グロ−バル経済と環境

 

担当教官: 李 東碩(い とん そく)

  (研究室の場所): 総合科学部 A818   (内線番号): 6407

科目区分: 教養的教育 第5パッケージ別科目 環境・自然との共生

視  角: 社会・世界の視角

開設曜日時限: 前期 34限  O.H. 月・火・水 12:1012:40

キーワード:環境権、排出権取引、再生エネルギー、社会市民ファンド、共生社会化 

パッケ−ジの中でのこの授業の位置:

ポスト京都議定書を介した世界環境管理体制の構築が如何にして私達の環境権

を縮小・剥奪するか、また、政府主導で進む電力自由化と再生可能エネルギー導入

に問題点が何かを理解する。その上、環境権の回復に向けた「共生社会化」の道筋

を模索することで、本パッケ−ジの目標に迫る。

この授業の位置づけ

1980年代以降、世界大多数の人々の社会・自然環境権(〓生存権と生命権)が如何に

縮小・剥奪されているかを、ポスト京都議定書をめぐる世界環境管理体制の構築過程と日本

の排出枠取引制度を中心に検討した上で、環境権回復のための「共生社会化」を析出する。

授業の目標等:

 ポスト京都議定書を目論んだ日本の排出権取引制度、東電などの「原子力村」主導の

電力自由化とこれに基づいた再生可能エネルギー政策が、如何に私達の「環境権」を

縮小・剥奪する可能性があるかを理解し、市民主導のエネルギー社会への転換と社会

市民ファンドによるソーシャル・エコノミーの構築過程を具体化していく。

11回と12回目では、「日本の電力自由化政策」に対して、いくつかのグループに分け、

グループ毎の主張や反論を交わしながら、新たな提案をまとめていく。

13-15回では、自ら問題を見つけ自ら学んでいくPBL(Problem-Based Learning)を取り

入れ21世紀の「環境権」を取り戻せるためのソーシャル・エコノミーへの提案をまとめていく

 

授業の内容・計画等:

1.  オリエンテーション(4/10)

2.  世界情報経済体制下の世界経済環境管理体制の過去・現在・未来 (4/17)

3.  気候変動枠組条約と京都議定書(1章:4/24)

4.  国内環境対策としての経済的手法と温暖化対策(2章:5/8)

5.  従来の温暖化対策と本格的な排出枠取引制度の必要(3章:5/15)

6.  本格的な排出枠取引制度の構築に向けて(4: 5/22)

7.  国内排出取引制度の法的課題(5章:5/29)

8.  温暖化対策の今後と排出枠取引制度(終章:6/8)

9.  戦後日本の原子力の平和利用と3.11後の脱原発路線(6/12

10.再生可能エネルギーの料金体系:固定枠制、競争入札制、固定価格制6/19

11.グループ分け:「日本の電力自由化政策」をめぐるグループ別学習案の作成(6/26

12.グループ討論:各グループの主張とこれに対する反論、新たな提案のまとめ(7/3)

13PBL@:様々な地球市民ファンドの事例からの課題選定、各学習テーマの分担(7/10)

14PBLA:学習結果の報告および共有、まとめに向けた計画案の策定(7/24)

15PBLB:プロジェクトファイルでの全体発表(7/31)

 

テキスト・教材・参考書等:

大塚直著『国内排出枠取引制度と温暖化対策』、岩波書店、2011年.

成績評価の方法:

 レジュメ報告+PBL貢献度

履修上の注意・受講条件等:

 テキストのレジュメ、PBL学習の要約を、月曜日午後5時までに、

dslee@hiroshima-u.ac.jp(件名:グローバル経済と環境権に送ること。

メッセージ:富の世界一極集中化と排除型格差社会化が加速する現段階世界経済体制

を的確に捉えた上で、自らの環境権を回復できる「共生社会化」の試みを、世界平和都市、

ヒロシマの地で実践的に取り組んでほしい。