけながら学んでいくPBL(Problem-Based Learning)を取り入れ

グローバル規模で進む「臓器移植と出産ビジネス」に対し、マイノリティの環境権を取り戻す

ためのグローバル市民の共通認識と行動計画を目指して、各自の「正義」論を析出していく。

 

授業の内容・計画等:

1.  オリエンテーション(4/5)

2.  「正しいことをする」(1章:4/9・全員報告)

3.  議論:「今後このテキストをどう捉えていくか」

4.  資料検索T(中央図書館ライブラリーホール:4/23

5.  「最大幸福原理:功利主義」(2章:5/7)

6.  「私は私のものか?:リバタリアニズム」(3章:5/14)

7.  資料検索U(中央図書館ライブラリーホール:5/21

8.  「雇われ助っ人:市場と論理」(4章:5/28)

9.  「重要なのは動機:イマニュエル・カント」(5章:6/4)

10.「平等をめぐる議論:ジョン・ロールズ」(6章:6/11)

「誰が何に値するか?:アリストテレス」(8章:6/11)

11.「たがいに負うものは何か?:忠誠のジレンマ」(9章:6/18)

12.「正義と共通善」(10章:6/25)

   議論:「排除型格差社会のグローバル化」をテーマについての

三つのグループ分けおよび各グループの学習課題の選定

13.グループ討論:各グループの主張と反論、「論点」のまとめ(7/2)

14PBL@:DVDの資料画面からの課題選定作業、学習テーマ分担(7/9)

15PBLA:学習結果の共有、統一のファイルとしてのまとめ案(7/23)

16PBLB:全体発表(7/30)

 

テキスト:M.J.サンデル著『これからの「正義」の話をしよう』、早川書房、2011年、\900

*参考書など:サラ・ヴァン・ゲルだー外編『99%の反乱』バシリコ株式会社、2012年、\1200

成績評価の方法:レジュメ報告+議論の貢献度

履修上の注意・受講条件等:

 テキストのレジュメ、グループ学習とPBL学習の要約を、日曜日夕方5時まで、

dslee@hiroshima-u.ac.jp(件名:教養ゼミ)宛にメール送付すること。

 

メッセージ:

富の世界一極集中化と排除型格差社会化が同時に加速する現段階世界経済

体制を的確に捉えた上で、自分の環境権を回復できる「共生社会化」への新たな取り

組みを、各自のグローバル社会の「正義」のあり方を考えながら、提案し実践してほしい。