世界開発論
担当教官: 李 東碩(い とん そく)
(研究室の場所): 総合科学部 A818 (内線番号: 6407)
科目区分: 専門科目
開設曜日時限: 後期 水5・6限 O.H. 月・火 12:00〜1:00
キーワード: 世界経済体制、富の世界一極集中化、排除型格差社会化、環境権、共生社会化
授業の目標等:
世界金融危機後、国家体制の「市場国家化」が加速し、排除型格差社会が世界規模で顕在化している。
韓国経済の開発過程を取り上げ、大多数の人々の社会・自然環境権が、19世紀の開港以来、如何なる
世界経済に重層的に統合されたかによって、縮小・剥奪を余儀なくされてきたかを理解する。その上で、
東アジアのマイノリティが自らの環境権を取り戻すためのコミュニティのあり方について考えていく。
授業の内容・計画等:
1.オリエンテーション
2.世界経済体制の過去・現在・未来
3.韓国資本主義論争の意義と課題
4.19世紀後半の朝鮮農村の世界重層化過程
5.19世紀末の韓国経済の世界重層構造:実学・気学・東学の意義と限界
6.戦後韓国の電気・電子産業の世界重層化過程:技術導入分析を通して
7.1950-70年代の韓国経済の世界重層構造:広島在日の居住権運動再考
8.現段階の韓国機械関連製造業の世界重層化過程:対外直接投資分析を通して
9.1980-90年代の韓国半導体産業の世界重層化過程
10.2000年代の韓国自動車産業の世界重層化過程
11.2010年代のモバイル産業の世界重層化過程
12.現段階韓国経済の世界重層構造:広島の中国人移住労働者問題との関連で
13.全契約社員の正社員化運動広島私鉄「広電」の環境権回復運動の事例
14.外国人移住労働者の地域ユニオン運動:姉妹都市広島・大邱市の事例
15.グローバル・ソーシャル・エコノミー構築運動:東アジア市民風力発電の事例
テキスト・教材・参考書等:
毎回プリントを配布し、参考文献を紹介する。
成績評価の方法:
試験(一回のレジュメ報告+2/3以上の出席が前提条件)
履修上の注意・受講条件等:
講義形式が中心であるが、演習形式も部分的に取り入れ、レジュメを発表させた後、出された
論点をめぐって、皆と一緒にディスカッションを行う。毎回の予習としてテキストに目を通すこと。
レジュメは、火曜日午後5時までに、dslee@hiroshima-u.ac.jp(件名:世界開発論)に
送ること(厳守)。
メッセージ:
富の世界一極集中化と排除型格差社会化が加速する現段階世界経済体制を的確に
捉えた上で、世界経済・環境・危機管理体制が今後私達の環境権にどう影響するか、身近な
コミュニティのなかでどう生きることが自分の環境権を守ることに繋がるかを深く考えてほしい。
教養科目の「現代社会と経済A・B」、専門科目では「環境経済論」と「世界開発論演習」を
受講してほしい。